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56 天井での最終戦?

絶体絶命って時、視界の端にまた雪ちゃんの軽やかな姿が映ったんだ。彼女、またもや人間離れした俊敏さで、死の衝撃波が広がる直前にフワッと後ろに下がって、完璧に回避!あの動き、マジパネェ。


ゴゴゴゴゴ――ッ!


俺がまだ地面から完全に起き上がれてないうちに、あのクソッタレなパペットジョーカーがまたしても山が崩れてくるみたいなジャンプ攻撃を仕掛けてきやがった!空間全体がグラグラ揺れて、砕けたステージの板がバキバキ飛び散った。幸い、今回は俺から少し離れた場所に着地して、直撃は免れたけど。


俺はようやく、なんとか上半身を起こして、激痛をこらえながら素早く周りの状況を確認した。ハンスは地面にへたり込んでて、口の端から血が滲んでるし、顔色もヤバい。明らかに深手だ。カイナとカレンも近くで倒れてて、ピクリとも動かない。状況は最悪っぽい。


トーマスは…あのダーツが上手くて、いつも明るかった大学生のトーマスが…あっけなく逝っちまった…さっきの凶悪な踏みつけで、見分けもつかない肉塊になっちまってた。クソッ!この二発のいきなりのジャンプ攻撃、どうやら誰も完全に予想してなかったみたいで、マジでヤバいことになった。雪ちゃんが避けられたのは、マジで奇跡中の奇跡だった。


俺が絶望しかけた、ちょうどその時だった。エミリーの涙声まじりの焦った叫び声が、ステージの端っこから聞こえてきたんだ。「大谷!みんなも!」


声の方を見ると、ステージの外側を不安そうにうろちょろしてたエミリーが、医療バッグから素早く取り出したのは…手榴弾?みたいな筒状の金属っぽい物体だった。それを俺たち手負いのグループの近くに、えいやって感じで投げてきたんだ!


ちょ、ちょっ!エミリー、何する気だよ?!そんなもん投げてきて、俺たちごと吹っ飛ばすつもりかよ?!やめてくれよ、マジで!


コトン!


ブツが地面に落ちて、軽い音を立てた。そんで、爆発するかもって思った瞬間、「プシューーーッ!」って音とともに、そいつのてっぺんから白い水蒸気が大量に噴き出してきたんだ!


ものすごく濃くて、ちょっと甘ったるい花の香りが、一瞬でブワッと広がって。匂いは…うん、悪くないかも?


あ、HPが回復していく…あの不思議な花の香りと一緒に、懐かしい温かい感覚が、体の隅々まであっという間に染み渡っていく。バラバラになりそうだった激痛も、奇跡みたいにスッと引いていった。頭の中のシステムメッセージが更新され続ける。「HP:28/100」、「HP:33/100」…


白い水蒸気はあっという間に広がって、周りの十数メートルを覆い尽くし、他の怪我して倒れてたプレイヤーたちも包み込んだ。


「エミリー、マジ女神!」俺は思わず彼女の方に向かって、興奮気味に叫んだ。


頭の中のHP回復メッセージは、「HP:70/100」でようやく止まった。ふぅ…なんとか地獄の淵から半分くらい引き戻されたぜ。


俺は歯を食いしばって、まだ少し残ってる痛みを我慢しながら、一気に地面から立ち上がった。ゴルフクラブを再びギュッと握りしめた。助かったのはいいけど、戦いはまだ全然終わってねぇんだ!


案の定、あのクソパペットジョーカーは、俺たちに息つく暇なんてほとんどくれやしない。エミリーの治療ミストが奇跡的な効果を発揮した後、あいつの動きが、前よりもっと凶暴で、予測不能になったんだ!


ギギギギィ――カシャカシャカシャーン!背中にある八本の細長い金属製のメカアームについてる武器が、まるでヤクでもキメたみたいに、攻撃スピードがまた一段階アップした!レーザーガンの光線、巨大ハンマーの振り回し、電気ドリルの突き、チェーンソーの横薙ぎ…それに加えて、相変わらず防ぎきれないジャンプ踏みつけ攻撃。まさに狂った死のダンスだった!


俺は全身の神経をギリギリまで張り詰めて、パペットジョーカーの細かい動き一つ一つをガン見し、弾丸の雨と刃の嵐の隙間を、必死こいて避けまくった。足の裏から火花が出そうなくらいだぜ!めちゃくちゃキツかったけど、確かにだんだん、あいつの嵐みたいな攻撃リズムに慣れてきてはいた。


だけど…この、まるで最終楽章の序曲みたいな猛攻は、あまりにも激しすぎた。それでも、持ちこたえられないプレイヤーがやっぱり出てきて…


「きゃああああ――ッ!」


甲高い悲鳴が響いた。カイナだ!彼女、何かをしようとしてたみたいだけど、パペットジョーカーのアームについてるマシンガンが、そんなチャンスを与えるはずもなく。ババババッて激しいマズルフラッシュが光ったかと思うと、カイナの体は、一瞬でその凶悪な火力に胴体を真っ二つにされて…血と内臓がブチまけられて、マジで悲惨な光景だった。


カイナ…!かわいそうに…もし観覧車で彼女がロープをくれなかったら、俺たち、とっくにあの場所で詰んでたかもしれないのに…こんな…あっけなく…


泣きっ面に蜂とはこのことか。続いて、またズシン!と重たい音が響いた!


ナパッタポーンだ!あんなに反応が神がかってるヤツまでやられたのか!混乱に乗じて水鉄砲で攻撃しようとしたみたいだけど、ほんの少し躊躇した、その一瞬で、パペットジョーカーのデカい足が、またしても天が崩れるみたいに落ちてきて…あいつをステージの床にめり込ませて、ぐちゃぐちゃの肉塊に変えちまった。


…嘘だろ?


俺の頭は真っ白になって、ほとんど何も考えられなかった。ヤバい…ヤバすぎる!この怒涛の連続攻撃で、こんな短時間のうちに、一気にまた三人やられた!ステージでまだ戦えるのは、もう六人しか残ってない。戦況はもう風前の灯火だ!


俺がまた絶望しかけた、その時だった――


雪ちゃんが不意に動いた!


見ると、彼女はマシュマロ杖を高く掲げ、杖の先を、まだ暴れ狂ってるパペットジョーカーに向けていた。


お、おい!雪ちゃん、何する気だ?!あいつ、すぐに雪ちゃんを狙うぞ!危なすぎる!


案の定、パペットジョーカーの虚ろな眼窩が、すぐに雪ちゃんの方を向いた。メカアームの一本についてるレーザーガンの銃口が、不気味に彼女に向けられ始めた!


ヤバい!雪ちゃんを攻撃する気だ!


「雪ちゃーーん!避けろおおおぉぉぉ――ッ!」俺はほとんど反射的に大声で叫んだ。


レーザーガンが発射される、まさにその刹那――


雪ちゃんの小柄な体が、いきなり物理法則を無視したみたいな、ほとんど瞬間移動に近いワケのわからん角度で、スパァン!と横に大きく移動したんだ!


シュン――!


真っ赤なレーザー光線が、雪ちゃんがさっきまでいた場所をギリギリで掠めて、迸った!

そして…


その致命的な赤いレーザーが、なんとパペットジョーカーの無事だった右足首の弱点に直撃したんだ!「バキッ!」っていう乾いた音がして、頑丈な木の関節が砕け散り、弱点の光も一瞬でフッと消えた!


「ギギィ――!?」


パペットジョーカーが短く奇妙な音を発し、デカい体がビクンと激しく震えたかと思うと、次の瞬間、まるで全身の力が抜けたみたいに、ズドオオオォォンと後ろに倒れていった!


ドドドドドド―――ン!!!


…えええええええ?!


こ、この神業みたいなの、どうなってんだ?!雪ちゃん…あいつ、さっきのわざとやったのか?それともただのクソラッキーか?!


どっちにしろ、パペットジョーカーが倒れた!チャンスだ!


俺は無意識にゴルフクラブを握りしめ、まだ動ける他の奴らと一緒に突撃しようと準備した。弱ってる今が好機とばかりに、残りの足首の弱点に、思いっきりブチかましてやろうとしたんだ!


だけど、俺たちが一歩踏み出すよりも早く、地面に倒れてるパペットジョーカーの体に、いきなりまた新しい動きがあった。


ギィ――ギィ――!


何本もの、冷たく光る金属のワイヤーが、あいつの体から勢いよく飛び出して、先端の鉤爪が、俺たちの頭上にある真っ暗な天井に、グサリと深く突き刺さった!


次の瞬間、ワイヤーが急速に縮み始めた!パペットジョーカーのデカくて重い体が、そのまま無理やり地面から引き剥がされて、ゆっくりと天井に向かって上がっていく!

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