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十二日目① 「心臓カテーテル検査を受けてもらおうと思っています」編

十二日目


8月5日金曜日。朝方に女看護師に起こされる。

どうやら採血を4本分取るらしい。採血の回数も重ねてきたので大分血も減ったのではないだろうか。


ふと気になったので、肺炎おじさんは採血が終わった後に目をこすりながらスマホを手に取る。

採血1本で最小10mlで最大20mlらしい。間の15mlだとして20回で300ml。献血が200

ml or 400mlらしいので肺炎おじさんは30回は大丈夫だな!?と考える。

短い間隔で300ml採血しているわけではなく、日々身体で血を作りながら採血しているわけだからなおさら大丈夫だろう。

失血死エンドは避けることができそうだ。


しばらくして女看護師が来て、熱、血圧、血中酸素濃度を測る。

熱は37.1度でまだ微熱があった。


「今日は採尿があるのでトイレに行くときにこの紙コップで取ってきてもらっていいですか?」

女看護師がコップを見せる。


「わかりました。ただ、すぐには出ないかもしれません。」


「急ぎではないので大丈夫です。昼くらいまでに取ってナースコールしてもらえればそれでいいです。」


「どのくらい取ればいいんですか?」


「50mlあればいいと思います。最初の方は捨てて途中から入れてください。」


「了解しました。」


こうして採尿をすることになった……と言ってもコップにおしっこするだけなので特に話すことはない。

初日のように尿道カテーテルを使いましょうとは言われなくてよかった。


朝の食事からしばらく経ったところでトイレがしたくなったのでコップを探す。

そういえば女看護師はどこにコップを置いていくのか言っていなかった気がする。

もしくは自分が聞き逃してしまったか。


自分の周りにないのであればトイレかな?と思い見に行くと紙コップ(蓋付き)が置いてある。肺炎おじさんの名前が書かれたシールが付いているのでこれで間違いないようだ。

肺炎おじさんは問題なく採尿を終えることができたのでナースコールをして女看護師に紙コップを渡した。


9時過ぎに女医がやってくる。


「体調はどうですか?現段階ではまだ心不全の原因は不明です。ただ、腎臓に少し炎症が見られます。初日の尿検査で少しタンパク質が出ていたので、今日は改めて確認するために採尿をお願いしました。心不全に関しては来週には心臓カテーテル検査を受けてもらおうと思っています。今の段階でも心不全であることは分かっていますが、正確にはどれだけ心臓が弱っているのか、血管や心臓に問題があるのか、今までの検査よりも詳細に調べることができます。」

女医は次の検査について説明する。肺炎おじさんは腎臓の話も気になったがそれよりも次の検査の方が気になった。


「ちょっと怖そうな名前の検査ですね。」

「心臓『カテーテル』」とはなかなか不安になる名称の検査である。肺炎おじさんは「心臓にカテーテルぶっ刺すんだろうか……。」と思った。


「腕や足の大動脈にカテーテルを入れてそこから心臓まで小さな機械を入れて心臓を調べる検査ですね。怖いという患者さんも見かける検査ですが、麻酔をした後は余り痛くない検査ですよ。」


───怖いのは多分痛いからではなくて心臓に異物を入れるからなんだけど、それを先生に訴えても意味ないのよね……。


「はい。ちょっと怖いですけど受けます。」

肺炎おじさんが神妙な顔でそう言うと女医は頷いた。


「ああ、それと体調はちょっと微熱があります。夜になると熱が出るのかな?今日は朝もありました。」

肺炎おじさんは最初に体調を聞かれていたことを思い出して話す。


「昨日の造影MRIの影響かは判断が難しいところですね。腎臓の炎症もあるのでなおさらです。もし気分が悪くなったり皮膚が痒くなったら看護師に相談してください。」


「わかりました。」

肺炎おじさんが返事すると女医は病室を去っていった。


10時過ぎにおばちゃん看護師が来て熱、血圧、血中酸素濃度を測る。

熱は36.8度に下がっていた。とりあえずは問題ないだろうか。


「今日着替えをして髪を洗いたいのですが大丈夫でしょうか?」

肺炎おじさんが尋ねる。


「わかりましたよぉ。午後でもいいですか?」


「はい。午後で大丈夫です。」

看護師の都合のよい時間で構わない。


こうして午前中はリハビリとソシャゲの日課をして過ごす。


昼の食事を終える。

食事は相変わらず当たり外れがあって白身の魚はどの調理方法であってもまずい。

でも美味しい料理もあってここ数日だと茶碗蒸しが美味しかった。三つ葉が多く入っていてカツ丼の卵に近い味がしていてとても肺炎おじさん好みの味だったのだ。

市販の茶碗蒸しでも三つ葉が大量に入っている茶碗蒸しは見かけないのでこれはいいなと驚いたのである。

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