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39 チェーンソー・ジョーカー軍団

またモンスターかよ、今日はツイてないな。


この遊園地、相変わらずウザいぜ。ちょっと進むとすぐ変なモンスターが湧いてきて、足止め食らっちまう。


イ・ユンチョルがいきなり手を上げて、ゴミ箱から飛び出してきたバネ仕掛けのジョーカーを花火筒でぶん殴った。そいつはおもちゃみたいに吹っ飛んで、イ・ユンチョルは冷たく鼻を鳴らした。「こいつら、マジでうぜぇな」


雪ちゃんがキャッと叫んで、ブルッと体を震わせながら前を指差した。「白狼様!あれ、何なの?」


2メートルくらいの高さのスライムみたいなモンスターが、ゆらゆらこっちに歩いてきた。ピンクとブルーのまだら模様で、一歩ごとに「べちゃべちゃ」って気持ち悪い音を立ててた。


「またかよ、今度はなんだってんだ…」ハンスはぶつぶつ言いながら、赤いボクシンググローブをはめた。


俺はゴルフクラブを振るってスライムモンスターを攻撃した。クラブはズボッとそいつの体を貫通してデカい穴を開けたけど、すぐに穴は塞がっちまった。待ちきれなくなったハンスが突っ込んで、ど真ん中に拳を叩き込むと、スライムはカラフルな液体になって弾け飛んで、俺たちにびしゃっとかかった。


「うげっ、キッモ!」イ・ユンチョルが顔をしかめて文句を言った。


次の角を曲がると、ナパッタポーンが空飛ぶわたあめコウモリの群れと戦っていた。「くそっ!」やつはおもちゃの水鉄砲を構えて水を噴射し、何匹かのコウモリを地面に叩き落としてた。


別の場所ではカルテルが風船サルと格闘中だった。「このクソ猿どもめ!」やつは教鞭を振り回してるけど、空を切ってばっかりだ。


モンスターを倒しながら、俺たちはついでに周りの小屋で食料を探した。缶詰とかクッキーとか、あとは雑魚モンスターがドロップしたキャンディがいくつか手に入った。


物資を整理してるとき、ふとカルロスとソフィアが隅っこに隠れてるのが目に入った。ソフィアはポテチを口いっぱいに頬張ってサクサク音を立ててて、カルロスはクッキーの袋をビリビリ破いてるところだった。


イタリア人プレイヤーのカルロスとソフィア。ゲームが始まってからずっと、こいつらベッタリなんだよな。カルロスはデカくて黒い革のコートを着てて、ソフィアはちっこくて可愛い感じ。薄い黄色のドレスを着て、いつもinnocentな顔していた。


「おい、何してんだ?」俺は足早に近づいた。「食事の時間まで待つって話だったろ?」


カルロスは顔を赤らめ、すぐに手のクッキーを背中に隠した。「あはは、わかってないね、ソフィアはちょっと味見したかっただけで…」


「ちょっと味見したかっただけなのぉ~」ソフィアは甘えた声で言いながら、カルロスの腕にすがりついた。「カルロス、だぁいすき~♡」


カルロスはすぐにアホみたいに笑い出した。「大丈夫だよ、俺の分を彼女に分けてあげるから…」


マジでキッッッッッツ! 誰がこんなイチャコラ見てられっかよ!


昨晩の食事のときも同じだった。互いに食べ物を口に運んで「あーん♡」だの「あむっ♡」だの、見ているだけで胸焼けがした。俺様は最低25歳にして彼女いない歴=年齢だぞ、なんでこいつらはデスゲームの真っ最中にイチャイチャできるんだよ、おかしいだろ!


世界の終わりみたいな状況でよくそんなベタベタできるよな。知らない人が見たら、運命のカップルかなんかだと思うぜ!マジで二人の頭掴んでゴッツンコさせてやりたい…いや、それはさすがにやりすぎか。


「白狼様~」雪ちゃんが不意に寄ってきた。「わたしも、ちょっとエネルギー補給した方がいいのかなぁ?」


「食事の時間まで待て」俺はぶっきらぼうに答え、トウモロコシの缶詰をポケットに押し込んだ。


俺たちは長い間歩き続け、途中でだいぶ人がはぐれちまった。モンスターに襲われて怪我をした者もいれば、物資を探している間にいなくなった者もいた。4時間以上歩いた後、ようやく広場に着いた。


広場の近くには歪んだ鏡が二つあった。前に見た三つとそっくりだ。その先にはでっかいゲートがあって、横にはレバー式のスイッチが付いていた。


ゲートには赤いモンスターの頭のマークが貼ってあった――前にタコのボスがいたサーカスの入り口で見たやつだ!


俺はゴクリと息を呑んだ。


「ハンス、あのマーク覚えてるか?」


ハンスは眉をひそめてゲートを見つめた。「ああ、タコ野郎の所にもあったな。また厄介ごとみたいだな」


「白狼様…ちょっと怖い、かも…」雪ちゃんが俺の服の裾を引っ張って、小声で言った。


このマークを見て、心が沈んだ。前のタコ野郎だって相当ヤバかったんだ。今度は何が出てくるかわかんねえ。


「他の人たちをもう少し待った方がいいんじゃない?」エミリーは医療キットをきつく締めながら提案した。


俺は少し考え込んだ。待つのは時間の無駄かもしれねえが、不用意に進むのも危険だ。


時間は刻一刻と過ぎ、空が徐々に暗くなり、夕暮れが遊園地全体を包み込んだ。しばらく待った結果、30人以上のプレイヤーが集まったが、まだ多くの人が来ていなかった。


「まだ待つのか?」イ・ユンチョルがイライラした様子で尋ねた。彼はずっと行ったり来たりと歩き回っていた。


俺は辺りを見回した。空はどんどん暗くなり、これ以上待つのはリスクが増えるだけだ。


「もう待たない」俺は決意した。「みんな、準備しろ。ゲートを開けるぞ」


全員が緊張し、それぞれの武器を握りしめた。俺は深呼吸して、右手でゴルフクラブをしっかり持ち、左手でスイッチを引いた。


ギギギ――


ゲートは金属がこすれる耳障りな音を立てて、ゆっくりと開いた。ゲートの向こうはだだっ広い空間で、両脇には小屋がずらっと並んでた。


そのとき――


ゴゴゴゴゴ!


チェーンソーを持ったジョーカーの大群が前方の空き地から駆けてきた!さらに悪いことに、両側の小屋の屋根からも次々とチェーンソー・ジョーカーが飛び降りてきた!


「なんだってんだ、こりゃ!」ハンスが叫んだ。


覚悟はしてたけど、目の前の光景にはゾッとした。ジョーカーどもは気味の悪いメイクをしてて、手にしたチェーンソーがブォンブォン唸りを上げていた。


俺は考える間もなく、真っ直ぐ前に飛び出した。先頭のジョーカーがチェーンソーを振りかぶって、俺に斬りかかってきた!


アドレナリンが急上昇し、脳裏に『インフィニティ』の「ホラーマナー」ダンジョンでチェーンソーゾンビと戦った時のコツがひらめいた。


イチかバチか!


俺はクラブを振り回し、ジョーカーのチェーンソーを正確に受け止めた。チェーンソーの刃が金属のクラブにガッチリ食い込んで、耳障りな「ギャリギャリギャリ!」って音を立てた。


腕から肩にかけて、ビリビリッとした激しい痺れと痛みが走った。無数の針で筋肉を刺されてるみたいだ。クソッ、ゲームの中よりリアルすぎるだろ! でも、痛がってる場合じゃねえ。俺は奥歯をギリッと噛み締め、腕に青筋を浮かび上がらせて、渾身の力で上に跳ね上げた!


ガキンッ――!


チェーンソーは持ち上げられ、逆回転した刃がジョーカー自身の頭に叩きつけられた。赤い液体が飛び散って、ジョーカーはぐにゃりと地面に倒れ込んだ。


血か? いや、違う、赤い…ペンキ?


考えてる暇はねえ!二人目のチェーンソー・ジョーカーがすでに目の前まで迫っていた。俺は素早く同じ技を繰り出したが、今回は力加減を誤ってしまい、チェーンソーは隣にいた別のジョーカーに直撃した。


コンボだ!


でもこれじゃ足りない。顔を上げると、前から押し寄せてくるチェーンソー・ジョーカーは数えきれないほどいた。少なくとも数十体はいるだろう。小屋の屋根やあちこちから、どんどんジョーカーが湧いてきて、まるで無限ループだ。


「撤退だ!」俺は叫び、急いで後退した。


いつの間にか眼帯を外していたハンスが、俺たちの後ろにある歪んだ鏡を指さして叫んだ。「大谷!あの鏡、『エネルギー流通』の表示が出てる!向こう側に行けるはずだ!」


俺はすぐさま振り返ってその歪んだ鏡を見た。確かに、表面が水面みたいにゆらゆら揺らめいて、キラキラ光っていた。はっ! このクソ忌々しい歪んだ鏡、まさかワープゲートだったのかよ!?ずっとただの飾りだと思ってたのに、こんな機能があったとはな!


「二手に分かれろ!一隊は左の鏡から、もう一隊は右の鏡から脱出だ!急げ!」

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