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夢見る青年の日記

作者: 月下氷人

最近彼女に振られた。


今まで色恋沙汰とは縁がなく、25年の人生で初めて出来た彼女だった。どうやらクリスマス近辺で彼氏がいない状態は恥ずかしいという認識でとりあえずの繋ぎに使われたらしい。1ヶ月だった。


「あなたには私よりももっといい人がいる気がする」


そんな言葉が聞きたいんじゃなかった。

今まで居なくて当然だったものが、出来てしまったことで穴が空いたように感じるのは人の性であろうか。


最初からそのつもりで告白されたのだろうに浮かれていた自分を思い返すと、恥ずかしさやらなんやらで死にたくもなるが社会人として歯車を回す日々は変わらず過ぎていく。


変わったことと言えば前より少し人間不信になったくらいか。


今日は金曜日だから今週も一週間頑張って乗りきったご褒美と称して少しだけ晩酌用のおつまみを買って帰る。最近はお酒にめっきり弱くなってしまって飲むとすぐ眠くなってしまう。コロナで外で飲む事がなくなったからだろうな。


今日もまたすぐに眠気がきて──



───



いつもの修練場で私達は向き合っている。


今日は快晴。魔王軍の修練場にも暖かな日が差し込んでいる。良い天気だからか私の調子も絶好調である。


少し離れた所では如何にもな魔女スタイルの彼女がこちらを見ている。今日の相手は彼女だ。相手にとって不足はない。


どうやらオーディエンスもそこそこ集まって居るようであちらこちらから賭けをしているような声が聞こえる。とはいえ流れ弾が怖いのか群衆は離れた先から観戦しているようである。



少しずつ緊張感が高まっていくのを感じる。



相手は杖の先をこちらに向けて牽制しているがお互いの距離は20メートルほど。少し踏み込めばすぐに殴れる距離だ。飛んでくる弾を避けながら跳び込んでいって──



───



特段アラームの音で目を覚ますでもなく、水の中から浮かぶようにゆっくりと意識がもどる。何か良い夢を見ていた気がする。


自分が鬼族のクール系美少女になって魔王軍的な所で宰相をやっている夢だ。夢の中の僕は宰相の割に武闘派で素手で戦う脳筋っぽい人間だった。普段は宰相として頭を使う仕事をしているけれどもこと戦いにおいては殴って倒すスタイルだ。かっこいい。


目が覚めてくると途端に後悔の念に襲われる。何て楽しそうな夢だったのにこんな途中で目が覚めてしまったのか!



もう厨の二の病にかかるような歳ではないし転生やら転移を夢見ている訳ではないのだけれど、やはり幾つになってもファンタジーを感じることにテンションが上がることは止められない。


二度寝でもう一度続きが見れないかな。多分無理だろうけど──



───



「やっぱり強いわね」


そう声をかけてくるのは魔王軍で四天王的なものをやっている魔女のエレザだ。彼女は非常に優秀な人材でこれまで帝国を攻める上でも多くの功績を残している。


そんな彼女に勝てたのは形式と最初の距離が私に有利だったからに他ならない。これがもっと離れていれば弾幕によってもっと苦戦を強いられていたはずだ。


「そんなことないわよ。もっと自信を持ちなさい」


ありがとう。そう言って貰えると助かる。

とはいえ私の本領は宰相として知略を廻らせること。余り暴力に頼るのは好きではないのだが。


「本当にその辺り面白いわね。どうして物事を全て争いで解決するような脳筋しかいないような鬼族からこんな子が産まれたのかしら?」


そんなことを私に言われたって知る訳がないじゃない。私はそれほど頭が良いわけでもないし。


「宰相がそんなこと言って良いの?」


これに関しては周りが酷いとしか言いようがない。私レベルでなれるなんて魔王軍は本当に大丈夫なのかと心配ですらある。


「まぁ元々は力で示すような人たちの集まりだもんね」


何か起きる度に戦って勝った方が正義とかやめて欲しい。こんなんだから私が大変なのだ。あくまでも人間に滅ぼされないように頑張っているというのに──



───



うむ。何となく続きは見れた。

こうも上手くいってしまうと少し期待してしまう。



いつか夢の中のあの世界が現実になり、こちらが夢ということにならないだろうか。



まさに胡蝶の夢というものであろう。

現実的に考えるとあり得ないことではあるが否定など誰にも出来はしない。悪魔の証明と同じだ。


さて、いつもと変わらない今日が始まる。


今日は何をして過ごそうか。

今日寝るときの夢はどんなものだろうか。

少しだけ傷ついた私の心を埋めるようなものだろうか。


代わり映えしない世界で少しだけ前を向く──


こんな駄作を読んでくださりありがとうございます。

少しずつ肉付けしていってもっと良い作品に出来ればとは思っています。

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