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君が女の子  作者: papporopueeee
4日目

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シンデレラ・コンプレックス

 少年にはふたりのいじわるな姉が居ました。


 お菓子をあげるからこっちにおいで。

 食べさせてもらえると口を開けて待ちますが、お菓子は姉の口に入っていきました。


 家の中でかくれんぼしようよ。

 一生懸命隠れ場所を考えましたが、姉は捜しもせずにテレビを見ていました。


 サンタさんからのプレゼント楽しみだね。

 プレゼントが無くて泣きそうになりましたが、姉が隠していただけでした。


 いじわるばっかしないでよ!

 少年が必死に訴えても、姉は笑うばかりで真面目に取り合ってくれません。

 少年はふたりの姉が嫌いでした。優しく頭を撫でてくれなければ、大嫌いだったことでしょう。


 小学校でも、少年はクラスメイトからいじわるされていました。


 鬼ごっこをすれば、集中的に狙われました。

 ドッジボールをすれば、最後まで残されて笑い者にされました。

 テストの点数はいつも低く、クラス中に言いふらされていました。


 もう止めてよぉ!

 少年が泣き出すまで、皆からのいじわるは止まりません。

 少年は学校に通うのが嫌でした。最後には皆が慰めてくれるから、不登校にはなりませんでした。


 家でもいじわるされて、学校でもいじわるされる。そんな少年に転機が訪れたのは、中学校に上がってからでした。

 姉からの勧めで男子中に入学した当初は、不安でいっぱいでした。小学校でもいじわるなのは男子だったのに、周りにその男子しか居ないのですから。

 しかし、少年の不安は杞憂に終わります。男子に囲まれた途端、少年は甘やかされるようになったのです。


 運動会のクラスリレーで足を引っ張っても、優しく慰めてもらえます。

 合唱コンクールで歌詞を間違えても、何故か頭を撫でてもらえました。


 まるで魔法をかけられたかのように。少年は自分が愛されていることを実感し、承認欲求を刺激され続けます。

 過剰なまでのお姫様待遇は、少年の心に耐性をつけてしまいました。


 いじわるしないで、もっと褒めて。

 甘えん坊なんて言わないで、それでも甘やかして。

 膨らみ続ける願望の裏では、いじわるへの恐怖も膨らんでいきます。


 また、いじわるされるようになったらどうしよう。

 もう、褒めてもらえなくなったらどうしよう。

 嫌われたくない……お願いだから、ぼくのことを好きになって。


 少年が少女になったことで、いじわるに怯える必要は無くなりました。

 だって少女は性別不合。身体と心の性別が異なる、配慮を必要とする可哀想な人。


 いじわるなんて酷いことは、社会が許しません。

 弱者である少女に優しくすることは、社会が課した義務なのです。

 少女に酷いことをしてもいいのは、少女よりも可哀想な人だけなのですから。

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