僕はハグロケバエに監視されている
6月10日
一匹の黒い虫に監視されている。そう思ったのはいつだろう。たぶん5月の中頃だ。ふと授業中、窓を見た時ガラスに張り付いていた。その時はただ黒い虫がいるな、で終わった。でも次の日も、また次の日も、張り付いていた。考えすぎだと思った。でも図工室や、理科室。教室を移動した時も。ふと窓を見る。黒い虫がいた。
6月15日
そっちが監視するなら僕にも考えがある。どんな虫か調べるために図書館に行った。虫図鑑を探す。見つけた。ぱらぱらとめくる。これかな、ハグロケバエ。頭が大きいのがオスで頭が小さいのがメスと書かれていた。僕を監視しているのは頭が小さい。メスの個体という事が分かった。
6月16日
部屋の窓に張り付いていた。今も監視されている。叩いて殺すべきか。無理だ。窓の外にいる。殺そうと近づけば逃げるだろう。
こうなったら、がまん比べだ。監視したいなら、いくらでも監視すればいい。僕はこいつの悪行を残すだけだ。
6月30日
こいつは僕を監視するだけでなく、あざ笑うようになっていた。先生に指名されて答えが分からなかった時。クスリと笑う。宿題を忘れてきた時も。クスリと笑う。監視しているなら忘れているよって教えてくれればいいのに、こいつはクスリと笑うだけ。それが僕を苛つかせた。
7月5日
もう我慢の限界だった。窓を開けて握りつぶしてやる。そう思い窓を開けた。いなかった。飛んでいった?辺りを見たけど何もいなかった。寝ることにした
7月6日
昨日の夜は夢だったのだろうか。出来事を書く。僕は寝ていた。それで顔の辺りで違和感がしたので起きた。ヤツがいた。鼻の上にハグロケバエが。すぐに潰そうとした。だけどこいつは鼻の中に入っていった。取ろうと指を入れたが、もう奥の方まで入っていったのか取れない。部屋中の引き出しを開けた。何か掻き出すものがないかと。3段目の引き出しを開けた所でドライバーを見つけた。これを鼻の中に入れるのか?ちゅうちょしている暇はない。ドライバーを鼻の穴に突っ込んだ。ぐじゅという音がして僕は倒れた。朝起きると引き出しを開けた様子もなかった。3段目の引き出しを開けたがドライバーは入っていなかった。悪夢だったのかもしれない。
7月20日
もう考えることはなくなっていた。毎日が晴れ晴れとしている。もうこれで日記を書くのもやめる




