ふたりだけの秘密がまた一つ
「っ……っ……な、なんか、凄い恥ずかしいことしちゃった気がする……かな……あ、あはは……?」
睦美はまだ嗚咽しているものの、感情を吐き出して落ち着けたようだった。小陽の胸から離れると、浴槽の外に身を乗り出してお湯で顔を洗い始めた。
「ハル君……あの、えと……ぜ、全部忘れてくれていいかな……と言うより、忘れてほしいかな……?」
「……うん、わかった。睦美がそうして欲しいなら、僕はそうするよ。でも、僕が睦美にかけた言葉は嘘じゃないから……どんな睦美でも、僕は傍に居るからね」
「うん……ボクも、できることならハル君の傍に居たい……かな?」
お湯に塗れた顔で振り返って照れ笑いをする睦美。その笑みは少しぎこちないものの、小陽が見慣れた顔だった。
「そろそろ上がろうかな? ボクはともかく、ハル君は長湯になっちゃうかなって」
「うん……でも、少しだけ待って? 僕も、睦美にお願いがあるんだ」
「お願い……っ?」
小陽は睦美の両手を取って、正面から向き合った。湯舟で身体は殆ど隠れてはいるものの、それでも女の子である睦美としては全裸で向き合うのは恥ずかしいらしい。その顔は両耳まで真っ赤で、視線は泳ぎ、唇がパクパクと酸素を求めていた。
「え、えっとっ……? は、ハル君……どうしたのかな? 目が、ちょっと……真剣すぎるかな……?」
「ごめんね……本当はこんなことしたく無いんだけど……でも、必要なことだから。睦美……今から僕の言うことを、素直に聞いてね?」
「すなお……うん……なあに?」
のぼせたようにとろんとした瞳の睦美と、罪悪感で揺れる小陽の瞳が交差する。
ふたりきりの浴場で――
生まれたままの姿で――
密やかに――幼馴染の秘め事は遂行された。




