目が覚めて、また微睡みに
閉じられた瞼、小さな鼻、穏やかな吐息を漏らす唇。小陽が目を覚ますと、眼前には睦美の寝顔が広がっていた。
「うぇっ!? ……あ、ああそっか……僕がお願いしたんだった」
昨夜、イヨからの夜這いを防ぐ為に小陽は睦美に同じベッドで寝てもらうようにお願いした。就寝時点では互いに背中合わせだったはずだが、寝ている内に向かい合わせの恰好になっていたらしい。
身体を起こそうとした小陽は、自身の右手が睦美の左手を握りこんでいることに気付いた。幼い頃はそんな寝方もしていたが、この年になっては気恥ずかしく、小陽は慌てて手を離した。
「ん……ハル君? ふわぁ……おはよう……かな」
「ごめん、起こしちゃった?」
「ううん、大丈夫……むしろ、起きるのがいつもより遅い時間になっちゃったかな? ふわぁ……」
気心の知れた仲とはいえ、さすがに一人用のベッドで二人は狭すぎた。睦美も中々寝付けなかったであろうことが、その眠そうな顔から窺えた。
「ハル君はまだ眠そうかな? 起こしてあげるから、もう少し寝ててもいいよ? ボクは朝の身支度してくるから、ベッドも広く使えるかなって」
そう言ってベッドを出ようとする睦美の手を、小陽は慌てて捕まえた。
「だ、だめ! 行っちゃだめだよ、睦美……もう少しだけ、いっしょに寝よう?」
「え、う、うん……ハル君がそう言うなら、もう少しだけ寝ちゃおうかな……?」
堪えきれない二度寝の誘惑に抗えず、小陽は睦美の手を握ったまま再び瞼を閉じた。恥ずかしいなんて言ってはいられない。小陽が男の子で在る為には、決して睦美から離れてはいけないのだから。
やがて睦美の穏やかな寝息が聴こえて来て、小陽の意識も後を追うように落ちて、ふたりは仲良く寝坊することとなったのだった。




