表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/30

四日目② 「多分減塩だね」編

昼になると食事が運ばれてくる。

まだ点滴や鼻酸素のチューブがあるのでベッドに台を置いてもらい、ベッドの頭側を上げてもらう。

肺炎おじさんは外食で新しい料理を頼むと写真を撮るタイプのおじさんなので、記念と記録を兼ねてスマホで食事の写真を撮る。


「まっずぅ!?」


食事は白身魚の焼き魚に少なめのごはんと小鉢が2つだったが、この焼き魚がとてつもなくまずい!

塩も味付けもせずにそのまま焼いたかのような味で本当に魚の味しかしない。それも白身魚なのでその味も薄いのだ。

あまり病院食を悪く言うつもりはなかったがこの焼き魚は本当にまずかった。まだ小鉢の方が味がするくらいである。

それでも肺炎おじさんは魚と小鉢を食べきった。ごはんは少し残した。食べられるだけでいいと言われているので許してもらおう。


───初回の食事はおかゆでも出るかと思ったが普通のご飯だったな。

肺炎おじさんはそう思うとお茶を飲んだ。


肺炎おじさんは食事を下げてくれる人がなかなか来ないので、ナースコールで看護師を呼んで食事とベッドの台を下げてもらう。

今回は呼んでしまったが、食事を下げる人が来るまで待った方がよいか、看護師に聞く。


「呼んでもらっていいですよー。」

とのことなので、台があると歯磨きにもトイレにもいけないので呼ばせてもらおう。


そして肺炎おじさんは入院以来初めての歯磨きをした。


午後はソシャゲの日課をする。熱があり、咳も出ているのでガッツリとはやらない。

昨日はモンストのジョジョコラボの電話イベントを忘れていたことに気付き、肺炎おじさんは少しショックを受けた。


二回目の抗生剤の時間が来たのでスマホをしまう。

通常の点滴とは一緒にできない方の抗生剤であったため、女看護師が右手に新しくルートを取る。

肺炎おじさんの血管は見づらいようで最終的に手の甲に取ることになった。

看護師にはっきりと確認したわけではないが、午後の抗生剤が普段と違う抗生剤になるようだ。


抗生剤の点滴が終わって点滴の袋が回収された頃、リハビリ担当を名乗る女性がやってきた。

すらっとした女性で医師なのか看護師なのかまた別のトレーナー的な職なのかは分からなかったので、リハビリ担当の女性と呼ぶことにする。


リハビリ担当の女性によると午前と午後に、足上げ、足伸ばしを左右10回1セットしてほしいとのこと。


「じゃあ今日は一緒にリハビリしましょう。」

とリハビリ担当の女性が言うので、指導を受けながらリハビリを終える。

左右10回なので体力の落ちている肺炎おじさんでも問題なく終えた。


「じゃあ最後に楽だったか苦痛だったか数字で選んで下さい。」

と紙を見せてくる。

7とても楽だった、9かなり楽だった、11楽だった、13普通、15辛かったという感じで6から20まである。

肺炎おじさんは11の楽だったを選んだ。


リハビリの前と後でリハビリ担当の女性により、熱、血圧、血中酸素濃度が測られたが大きな違いはなかった。


夕方になると家族から飲み物の差し入れが届けられる。

今日の昼まで食事がなかったので無糖紅茶を頼んだら入っていたので喜ぶ。


夕食は薄味だが味のついたチキンの煮込みとほうれん草のわさび和えが美味しくて満足する。

特にわさび和えはこういうものが病院食はで出るとは思っていなかったので驚いた。

肺炎おじさんは病院食は焼き魚がダメなのか???と考え込む。


実は肺炎おじさんの妹は肺炎おじさんの入院した大病院とは別の病院で管理栄養士をしているので、ラインで昼飯と夜飯の感想を送る。


「多分減塩だね」、「同じ病院でも管理栄養士や調理師でムラがあるかも?」と返事をもらう。

加えて、参考にするから写真撮ってと言われたので既に撮ってあった今日の分の写真を送る。


妹はわさびが嫌いなので、「わさび和えは美味しかったけど〇〇(妹の名前)は提案しないだろ?(煽り絵文字)」と送ると「私は提案しないけど似たような料理は出してるよー。」と冷静な返事をいただく。


このように肺炎おじさんが妹に3食分の写真を送って食事の感想をラインすることが夜の日課になるのであった。


こうして少し余裕が出てきた肺炎おじさんであったが消灯前に熱を測ると再び38度を超える熱が出ていた。


解熱剤をもらい、さらに氷枕をもらう。昨夜の脇用氷枕がとても助かったので2枚目の氷枕ももらう。


こうして肺炎おじさんは咳と痰と熱の中、睡眠に挑戦する。


しかしもう少しで寝れそうだが寢れない。やはり暑いのだ。

たが、この日は今までと違うことが一つだけあった。変な妄想を見ないのだ。


「ふああああああっ。」

肺炎おじさんは欠伸をしながらもう少しで寝れそうなんだけどなーと考える。


夜中の1時頃であろうか、3人の女看護師が病室にやってきた。


「2本分採血しますねー。」

どうやら採血のようだった。深夜の採血とは珍しい。


しかしこの女看護師3人組は仲がいいのか、雑談が好きなのか、作業中ずっと3人で喋っている。

今は夜中なのだが個室だからいいのだろうか。

肺炎おじさんは看護師たちの雑談自体は気にしないのだが、夜勤だからなのか、妙にテンションが高いので怖かった。

ついでに「じゃあ〇〇さんやってみよう。」みたいな会話もあったのでそれも怖かった。


採血後に氷枕を変えてほしいと頼むと快諾してくれたので肺炎おじさんはそれならいいやとうるさかったことは速攻忘れた。


新しく変えた氷枕は冷えており、さすがに眠気が勝ってきたのか肺炎おじさんは何度も欠伸をする。


こうして入院四日目にして肺炎おじさんは夜明け前に眠ることが出来た。


改定箇所:「じゃあ最後に楽だったか苦痛だったか数字で選んで下さい。」の数字の表記が間違っていたので訂正した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ