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瀬戸川妖怪物語  作者: ZeroSt
Chapter1
19/20

黒虎と蛇神の出会い


「いや、でも私多分九尾さんを助けたんですよね。恩を仇で返される…ってどう思います?」

「妖界や日常茶飯事やで。助けてもろて姿を人間に見られてしもたからっていう理由で平然と殺す輩もおる。何せ、九尾はん残虐で非道やて有名やから選択としては殺す一択やな」

「理不尽ですよそんなの…」

私が肩を落としていると、「でも…」と魁さんが付け加えた。


「会った時に殺さなかったのがおかしい。だからもしかしたら殺し目的じゃねーのかもな。また会いに行くって言ってんだから茶菓子でも用意してろよ」

そんな呑気に構えてられるか。相手は大妖怪なのだから悠長に茶菓子でも出してる図太い精神は持っていない。


「そうだとしたら、驚きだっよねー。あの九尾サマがね」

「基本的に妖界の四神は非道でしょう。朱雀さんは比較的温厚だそうですが…あくまでも比較的…ですからね」

カルトと恭は口を揃えて言う。四神は非道で残虐的でどうしようもなく化け物だと。中でも蛇神は人や妖たちを玩具としてしか見ていなく、殺したり弄んだり、よくすることだという。残虐且つ狂気的なのが蛇神らしい。人間は毛嫌いはしているが、人間の肉は好きだという。



「俺のダチに大和大蛇が居るんだけどよ…」

「魁さんものすごいお友達をお持ちですね…」

大和大蛇って言ったら大妖怪に入る部類の蛇族だ。蛇神の下の位に居たな確か。そんなお友達を持っている妖怪を連れてきたアーサも凄いとは思うけど。


「まあ、そんなに仲いいってわけでもねーけど。んで、蛇神とは上司と部下みたいな関係らしくて…俺も大蛇と一緒に話してたら蛇神に一度だけ会ったわ」

「あー、ゆうてたな。せやけど、随分前やなかったか?」

「いや、30年前くらいだから、最近だぜ」

30年が最近だなんてやっぱり妖怪だなぁ。妖怪ってどのくらい生きるんだろう?と聞いてみたら種族それぞれらしい。狐族は最低でも5000年は生きるそうだ。次元が違うどころの話じゃなかった。





妖界の町通りで大蛇と魁さんで話をしながら歩いていたらしい。



「最近どうよ、魁。随分と窶れた顔して」

「嶺二…、俺がどんな仕事してんのかわかってんだろ」

「あー、まあ。察しろって訳ね。へいへい、釣れねぇな魁は」

釣れねぇも何も、乗る気になれねーよ。これだから蛇族は…と溜息を吐く魁。

魁、黒虎族は妖界での裏事情を揉み消すのが仕事。と言っても、死体処理担当であるが故に死体を消すのはかなり大変な仕事なので疲労も半端ない。


一方、大蛇…嶺二は大妖怪であるため、政府を動かす仕事をしている。四神たちと肩を並べて仕事をするわけではないが、その下で働いている上部の妖怪であることは変わりない。


「明日は人間界の偵察だわ俺。つまんねー」

「相変わらず蛇族は人間を毛嫌いしてるんだな」

「けっ、人間なんて食えたもんじゃねぇよ。欲望に塗れ、本望のまま動き、そのためならば媚びる、無様な姿で乞う…クソ不味い生き物だぜ」

吐き気がするとものすごく嫌そうな顔で言う彼はやはり人間が大嫌いなのだろう。


「でも…もし純白で汚れのない人間が居たのなら…俺はソイツを食うだろう。きっと極上なんだろうぜ。だから俺は人間界に行くこと拒めない」

そんな人間居たら教えろよと嶺二は笑って言った。その笑みには狂気が含まれていたことは俺でもわかった。





「あれー?嶺二じゃん、奇遇だね」



俺の名前を呼ばれたわけでもないのに背筋がゾクッとして、一瞬思考が停止した。何なんだ、このケタ違いの妖気は…!?


隣の嶺二の顔の様子を伺うと、蒼白に近い顔だった。奴のこんな顔を見たのは初めてだ。いつも余裕ぶった顔振りをしているせいか、余裕にない顔はとても新鮮でこちらも怖くなってしまった。


たった一声で空気を凍らせてしまうこの恐ろしい気は何なんだと、その声の方向へと顔を向けた。



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