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第83話 南柾樹 VS グラウコン

「おのれ、ウツロおおおおお――っ!」


 ディオティマの絶叫が潜水艇の中にこだまする。


 機能を停止したメカのむくろが、海面を押し上げて顔を出した。


「なるほど、うまい具合に二対二に持ってきたか。シンプルだが機転の利くことだ。よし、ひとつおまえたちの策に乗ってやるか」


「グラウコン?」


「ディオティマ、悪いが自分のぶんは自分で頼むぞ? 俺はあのキッドの相手をしなければならん」


「まったく、めんどうなことですね……」


「アトランティスがこっちへ向かっている。こんなこともあろうかと呼びかけておいたのだ。しばし、ほんの少しだけ時間を稼ぐだけでいい」


「なるほど、さすがですね。ふふっ、ではわたしは、ボーイの相手をするとしますか」


 魔女と魔人は互いにほくそ笑んだ。


「お?」


 海面が沈むように穴を開ける。


「はあっ!」


 登場したグラウコンは勢いよく宙に浮いてみせた。


「たいしたものだな、柾樹(まさき)! この短時間で目を見張るほどの成長ぶりだ! だがその程度で、この俺に傷のひとつでもつけられるかな?」


 南柾樹(みなみ まさき)に対し見栄を切る。


「ムカついて仕方のねぇ野郎だがグラウコン! あんたとはちゃんと喧嘩してみてぇと思ってたんだ。男のサガってやつよ」


 応じる彼に魔人は腹をかかえた。


「いまどき珍しいやつだ。だが、実に好ましい。軟弱者が多くて困っていたところだったのだ。おまえの言うタイマンとやら、受けてやろうではないか!」


 両者、口角を上げる。


「そうこなくっちゃなあ。久しぶりに真っ当な戦いってもんができそうだぜ?」


「吐いた唾を飲まないようにな?」


 このように応酬した。


(ウツロ、おまえはディオティマを)


(わかってる。ありがとう、柾樹……!)


 ウツロは潜水艇のほうへと降りていく。


「いいやつなんだな、グラウコン?」


「勘違いするな、柾樹。俺には闘争することがすべて、それ以上でも、以下でもない。ただそれだけなのだ」


「いいねぇ、じゃ、おっぱじめますか?」


「若僧に力の差というものを教授してやろう」


「行くぜ――っ!」


「はあ――っ!」


 二つの莫大なエネルギーが、海の上で激突した。

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