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瀬戸川妖怪物語  作者: ZeroSt
Chapter1
17/20

先代と現在


「それにワタシ、烏天狗じゃなくてグリフォンです」

「嘘つけ―!!さっき烏天狗って言ったじゃないですか!!さっきから何なの!?」

「ツッコんでくれるのを期待しました」


何かうぜぇぇぇこの烏…!!




「この調子で言うとカルトさんもチェシャ猫じゃないですね?」

「あ、バレた?」

「烏天狗さんので勘付きました」

「共倒れだよー恭ちゃん。あ、オレ猫又ね」


彼はチェシャ猫ではなく、猫又という妖怪らしい。だと思ったよ。




「あ、でも妖界には異界からも来るときあるよ?」

「えっ、そうなんですか?」


カルトさんが言うには、魔界から観光や偵察に来る者も少なくはないらしい。流石に妖界は禍々しい気が流れ出ているので、天界や妖精界からは来客者は居ないみたいだが、いい例では魔王サタンが一度訪れたことがあるらしい。



「地獄からはよく閻魔様が状況報告とか来るけど、まー魔王さんは気まぐれでしか来ないよな」

「それはそうだろ、妖怪の王と魔王サタンとじゃ比にならねぇよ。サタン様の方が強いに決まってんだろ」


うん、なんというか…世界は広い。

まあ、ここ日本ですから。海外出張とかしませんから。

ははは、と乾いた笑いしか出なかったが、そういえば本題と大きく異なった話をしていると今気づき、さっさと本題に入るようにアーサに促した。



「あー…、お前ら。ここに居る樹里は一応この神社の神様なんだよ」


そう言えば、皆ポカンとした後、ゲラゲラと大爆笑し始める。いちいち癇に障る野郎共だなオイ。「こんなフツーの子が神様??ギャハハハハ」と小馬鹿にしたように大爆笑するカルトさんに、「可愛い嘘吐くんやなぁーあんさん」とニヤニヤと笑う彗さん。「強がりたいのはわかるがよ…」とちょっと可哀想な目を向ける魁さんに「あはれなり」と何故か素晴らしいと口では言いながらも表情は可哀想だなこの子と顔に出まくっている恭さん。お前らバカにしすぎだろ。


思わず卓袱台に手をダァァン!!と叩きつける。



「今はまだ力は弱くても、必ず強くなってみせます!そしたらお前ら殺してやるから覚悟してください」

「ちょっとじょーちゃん!?日本語おかしくない!?」

「一瞬だけ本音がぶち撒けられとる!」


おっと私としたことが、つい本音が駄々漏れしてしまった。気をつけないといけませんね、これは。




「私はこの姿では神気を出してないんです。一応、学生なので」

「…じゃあ、祀りではちゃんと神の姿として皆の前に出るわけなんだ?」

「当たり前です」


以前、出雲大社に行く際にも考えたが、やはりおばば様が誤魔化したという神に化けられる衣装を着ることにする。この学生服のままじゃ人間ですと言っているようなものだし、このままでも神気を出せるには出せるが、出しづらいのは事実。


それに対し、おばば様が着ていたという衣装は神気を元からその衣装に宿らせており、自ら神気を出さなくても、着るだけで大分違うらしいのだ。後は適当にカモフラージュしてね、と凪に言われた。うん、適当って何だ。

私は人間のまま、神になるというおばば様と同じ事を引き継ごうとしている事を妖怪たちに伝えれば驚いた顔をする。


「人間のまま神に?人間から神になる奴はたくさん居るけど、人間のまま神になる奴は見たこと無いなぁ」

「でもその分負担も大きいんやないの?」


確かに人間から神というのがメジャーなのは確かだ。人間から神になることで、神本来の力を引き出す事が出来て、人間のまま神になるのとでは数十倍も違う。だが、そもそも神になれば不老でしかも長い年月を生きなければならないのだ。そんなのはゴメンだし、神社を守るにしても人間として守っていきたいというのが、おばば様から受け継ぎ、そして私の意思だ。今更やっぱ神様になろうなどとは毛頭ない。

その分、彗さんが言った通り、負担が大きい事は確か。



「負担はあります。でも、私は人間としてこの神社を守りたいんです」

「先代の血本当に通ってるんちゃうの?キミ、おばば様そっくりやね」

「彗さんはおばば様にお会いしたことが?」

「せやな、だいたい50年前くらいに一度な」

おばば様が20代の時に一度この神社を訪れて、話したことがあるらしい。彼曰く、本当におばば様と私は似ているらしく、本当に血が通ってないか些か疑問だという。


「無駄なプライドですけど、やっぱり人間じゃなくなるのは怖いし、神になるのは先代の方々にも失礼かと思うんです」


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