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君が女の子  作者: papporopueeee
3日目

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45/83

刷り込み

 弥生は本当は女の子なんだよ。


 それが、少年にかけられた魔法でした。

 まだ自分の名前もわからなかった頃から、少年は己の性を教え込まれていました。

 男の子と女の子の違いもわからないのに、自身が女の子なのは確かな事実だったのです。


 皆は弥生を男の子だって言うけど、それは知らないだけなんだよ。


 それが、少年にとっての真実でした。

 お母さんと皆のどちらかが間違っているのなら、正しいのはお母さんに決まっています。


 弥生は女の子なんだから、可愛い服を好きになろうね。

 お父さんが帰ってきたら、スカートが履きたいってお願いしてごらん。


 いつでも傍に居てくれるお母さんと比べて、お父さんは少年の傍に居る時間は少ないですから。知らないのも無理はありません。

 少年がお父さんに正しいことを教えてあげると、お父さんは驚いた後に優しく頭を撫でてくれました。


 こうして、3人は真実を共有し合った本当の家族になりました。少年は女の子として生きて、両親はそんな少年に理解を示して認めてくれていました。

 でも、お父さんは一つだけ気になることがあったようです。


 弥生は、どうして自分を女の子だって思ったのかな?

 だって、お母さんが教えてくれたから。


 この時を境にして、本当の家族は終わってしまいました。少年の一言が、家族をバラバラにしてしまったのです。


 ごめんなさい、ごめんなさい。

 もうあんなことは言いません。

 だから、もうお母さんを怒らないでください。


 少年にはお母さんが責められる謂れがわかりませんでした。少年にとってはお母さんはお母さんでしかなかったのです。

 しかし、お父さんにとってはもうお母さんは家族ではありませんでした。お母さんは家から追い出されて、少年は本当に正しいことを教えてもらいました。


 お母さんは悪い人でした。

 でも、それでも……私にとってはお母さんです。


 やりきれない想いを抱えていた少年は、本日を以て少女になりました。やっぱり、お母さんは正しかったのです。

 きっとお母さんは戻ってきてくれる。だって本当の女の子になったのだから。

 少女はお母さんを今か今かと待ち侘びます……既に別の少女のお母さんになっていることも知らないままに。

 いつまでも。いつまでも。

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