↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
126/1753

0126:浄化儀式。

2022.04.25投稿 2/2回目

 ――マジでやるの?


 というのが心の底からの本音だった。

 

 「ナイ、大丈夫なの?」


 リンが私に声を掛ける。


 「……ナイ?」


 意識が上の空になっている私の肩に手を置いて軽く体を揺らすリン。彼女が心配そうにのぞき込んでいるので無理矢理に笑った。


 「え、ああ、うん。……平気」


 まあ、羞恥心だけ捨てれば良い話なのだけれど。それでもまあ、事ここまでに来ても、嫌なものは嫌なのである。

 ちなみに副団長さまによって事態の説明が実施されており、騎士や軍の人たちから物凄い期待の眼差しを向けられている。そりゃそうだ。王都から辺境伯領領都まで十日。さらに移動で二日掛かってるのだから、早く家に帰りたいだろうし。

 

 「黒髪の聖女さま以外の女性はこちらに集まって頂いても?」


 その声にすごすごとソフィーアさまセレスティアさまにアリアさまと侯爵家の聖女さま、そして数名の女性騎士が彼の下に集まった。


 「えっと、行ってくるね。……兄さん、ナイのことお願い」


 「ああ」


 そう言い残して他の女性たちから遅れて走りながら副団長さまの下へ行くリンの背を見送った私は、適当な木の幹を背もたれにして体育座りになって息を吐く。


 「なあ、ナイ。――お前を措いて話が進んでいるが……いいのか?」


 ジークもしゃがみ込んで、心配なのか私に声を掛けてくれるけれど、心配ならこの場から連れ去って欲しいのだけれど。

 ほら、騎士と聖女の逃走劇みたく……あ、バフ系の魔術を掛けまくれば、可能な気がしてきた。いや、でも副団長さまが居るから連れ戻されそう。


 「よくない。よくないけれど私しかできる人間が居ないから、仕方ない……――泣いていい?」


 経験と魔力量を考えると適任者が私しかいないのだ。


 「どうした? 余程だな……浄化の魔術はそんなにやりたくないものなのか?」


 「最初に考えて術式を組んだ人は変態だと思う……儀式だってのは分かるけど……」


 あ、魔術師は総じて変態だったわ。


 「分かるが……?」


 「なんで全裸になる必要あるのっ!!!!」


 考えた人絶対露出狂でしょ! 


 合法的に脱ぐ理由をでっちあげているだけじゃないか!! 


 そりゃ露出狂ならば喜んで脱衣するさ!!!!


 けれど、私は露出狂でも全裸マンでもなんでもない、ただの普通の、平民だっての!


 公序良俗の犯罪者でもなく、変態じゃないっての!!


 「……え」


 目を合わせて喋りかけてくれていたジークが途端に視線を逸らした。


 「その……なんだ、すまん。俺が触れていい話題じゃあない……」


 こっちこそごめんと言いたいけれど、今は余裕がないので返事もせずに不貞腐れてた私。教えてくれた神父さまとシスターは『儀式魔術は一生に一度使うか、使わないか』って言っていたのになあ。


 「はあ」


 儀式は実行しなきゃならないのだからと気持ちを切り替えて、その場から立ち上がると、副団長さまから説明を受けていた女性陣が全員こちらへとやって来た。ジークは空気を読んだのか随分と離れた位置で待機し、リンは私の真横に就いた。


 なんだか女性陣が微妙な顔をしているのだけれど、何かを言うと自分に降りかかりそうだから黙っているのだろうか。

  

 「――聖女ナイ。貴女の加護を賜りたく」


 身分的に一番高いであろうソフィーアさまが前に出て膝を付き、胸に片手を当て頭を下げてそう告げる。他の女性陣も彼女と同様に膝を付き頭を下げた。


 ああ、もう始まっているのだなと口を開く。


 「――"告げる""汝らに我が祝福を"」


儀式系の魔術となるので準備する人たちに私の魔力を纏わせ、身支度を任せられるようにした。本当にこの儀式魔術考えた人は馬鹿だよなあと思うけれど、きちんと効果があるから語り継がれている訳で。

 

 ちなみに嫌な感じを受け流す為の結界魔術は張りっぱなし。面倒だから誰かに代わって欲しい所だけれど、誰も出来ないから一緒に継続するしかない。


 「では、参りましょう。準備はあちらで」


 ソフィーアさまは副団長さまから手渡された書物を速読して、手順を覚えたようだ。セレスティアさまも同様に速読して頭に叩き込んだ模様。アリアさまは騎士の人たちから引っぺがしたマントを数枚持っているので、着替えの時に使うようだ。


 「話は先生から聞いた。男連中は下がらせるから安心しろ」

 

 「というか、見たら死刑ものですわね。警護はわたくしたちが貴女の傍で交代で行い、殿方はさらにその周囲を担います」


 どうやら公爵家と辺境伯家、そして侯爵家の聖女さまの家名も持ち出して周囲に圧を掛けたようだ。ついでに副団長さまも家の名前を出してくれ、騎士団の指揮官さまも家の名を持ち出して下さったみたい。

 

 見てもしょぼい身体なので、見る価値はないのだけれど。一応女で羞恥心はあるから、有難いことではある。


 「――"身を清め""邪念を捨てよ"」


 突っ立ったまますべてを彼女らに任せる。服を脱がされ、頭から水をぶっかけられた後、清拭。髪も香油を塗り丁寧に後ろへと撫でつけられて、紅を注しまぶたにも同様に指で塗られた。


 というか、副団長さまはこの事態をある程度予想していたのでは、と思えるくらいに準備が良い。まあ、情報は上がっていただろうから、備えていてもおかしくはないけれど、事情を教えて……くれていたら逃げてるか。討伐に参加しないわ、うん。


 くそう、嵌められた。


 そう思ってももう遅いし、儀式は始まっているので文句は言えない。補助をしてくれているみんなだって、こんなことやりたくはないだろう。このまま周囲で一昼夜、警備にあたることになっているから。

 私は私語厳禁なので詠唱しか口にすることができないから、おそらくは嫌がるのも想定内で逃げられないように周囲から取り込んだな、副団長さまは。


 「――"我は神の御使い"」


 左手を差し出して、副団長さまから譲り受けた魔術具を外してもらう。


 「――"魔を払う者也"」


 そうして死骸の下へ一歩踏み出すと、魔力がぶわりと溢れ出す。結構持っていかれたなあと少しだけ目を細めながら進んで、ようやくドラゴンの下へと辿り着く。両膝をつき、右腕を差し出して死骸に触れると、べしゃりと嫌な感覚が伝わってきた。

 

 「――"魂は空に""体躯は地へ還れ"」


 魔術陣が私がいる地面に展開された。あとはもう魔力を注ぎ込むだけで、ある意味で死骸となったドラゴンとの根競べだ。

 この世に恨み辛みが強ければ時間が掛るものらしい。あとドラゴンは巨体なので、その辺りも時間が掛かる理由になるだろうと、完全に目を閉じて集中するのだった。


 なにかしらのオチを付けたい作者。奇麗な聖女なんて主人公にやらせません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◇新作・連載中 ◇
夫を亡くした私ですが息子と一緒に幸せになります
~代筆と繕い物、ときどき騎士さま~

母と息子が紡ぐ、優しい再出発の物語。時々、騎士さま。
▶ 作品を読んでみる

魔力量歴代最強な転生聖女さま コミカライズ第1巻

魔力量歴代最強な転生聖女さまの学園生活は波乱に満ち溢れているようです 1~王子さまに悪役令嬢とヒロインっぽい子たちがいるけれど、 ここは乙女ゲー世界ですか?~
コミカライズ第1巻
2026.09.17発売!


画像クリックで公式ページへ

魔力量歴代最強な転生聖女さま

魔力量歴代最強な転生聖女さま
コミカライズ版
2026.04.10~各電子書籍サイト 第一話~第五話
配信開始!


▼コミックシーモア(一話分先行)作品ページ▼
▼ニコニコ漫画はこちら▼
▼集英社公式ページはこちら▼


画像クリックで集英社公式ページへ移動します

▼電子書籍

【Amazon Kindle】

▼紙書籍 購入はこちら

【Amazon】
【honto】
【楽天ブックス】
【紀伊国屋書店】
【7net】
【e-hon】

▼店舗特典

【書泉・芳林堂書店限定SSペーパー】
【書泉限定 有償特典アクリルコースター】

― 新着の感想 ―
きっと続編は18禁仕様なんだよ!それかギャルゲー
儀式を考案した人が変態……… つまり作者が変態では? ボブは訝し(ry
これはひどいw 考えた人さいてーww あとがきがすべてを語るw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。