第一章 商業の街アートリオン 第一話 若者たちの覚悟
パンドラボックス 第一章 商業の街アートリオン
第1話 若者たちの覚悟
―利用規約―
・ツイキャス、ニコニコなどで上演する際は、作者に断わりの必要はございませんが、連絡やツイッタ―通知を出していただけますと、録画や上演枠に顔を出させて頂きます。
・上演する際はこの台本のタイトルとURL、作者、配役表をコメント欄にのせていただきますようお願いいたします。また、mojibanなど補助ツールの使用は可能としますが、台本のURLの代わりにするのはやめてください。
・過度のアドリブ(世界観の改変)、性転換は一切しないようにお願いします。また、適度なアドリブや読みにくい個所の語尾改変は、世界観の変わらない程度ならOKといたします。
・無断転載はしないでください。もし、発見や連絡があった場合、作者が確認したのち法的処置を行いますのでよろしくお願いします。
≪登場人物≫
ラーク・ウィッシャー:15歳。第一次グランハルト帝国戦争を戦い抜いたクラッチ・ウィッシャーの息子。職業は魔法剣士。剣の技術に秀でているが、魔法に関してはてんでダメ。下級魔法でも最弱の威力しか出せない。グランハルト帝国の皆が持っている力、「グラン」を持っているが、うまく自分の力を理解していない。熱い性格で常にポジティブな考えを持っている。
ミカエル:15歳(人間年齢)。ラークの夢の中に現れた天使。容姿はかなりの美女。彼女の歌う歌には癒しの効果があり、支援要因として主人公パーティーを支える。なにかわけがありそうだが……
ジョージ・ブライアン:性別おかま。40歳。クラッチとともに第一次グランハルト帝国戦争で戦った英雄。第一次グランハルト帝国戦争時の年齢は30歳。職業クラスはハンドガンがメインウェポンのガンナー。スナイパーライフルも巧みにこなすことから、グランハルト帝国戦争時は王城からクラッチたちの通信を頼りにガベルと戦った。現在では『なんでも屋じょーじ』を経営している。グランハルト帝国の皆が持っている力、「グラン」を持っている。
アンジェ・クレイトル:12歳の関西弁をしゃべる少女。初登場シーンは???表記。商業の街アートリオンの出身。職業クラスは魔術師だが、詠唱に関してはかなりのオリジナル。だが、自分の出したい魔法晶術が出せてしまうことから、アートリオンの中では変わり者と言われている。商業の街アートリオンでクレイトル市場を経営しているクレイトル一家の看板娘。グランハルト帝国の出身ではないため、『グラン』は使えないが、『覚醒』を備えている。だが、覚醒するためには条件があるらしく、その条件を満たしていないため、発動したことはない。
クルーラ・クレイトル:40歳。関西弁で話す。商業の街アートリオンにて、クレイトル市場を経営している。職業クラスは行商人。特殊職業クラスであり、彼の話に背くものは行動不能となる。基本的に温厚だが、気に食わないことが起こると、自分の持っている能力で自ら制裁を下す。アートリオン市場会の会長も務めている。
ミシェル・ベルサス:15歳。アンジェの幼馴染。職業は???(アンノウン)。アンジェのことが好き。だが、彼女には気づいてもらえずにため息をつくことが多い。根はしっかりとした男の子だが、隠されていることが多すぎる。
チンピラ:ブイブイ言わせてください。
【配役表】
≪メイン≫
ラーク(不問):
ミカエル♀:
ジョージ♂:
アンジェ♀:
クルーラ♂:
ミシェル(不問):
≪サブ≫
魔物:
チンピラ:
~本編~
(エクスティア街道付近)
ラークM「グランハルト帝国騎士団の騎士団長である父さん……クラッチ・ウィッシャーからの命令で、業魔ガベルを倒すためのパーティー探しの旅に出ることになった俺は、商業の街アートリオンに向かうため、エクスティア街道へ向かっていた。」
ジョージ「さ、ここから先は魔物も出てくるわよ。気を引き締めてね。」
ラーク「そんなのわかってるさ。町の外は魔物がいっぱい。父さんにも言われて……」
魔物「グルァァァァ!!」
ラーク「うわぁ!」
ジョージ「アイスバレット!」
魔物「ウグァァァ……」
ラーク「魔物が……凍った。」
ジョージ「こういうことになるから気を付けてね。」
ラーク「わかった……やっぱり、実際に外に出ると違うんだなぁ……」
ジョージ「そうよ。クラッチの修行じゃなくて、実戦になるからそこを意識しないといけないわよ。……っと、そう言っている間についたわ。エクスティア街道よ。」
ラーク「ここが、エクスティア街道……」
ジョージ「そうよ。この道が商業の街アートリオンへの最短経路よ。」
ミカエル「地図にもちゃんと表示されていますね。ここから商業の街アートリオンまで15分ぐらいですかね」
ラーク「なるほど……地図のここが、アートリオンか。」
ミカエル「……ちょっとラーク。」
ラーク「ん?」
ミカエル「顏が近いわ。少し離れて。」
ラーク「ん……あ!ごめん!!」
ジョージ「まったく……」
アンジェ「あ?なにざけたことぬかしとんねん!!返さんかい!」
ラーク「ん?なんだ?」
ジョージ「少し騒がしいわね……」
ミカエル「行ってみましょうか?」
ジョージ「まぁ、時間的には余裕があるけれども……どうするの?ラーク隊長?」
ラーク「う……その呼ばれ方なれないなぁ……とにかく行こう!」
ジョージ「(ミカエルと同時で)了解よ。」
ミカエル「(ジョージと同時で)わかりました。」
―間―
(エクスティア街道)
チンピラ「返せやと?あんな、嬢ちゃん。この茸はワシらが見つけたもんやで?やったら、ワシらが持って帰るんがスジっちゅうもんじゃろがい!」
アンジェ「何ぬかしとんねん!ウチが先に獲ったもんやから、ウチの……」
チンピラ「じゃかぁしゃい!!調子のっとんちゃうぞクソガキ!!いてこますぞ、ゴラァ!!」
アンジェ「調子乗っとんのどっちやっちゅうねん!!ウチを誰やと思っとんねん!!」
チンピラ「知るかボケ!てめぇみてぇな小便くせぇクソガキなんざぁ!おい、お前ら!出てこいや!!」
ー間ー
アンジェ「ちょ!あんたらそれは卑怯ちゃうの!!女の子1人に大の大人が3人がかりって……」
チンピラ「うるせぇ!!ごちゃごちゃ抜かしよってからに!!お前ら!やっちまえ!」
アンジェ「……ッ!!そっちがその気やったら!覚悟しぃや!チンピラ!!」
チンピラ「てめぇみてぇなチビになにができ……ってこれは……魔法陣!?お……おい……待てよ……」
アンジェ「カッチコッチ!どっかぁぁん!」
チンピラ「おま……ちょっ……それは……」
アンジェ「ストーン・ボム!!」
チンピラ「ぐぁぁぁぁぁ!!!」
―間―
ラーク「なに……今の……」
ジョージ「詠唱破棄ってやつかしら。私も初めて見たわ」
ラーク「詠唱破棄?詠唱って魔法を使う上で必要だって母さんに教わったんだけど……」
ミカエル「正直な話、そこまで必要ではないの。頭の中で使いたい術式を構成していれば、言葉なんてなんでもいい。あなたのお母さんが言ったのは、おそらく魔術の基本の話だと思うわ。」
ラーク「へぇ……」
ミカエル「ただ、ラークが使うと失敗するからちゃんと詠唱を覚えることを勧めるわ。」
ラーク「それはどうして?」
ミカエル「詠唱破棄って思いのほか頭を使うのよ?詠唱するのは、術式を整えるための方法の一つ。術式一つ間違えるだけで、自殺魔法になることもあるのだから。そうならないようにあなたのお母さんは教えたと思うの。」
ラーク「…………」
アンジェ「なぁ、誰なん?自分ら?」
ラーク「ん?俺たちのことか?」
アンジェ「あんたら以外に誰がおんねん……堪忍したってぇなぁ」
ジョージ「私たちは旅の者よ。あなたこそ、その身なりを見る限り商人ね。商人なら、自分の名前をきちっと名乗りなさい」
アンジェ「あぁ、せやな!うちはアンジェや!よろしく!ゴリラのおっちゃん!」
ジョージ「ご……ゴリラ……それにおっちゃんって……私はオネェさんよ!まったく……ん?」
ラーク・ミカエル「(笑いをこらえている。ラークは微妙に吹き出している)」
ジョージ「こほん……それで?アンジェはここで何をしていたのかしら?」
アンジェ「んぁ?ウチか?ウチはな、この先の森にあるレアな茸を手に入れに行っとったんやけど、あいつらが邪魔してきよってなぁ……おしおきしててん!……って、うぬぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ラーク「どうしたの!?」
アンジェ「はぁ……逃げられてしもうたぁ。ウチが大切にしとった茸がぁ……」
ジョージ「それは災難だったわねアンジェ……あ、そうそう。私たちアートリオンに行きたいのだけど……」
アンジェ「あぁ……そんならこの道1本やん!ウチつれてったるで!」
ラーク「本当か!助かるぜ!」
アンジェ「ほなこっちやで!」
ジョージ「ありがとう。助かるわ。」
―間―
(アートリオン中央広場)
アンジェ「おーい!ミシェルー!」
ミシェル「ん?アンジェ!!どこ行っとたん?」
アンジェ「ん?言っとったやん?ハルト茸採りにいっとたんや!」
ミシェル「は!?っちゅうことはハルト渓谷にいっとったんか!?そんな危ないとこ、俺に言ってくれたら行ったのに!」
アンジェ「アホか!あんた、その折れた腕で何ができんねん!それにあんた、ハルト茸取りに行ってその腕折ったんやないか!」
ミシェル「それはそうやけど……あ、それよりハルト茸は?」
アンジェ「あかんかった……採ったのは採ったんやけど、チンピラに奪われてもうた……」
ミシェル「そうなんやぁ……それは残念やったなぁ……けど、困ったわぁ……ハルト茸で作ったポーションを明日にはカルロスさんに渡さなあかんのに……」
アンジェ「せやなぁ……あれがないと、カルロスさんの息子の病気治らんのに……」
ジョージ「なに?あなた達、ハルト茸が欲しいの?」
アンジェ「せやねん……けどな?さっきのチンピラにパクられてしもうたやろ?そのおかげで、うちの採ってきたハルト茸が無うなってしもうたんや……」
ジョージ「そういうことなのね……私の持っている物でいいなら上げるわよ……ほら。」
ミシェル「これは……ハルト茸!?しかもめっちゃ大きいやん!?」
ジョージ「覚えておきなさい。ハルト茸は、渓谷に生えると言われているけれども、条件さえそろえば、栽培もできるのよ。これは私お手製のハルト茸よ」
ミシェル「そんな!もらえへんって!こんなの!こんな大きさなら1個400ルビーするんやで!?」
ジョージ「あなたも商人ならわかるでしょ?これは売買契約よ。」
ミシェル「売買契約……」
ジョージ「そ。お金の代わりにあなたから情報をもらいたいの。わかったら受け取りなさいな」
ミシェル「は……はい!ありがとうな!ほら、アンジェも」
アンジェ「あ……ありがとう……え~と……」
ジョージ「ジョージよ……こっちはラーク。そしてミカエルよ」
ミカエル「よろしく……」
ラーク「よろしくな!」
アンジェ「うん!よろしく頼むで!それより、売買契約ってどないするん?ウチ等、金の持ち合わせ家に帰らなないんやけど。」
ジョージ「お金はいらないわよ。私たちは情報が欲しいの。アートリオンの文献についてね。そのために、この街の長に会わせてくれないかしら。」
ラーク「え!?そんなこと頼んでいいの!?」
ミカエル「おそらく大丈夫だと思います。」
ラーク「え!?」
ジョージ「私が渡したハルト茸はそれぐらいの対価になるはずだもの。どうかしら?あなたたち?」
アンジェ「それぐらいならええでぇ?」
ミシェル「ほな、先に行ってるからアンジェ、案内したってな!」
アンジェ「えぇでぇ!」
ラーク「え?いいのか?」
アンジェ「えぇよ!ウチもハルト茸のお礼したいねん!」
ジョージ「それじゃぁ、よろしく頼むわ」。
アンジェ「こっちやで!」
―間―
(アンジェの家)
アンジェ「ただいまぁ!帰ったで~!!」
クルーラ「ん?アンジェ!帰ったで~やないわ!何しとったんや!」
アンジェ「言うたやん!森にハルト茸とりに行くって!」
クルーラ「にしても時間がかかりすぎやろ!どれだけ心配したと思っとんのや!」
ジョージ「まぁまぁ、それぐらいにしてあげてちょうだい。この私に免じて。」
クルーラ「誰やねん人の家に土足で上がりこんで……ん?なんやゴリラやないかい!野生のゴリラが何でここにおるんや?」
ジョージ「(少しゴリラのモノマネをして)ゴリラじゃないわよ!!ってあなたたちも笑ってないの!」
ラーク「(笑いながら)だって!ゴリラって!!」
ミカエル「(笑いながら)ジョージのゴリラも似ててお腹が痛いです」
ジョージ「っもう失礼しちゃうわね!……まったく……この街の人間なら私の名前を知らない人はいないはずだけど?ましてや、あなたなら……ね?」
クルーラ「いやぁ、もちろんやで!『なんでも屋じょーじ』のジョージ!久しぶりやなぁ!」
ジョージ「久しぶりね……クルーラ。何年振りかしら?」
クルーラ「それこそグランハルト帝国戦争の後の復興祭以来やから、5年ぶりぐらいちゃうか?」
ジョージ「そうね。懐かしいわぁ。」
ミカエル「ジョージ……この方は?」
クルーラ「そういや、自己紹介がまだやったな!ワシの名前はクルーラ・クレイトル!このクレイトル市場を取り纏めとるもんや!」
ラーク「え!?市場って、街半分以上あったけどあれ全部!?」
クルーラ「せや!この広い市場を一人で仕切っとる。職業は行商人……ま、代わりもんの能力やわ。」
アンジェ「ウチはアンジェ・クレイトル!職業は魔術師や!」
ミカエル「あの、アンジェさん……」
アンジェ「あぁ、うちのことはアンジェでえぇで!ミカエルちゃん!」
ミカエル「そ……そうですか?それでは、そう呼ばせていただきましょう。アンジェ。あなた詠唱破棄を使っていたみたいなのですが、詠唱はどうしたのです?」
アンジェ「なんや、そんなことかいな。んま、詠唱破棄に関して言うんなら、ただめんどくさいから読んでへんだけや!術式はこの職業をものにするためにすべて入っとるからな!」
ミカエル「そうなのですね。」
クルーラ「んなことより、ジョージ。なんでお前さんがここに来たんや?この時期は、あんさんの店も忙しいやろ?」
ジョージ「実はね……」
―間―
クルーラ「なるほどな……第一次グランハルト帝国戦争の時に現れた業魔ガベルが、またグランハルト帝国に現れたっちゅうことかいな。……それで、業魔ガベルの討伐のためにそちらの騎士団長が自分の息子に、パーティー探しの旅をさせとるっちゅうわけかいな?」
ラーク「そうなんです」
アンジェ「……なぁ、お父っちゃん!ウチ、その旅について行ったらあかんかいな?」
クルーラ「あかんことはないけど、店はどないすんねん。お前を見に来る客だっておるんやで?」
アンジェ「んなもん、ウチはあのおっさんらとベッドで寝とるわけやないんやし、おらんくても大丈夫やろ」
ミカエル「そういう問題なのですか?」
アンジェ「そんなもんや!ほな、準備しよか!」
クルーラ「あんさんら、よかったら、滞在期間の間、うちに泊まってかへんか?そのほうが宿代浮いてえぇやろ?」
ジョージ「助かるわ。でも宿代というわけじゃないけれど、食費として300ルビー受け取ってくれるかしら?」
クルーラ「アホか!どれだけの宴会するつもりやねん。んなもん……」
ジョージ「これからあなたに聞く情報料よ」
クルーラ「……なんやて?」
ジョージ「パンドラボックスの情報がほしいのよ。ほら、以前あなたが話してくれたでしょう。その情報の載っている文献かなにかはないかしら。」
クルーラ「……あぁ……それやったらアートリオン中央図書館の禁書のフロアやな」
ラーク「それは俺達でも入れるんですか?」
クルーラ「あぁ、ワシの名前を使えば入れるから安心せぇや。『クルーラさんの弟子です!何かあればクルーラさんに言いつけますよ~』って言うてな」
ラーク「脅しじゃないですか!?」
クルーラ「せやで。あ、あと少年にええこと教えたろ。」
ラーク「ええこと?」
クルーラ「せや。あのなぁ、少年。世の中なぁそんなにきれいな話ばかりやないんや。特に商人の世界はなぁ」
ラーク「あきんど?」
ジョージ「この街の商人を表す言葉よ」
ミカエル「どういうことです?」
アンジェ「ウチはしてへんけどな。物を買うてもらうために体を売る商人もおるんよ。ウチの友人にもおるけど、すごいらしいで。商品の売れ行きとかも含めて。」
ラーク「そんなことが平気で行われているなんて……」
クルーラ「もちろん、全員というわけやない。せやけど、やっている人間は多かったで。男も体を売る世界やったからなぁ。」
ジョージ「あら?男も売るの?珍しいわね」
クルーラ「むしろそっちのほうが多かったんや。20歳にも満たん肌のきれいな男がおる店は、息子に貴族の女を抱かせて、商品を買うてもらいよった。昔は独禁法なんてなかったからなぁ。そんな商売しとるよってに、その人間の店がかなり繁盛したっちゅう訳や。ワシが長になる前からやったんやけど、あまりに経済的格差が出て潰れてまう店が増えてきてなぁ。100ルビーっちゅう、金額の上限をつけさせてもろたり、1日1回までにするっちゅう決まり事をワシが長になってから、独自の独禁法として制定したんや。」
ミカエル「……悪しき風習ですね」
ラーク「ミカエル!」
クルーラ「いんや、嬢ちゃんの言う通りや。悪しき風習やでほんま……今はワシが規制して少しはおさまったんやが、そう言う『人に知られたらあかん』歴史も各国にはあるんや。」
ミカエル「それと図書館にどういう関係が?」
クルーラ「禁書というのはそういう性描写の激しいもんもあるってことやし、吐き気を催すような気持ち悪いもんもある。つまりは、各国の禁句がかなり詰まってるんや。」
ラーク「禁句?
クルーラ「ま、そのあたりはまだ知らんでえぇ。知ってしもうたら調べ物にならんやろ?ウチの禁書庫にはこの街やグランハルト帝国を含めた『五大国』の知られたくない歴史、まぁ、ドレイ制度や差別、殺戮の歴史も書いとる。つまり、そこの書物を読むんは、あんさんらの覚悟が必要や。知ってはいけない歴史を知る覚悟。あんさんらにその覚悟はあるんか?」
ラーク・ミカエル・アンジェ「!?」
クルーラ「それらの歴史を受け入れる覚悟がなけりゃぁ、パンドラボックスなんて見つからんわ。」
ジョージ「もちろん、私にはあるわよ。けど、幼き戦士たちには、少し刺激が強いかしら?」
クルーラ「かもしれんなぁ。さぁ、どうや。答えてみぃ!」
―間―
ミカエル「……少し考えさせてください」
ラーク「俺も……」
アンジェ「……ウチもやわ。自分の国ならえぇけど、他の国のんは怖い……」
クルーラ「よっしゃ!えぇで!晩飯まで時間はかかる!その間ゆっくり考えんさい!」
ジョージM「さぁ、彼らはどのような決断をするのかしら。とりあえずは様子見かしらね……」
―間―
(アートリオン港)
ラーク「はぁ……知る覚悟か……アートリオンの図書館で文献を調べたら、この国のみならず、グランハルト帝国の『知られてはいけない』歴史も知ることになる。その歴史を知ったとき……俺は……」
ー間ー
ラーク「さて……戻るか……え!?どうしよう!!ここどこだ!?……あっちもこっちも、見慣れない店ばかりだ……」
クルーラ「ん?あれは……ラークは~ん!!」
ラーク「!?ん?この声は……」
クルーラ「こっちや!ラークはん!」
ラーク「あ、クルーラさん!どうしたんですか?そんなにたくさんの荷物……」
クルーラ「あぁ……ジョージにどんだけ滞在するか聞いとったたさかいな。この若いの連れてその分の食料買うてたんや。……なぁ、クルスト!これを持って、店に帰っといてくれへんか?……あぁ?しょうもないこと抜かしとんちゃうで?これぐらいお前さんの職業ならいけるやろ?わかったらさっさと運ばんかい!ほら!今日の晩飯、大盛りにしたるさけぇ!……はぁ……最近の若いもんはこれやからいかん……さて、ラークはん、すこし茶でもしばきましょか?」
ラーク「え?茶でもしばく?」
クルーラ「あぁ……初めて聞く言葉かいな」
ラーク「えぇ……恥ずかしながら……」
クルーラ「せやろなぁ。いままで外に出たことなかったやろ?」
ラーク「はい」
クルーラ「なら知らんで当然やな。せやなぁ……あんさんらのわかる言葉で言うと……喫茶店に茶でも飲みにいかへんか?ちゅうことやわ」
ラーク「あぁ……それなら……でも、どうして?」
クルーラ「あんさんの顔が、いかにも悩める若人の顔しとったからなぁ!悩める若人を救うんはワシら大人の役目や。あそこに侘び寂びのきいた旨い飲み物出す喫茶店があるさかい、そこいこか!好きなん頼んでえぇで?あぁ、せや。パフェとかはやめたってや?せっかくのアートリオンで一番うまい飯が食われへんくなるからのぉ」
ラーク「わかりました。ありがとうございます。」
―間―
(喫茶「アートリー」)
ラーク「(ジュースを飲む)……おいしい」
クルーラ「せやろ?果汁の甘さが最高やろ?ここのスイカジュースはオススメなんや。あ、このミックスジュースも飲んだらえぇ!めっさうまいんや!」
ラーク「ありがとうございます。けど、こんなにいっぱい……」
クルーラ「気にせんでえぇって、そんなもん……言うたやろ?悩みのある若人救うんは、ワシら大人の仕事や。」
ラーク「ありがとうございます。」
ー間ー
クルーラ「……さて、騎士隊長はん。そろそろ大人の話し合いやで?あんさんの悩みにもおそらく直結するやろうしな。」
ラーク「!!」
ラークM「なんだ!この体がこわばるほどの威圧感は……まさか、これが職業行商人の力……」
クルーラ「すまんなぁ。あんさんみたいに警戒心が強いもんは、能力をちぃっと使わな話されへんさかいなぁ。せやないと、あんさん逃げよるやろ?ワシの領域からは一歩もださんでぇ。」
ラークM「この威圧感。さすが、この街のボス……温かかった空気が一気に凍り付いた。」
クルーラ「あぁ、あと、ワシの質問にはきっちり答えてもらうで?言動には気をつけなはれや。」
ラークM「くそ……本当に動けない!それに、言動に気をつけろってどういうことだ?」
クルーラ「さて、ラークはん。あんさんはグランハルト帝国の歴史をどのように理解しとる?」
ラーク「グランハルト帝国の……歴史……ですか?」
クルーラ「せや。第一次グランハルト帝国戦争。これがなぜ起こったんか。どのように騎士団から聞いとる?」
ラーク「えぇと……帝国の歴史書を、読ませていただいたときに書いてあったのは、『農業、工業、商業、芸能の四つの街が力を合わせ、グランハルト帝国に攻め込んだために起きた、防衛戦争のこと』と記載されていた気が……」
クルーラ「なんやて!?……はぁ……そこからして違うんかいな……」
ラーク「違うって?どういう……」
クルーラ「本当の歴史がすべて違うんや……今から話す話聞いて、ショック受けなや……ラークはん……」
ラーク「はぁ……」
クルーラ「この戦争な……先に起こしたのはグランハルト帝国なんや」
ラーク「なんですって!?」
クルーラ「このことは、他国から来よったこの国に住んどる商人も……もちろん、グランハルト帝国から来た商人も、みな知っとる事実やねん。」
ラーク「うそ……でしょ?」
クルーラ「おそらくあんたのお父っさん、おっ母さんも知らん事実やと思うわ。すべての歴史を知っとる騎士団の団員は、そういないはずやで。特に若いもんはその事実を知らずに、騎士団の教育で嘘ばかり教えられとるさかい、まともな歴史を知らんやつが多いんちゃうか?」
ラーク「そんな……うそだ!俺が教えられた歴史が嘘なはずがない!」
クルーラ「まぁ、そう思うんは自由やけどなぁ、それを受け入れんことには、パンドラボックスにはたどり着けんでぇ~」
ラーク「……さっきから気になっていたのですが」
クルーラ「なんや?スリーサイズ以外ならなんでも答えるで?」
ラーク「え……あ……いや、スリーサイズに興味はないんですが……パンドラボックスと五大国の歴史が関係あるってどういうことなのですか?」
クルーラ「あぁ。そんなことかいな」
ラーク「いや、そんなことって」
クルーラ「あんな?パンドラボックスっていうんは『この世の禁句』からできとんねや」
ラーク「この世の禁句?」
クルーラ「せや、五大国の禁句。それらを封印するために、神様はパンドラボックスを作ったんや」
ラーク「さっきから言っている禁句って、何ですか?」
クルーラ「それは……ま、直わかるやろ」
ラーク「直わかるって……でも、話を聞いている限りだと、クルーラさんの言っているそれだって、隠蔽工作と変わらないじゃないですか」
クルーラ「……せやな……確かにそうや。なら、これを言ったら少しは信用してくれるんちゃうやろか?」
ラーク「え?」
クルーラ「あんさんに、伝えたいこと……まぁ、これは万国共通の歴史やから知っとるやろうなぁ」
ラーク「……?」
クルーラ「(咳払い)『五大国はそれぞれ5人の神様が統一しとりました。その神様が統一した国は自国の文化を最大限に活かし、繁栄へと向かいました』……どや。このフレーズに聞き覚えあるやろ?」
ラーク「その歴史は知っています。アートリオン帝国歴史書物の135ページ。5大国の繁栄に書かれています。」
クルーラ「おぉ、流石騎士団長の息子はん。よう覚えとるなぁ。ただ、そっから先の記述はあんさんらの所にある書物は抜けとるんや。」
ラーク「え!?」
クルーラ「そして、ワシらのところにある、『五大国の歴史』という書物にも同じ文言が書かれとってなぁ。その歴史には続きがあるんや。知らんかったやろ?」
ラーク「続き?」
クルーラ「せや。その様子やと本当に知らんかったみたいやな。ええか?ここから先がこの歴史の禁句なんや。」
ラーク「え!?どういうことですか?」
クルーラ「……『神様が整えた国も次第に綻びが見え始めました。表立っては繁栄していた国々でしたが、裏ではドレイをもちいた商売や、風俗業、暗殺稼業が盛んにおこなわれるようになりました。』」
ラーク「!?」
クルーラ「『それぞれの国で行われたこの裏の稼業は繁栄の力となりましたが、一方で、その国を衰退させる悪しき文化となってしまいました。そして、この荒れ狂った世界を治めるために、一柱の女神が立ち上がりました。名をミカエル。』」
ラーク「ミカエル!?」
クルーラ「せや。お前さんの知ってる嬢ちゃんのおっ母さんや。……っと、もうこんな時間かいな。そろそろ晩飯作らなあかんな。」
ラーク「ちょっと、話の途中じゃ……」
クルーラ「アホか。もう飯の時間や。それに、話よりもあんさんらの体のほうがワシらは大事なんや」
ラーク「え?」
クルーラ「ワシら商人にとって、あんさんらはお客さんや。お客さんは神様同然やから、それなりのもてなしをせにゃならん。」
ラーク「だけど……」
クルーラ「黙れ。」
ラーク「!?」
ラークM「なんだ!?この体の痺れは……まったく……動けない……それに、クルーラさんの様子が……」
クルーラ「おめぇ……ワシに逆らうっちゅうんか?あ?思念の棍棒来いや。」
ラーク「え?クルーラさん……?」
ラークM「手に持ってるのは……棍棒!?ま……まさか!?」
クルーラ「ワシに逆らうんっちゅうかつっとんじゃクソボケがぁ!!(棍棒を一振り)」
SE:木箱にぶつかる音
ラーク「うがぁ!!」
クルーラ「いちびりやがって……なめとんちゃうぞこら。ワシャぁのぉ……ワシの言うとることに反抗されんのが大嫌いなんじゃ!ワシの言うことに逆らいよるクソガキを見るとのぉ……ワシャぁよう……ひねりつぶしたくなんのや!!(蹴り飛ばす)」
SE:壁に打ち付けられる音
ラーク「グハァ!…………これが……行商人の能力か…………」
クルーラ「のぅ。あんさんは神様やけぇのぉ……ボロボロにしたくないんじゃぁ」
ラークM「くそ……なんて破壊力だ」
クルーラ「どないすんねん。ワシに逆らわんと帰るっちゅうんなら、昔なじみのジョージの連れっちゅうことで命は助けたるわい。さぁ、どないするんじゃ?まだ、ワシに逆らうんか?あ?」
ラーク「……」
クルーラ「どうなんじゃい!!」
ラーク「……おとなしく……帰ります」
クルーラ「……ならええんや。さ、帰って飯食うで……の前にや」
ラーク「……どうかしましたか……?」
クルーラ「2つ言うとくわ。1つは職業、行商人についてや。こん能力はな、ワシとの話し合いで交渉が決裂したときに、ワシの肉体能力を300%引き上げる能力やねん」
ラーク「300%!?」
クルーラ「今発動したんはあんさんの帰らずに話が聞きたい意思に対して交渉決裂と判断したからや。」
ラーク「交渉決裂?」
クルーラ「せや。よう覚えとき。それと、もう1つ……覚悟はできたんか?」
ラーク「え?」
クルーラ「この国の……五大国の全てを知る覚悟が。」
ラーク「……はい」
クルーラ「よっしゃ!なら今日はご馳走にしたるで!!」
ラーク「はい!」
クルーラM「まったく……世話がやけるで……さて、あとの二人はどうやろな?覚悟……決められるんかいな。」
―間―
(アートリオン中央広場)
ミカエルM「この世のすべての禁句……それを受け入れる覚悟……」
ミカエル「はぁ……」
ジョージ「あら、かわいい女の子が溜息だなんて、感心しないわね」
ミカエル「ジョージ……」
ジョージ「隣……空いてる?」
ミカエル「見ればわかると思うのですが……」
ジョージ「わからないわよ。だってあなた……ベンチの真ん中に座っているじゃないの」
ミカエル「え?……本当だわ……」
ジョージ「……って、気づいていなかったの?……ま、座るわね」
ミカエル「どうぞ……」
―間ー
ジョージ「それで?」
ミカエル「はい?」
ジョージ「どうして、あなたは溜息をついていたのかしら?」
ミカエル「……………」
ジョージ「クルーラが言っていたことが気になるの?」
ミカエル「えぇ……」
ジョージ「……実はね、私も五大国の本当の歴史については知らないの」
ミカエル「え?そうなのですか?」
ジョージ「そうよ。」
ミカエル「それじゃぁ、どうして、ジョージは割り切れるんですか?」
ジョージ「う~ん、割り切れるとかそういうのではなくて……」
ミカエル「?」
ジョージ「知ったところで私たちにはどうにもできないもの」
ミカエル「……というのは?」
ジョージ「あなたは女神様だから、歴史を変えることができるかもしれないけれども、私たちは普通の人間なの。だから、どうしようもない。私たち、人間の力では変えられないものが歴史なのよ」
ミカエル「私だって……歴史を変えたくありません。ただ……女神でありながらパンドラボックスのことや、禁句のことを知らないのが情けないのです……そのことを知っていたら……」
ジョージ「『私はこの世界を守れたのに』?」
ミカエル「!?」
ジョージ「ミカエルちゃん。それは違うの。世の中には確かに無駄なことはたくさんあるわ。時間を無駄に使ってしまった愚か者もたくさんいるし、お金の無駄遣いもたくさんある。だけどね?もし、それらがなかったとしたら、私たちは本当に楽しい生活が送れたかしら?」
ミカエル「そ……それは……」
ジョージ「端から見たらつらいことでも、そのつらいことを乗り越えてこそ、人間は前に進めるの。私だって、たまには後ろを振り返りたいのよ?」
ミカエル「そういう……ものなのですか?」
ジョージ「えぇ。ラークもそう。確かにまだまだ甘いところもあるわ。お子ちゃまだもの。だけどね。彼の後ろにはクラッチやティアがついているの。あの子が頑張れるのは後ろを振り返ったら、クラッチやティアがいるからなのよ」
ミカエル「ッ!」
ジョージ「ラークもつらい修行を乗り越えてきたの。そして、今もあの子にとっては試練の最中……でも、あの子、楽しそうでしょう?」
ミカエル「……はい」
ジョージ「歴史はね?変えられないから面白いの。簡単に変えられたらつまらないじゃない?」
ミカエル「……(微笑む)」
ジョージ「あら、いい笑顔じゃない?」
ミカエル「え?」
ジョージ「あなた、今笑ったのよ?気が付かなかったの?」
ミカエル「そう……なのですか?」
ジョージ「えぇ……ラークに見せられないのが惜しいくらいだわ」
ミカエル「そう……これが嬉しいということなのですね」
ジョージ「あら、知らなかったの?変わった女神様ね」
ミカエル「……心の底からこみあげてきたのは初めてです」
ジョージ「あらぁ、ひょっとして、初めていただいちゃったかしら?」
ミカエル「……そうですね」
ジョージ「……帰りましょう。みんな待っているわ」
ミカエル「はい」
ミカエルM「こんなにも、心の底から清々しい思いをしたのは、初めてです。ラークのためにも……この思いは忘れません」
ジョージM「さて、あとの二人はどうかしらね。楽しみだわ」
―間―
(アートリオン展望台)
アンジェ「はぁ~……」
アンジェM「確かに、今までこの国の歴史を勉強しとったんはウチの生活のため……せやけど……」
アンジェ「ほかの国のこと知るんは……怖いなぁ……」
ミシェル「アーンジェ」
アンジェ「ひゃぅん!!な……なんや!?」
ミシェル「ハハ!かわえぇのぉ!さすがアンジェ!」
アンジェ「ミシェルー!何してくれとんのや!」
ミシェル「ん?いや、アンジェも一人前に悩むんやなぁとおもってな?」
アンジェ「そりゃぁ、悩むわぁ……今まで、他の国のことは外のことって思っとたんや。けど、外で見とる場合やなくなったんやで?これが落ちついてられると思うか?」
ミシェル「(小声)そんなの……僕だって……」
アンジェ「それがいま、目の前へと迫ってきてるんや!せやから……ん?」
ミシェル「アンジェのこと思うと……僕はどうしていいかわからなくなるんやで……」
アンジェ「ミシェル?」
ミシェル「(小声で)僕は……アンジェのこと……」
アンジェ「ミシェル!」
ミシェル「!?どうしたん?アンジェ?」
アンジェ「どうしたん?やないやろ!こっちのセリフやで!!なにを、ブツクサ言うとんねん!」
ミシェル「ハハ……気にせんでえぇよ」
アンジェ「気にするわ!あんた、自分のことなんやと思ってんねん!!」
ミシェル「…………」
アンジェ「いつもすぐ、自分のこと下に見よるけど、あんたは……自分が思うとるより、ウチの支えになっとるんよ?」
ミシェル「!?」
アンジェ「ウチが何かしでかしたとき、一番最初に頭下げてくれるんは、お父っちゃんやない。あんたやん。それがうれしいんやで?せやから……せやから……んなこというなや!」
ミシェル「……ごめん……アンジェ……泣かないで」
アンジェ「え……!?あ……あほか!!泣いとらんわ!」
ミシェル「ハハハ。……ただね、アンジェ……」
アンジェ「ん?」
ミシェル「…………僕……もう、アートリオンの人々に……アンジェに会えないかもしれへん」
アンジェ「……は?」
ミシェル「この世界の理……それを知ったら、アンジェは僕のこと避け始める。それが怖いんや……」
アンジェ「な……なんで!?ミシェルはミシェルやろ?」
ミシェル「僕は僕でありたい……ただ、そうなり得ない存在が僕なんよ。だけど……僕がミシェル・ベルサスとして、このアートリオンに居れたは、クルーラさんのお陰やねん」
アンジェ「ミシェル……?」
ミシェル「クルーラさんは、僕のことを知っていながら、街の人には、自分の息子のように扱ってくれよった。それにほら、僕、よく発作起こすやろ?」
アンジェ「うん、せやね。」
ミシェル「あれ、体が弱いわけちゃうねん」
アンジェ「え?」
ミシェル「あれは定期的にでる発作やねん。たぶん、僕の職業にたいして神様が与えてくれた副産物なんよ。僕が普通の生活を人間として送れるための」
アンジェ「え?どういうことやねん!?」
ミシェル「僕の職業は“???(アンノウン)”。謎に秘められた力やねん。せやけど、その力に隠された意味を、この街で……アンジェと生活してて知ることができた。ただ、この能力を使ってしまうと、みんなは僕を避け始めよる。それが手に折るようにわかるんや。そして、この能力の本流……それは……(アンジェに何か囁く)」
アンジェ「!?それって……」
ミシェル「あ、そろそろ戻らないとクルーラさんに怒られる。じゃぁね、アンジェ!また食堂で!!」
アンジェ「あ!ちょっとまちぃな!!……行ってもうた」
アンジェM「ミシェルの最後の言葉……ようわからんけど、それを知るためにも、明日図書館にいって知らなあかん。……ミシェルを守るために」
ラークM「覚悟を決めた俺たちは、アンジェの家に帰ることにした。すべての歴史を知る覚悟ができた俺たちの顔はどこかにこやかになっていた。」
アンジェM「パンドラボックス第一章第1話、若者たちの覚悟」