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0097:馬車を改造したい


今日は休暇にすると決めた。

俺自身も体調が万全じゃないしな。


ただし、意味もなくダラダラする訳じゃない。

とりあえず買い取りをしてもらうためにギルドに向かった。


ギルドに到着し受付カウンターに行くと受付嬢から突然お礼の言葉が出た。


『レックスさん、ザラザさんを助けてくれてありがとうございました』


「ザラザ? 誰それ?」


『えっと、ザライさんの弟さんですけど?』


「ザライ? 聞き覚えが無いですけど? 誰かと勘違いしてませんか?」


『え? えっと・・・ザライさんから、ザラザさんを助けてくれたお礼を預かっているんですけど・・・』


受付嬢が困った顔をしている。

しかし俺には記憶が無いしな。

知らない人からお礼と言われても困るな。


『ご主人様、多分ですが虎人族パーティーの方じゃないですか?』


『そうです! その虎人族の【破壊の虎】パーティーです!』


「あぁ、思い出した! あの失礼な奴等か!」


すると俺達の後ろから声がした。


『失礼な奴等で悪かったな!』


後ろを振り向くと【破壊の虎】パーティーの面々がいた。


『ちょっと、兄貴、違うだろ? ちゃんと礼を言いに来たんじゃないのか?』


コイツがザラザなのか?

兄貴とは違って少しは話が出来そうな気がするな。


『あんたがレックスか? 鉱山では命を助けてくれてありがとな。おかげで死なずに済んだよ』


ザラザが頭を下げて礼を言ってきた。


「いや、礼を言われるほどのことじゃない。頭を上げてくれ」


『はははは、あんた、ヒューマンなのに偉そうにしないんだな』


どうやらザライが俺に対して敵対だったのは俺がヒューマンだからのようだ。

確かに人族至上主義の国や都市があるのは知っているが、少なくても俺は人種差別をするつもりは全く無い。


「種族の差なんて意味が無いからな」


実際、俺のパーティーにはアイラもサーシャもいるしな。


『まぁ、お前が種族の差を気にしていないことは分かった。ただ、そうじゃないヒューマンがいることも事実だ』


ザライはやはりヒューマンが好きじゃないらしいな。

ただし俺のことは多少認めてくれたのかな?


『はははは、兄貴がこんなことを言うなんて凄いことなんだぜ! 兄貴のヒューマン嫌いは筋金入りだからな』


『ザラザ、余計なことを言うな! まぁ、今回はお前達の世話になったのは事実だ。借りを作ったままだと俺が気持ち悪い。だから礼を受け取ってくれ』


ザライは意外と真面目なのかも知れないな。

そういうことなら素直を受け取っておくことにするか。


「分かったよ。ありがたく受け取ることにするよ」


『あぁ、是非そうしてくれ。それだけだ。じゃあな!』


そう言うとザライ達はギルドを出ていった。


ザライ達がギルドを出た後に受付嬢が声を掛けてきた。


『ふふふ、レックスさん。それで今日は買い取りでしょうか?』


「あ、そうです。ここに魔石とドロップアイテムを出しても良いですか?」


『はい、どうぞ』


マジックバッグから魔石とドロップアイテムを取り出した。


『あれ? これってミノタウロスの角じゃないか? それに・・・これはキラーマンティスの鎌ですよね?』


この受付嬢は凄いな。

ドロップアイテムを一目見ただけで名前を言い当てたな。


「・・・そうですよ。よく分かりましたね」


『す、凄いですよ! レックスさん。あなた達はランクCパーティーなんですよね? それにレッサーミノタウロスの魔石やドロップアイテムもこんなに沢山あるなんて・・・』


受付嬢がかなり驚いている。

ちょっと死にかけたことは黙っていよう。


『それじゃあ、査定しますのでギルドカードを預かっておきますね』


受付嬢にギルドカードを渡すときについでに確認した。


「馬車を強化するようなマジックアイテムを売っているような店か職人さんって知っていますか?」


『馬車の強化ですか? う~ん、そうですねぇ・・・あ、あります! ガーランさんの店なら出来ると思いますよ』


「本当ですか? そのガーランさんの店の場所を教えて下さい!」


受付嬢にガーランの店の場所を聞き、早速向かうことにした。


『え? レックスさん、査定のほうは?』


「あ、後でまた来ますから!」


そう言って俺達はギルドを出てガーランの店に向かった。

幸いなことにガーランの店はギルドからそれほど遠くなかった。


ギルドから30分ほど歩いたところにガーランの店があった。

そこは小さな売場と少し大きな工場が一体となった感じだった。


「すみませーん、どなたかいますかー?」


工場のほうに行き、声を掛けてみた。

しかし、何の返事もない。


「すみませーん!どなたかいますかー!」


再度、大きな声で呼んでみたところ、今度はちゃんと返事が返ってきた。


『はいはい、ちゃんと聞こえているわよ』


え、女性の声か?

もしくはオカマちゃんか?

そう思ったが工場の奥から出てきたのはれっきとしたドワーフの女性だった。


『えっと、今呼んだのはあんた達でいいのか?』


「あ、はい。そうです。えっとガーランさんでいいんですよね?」


『あぁ、そうだよ。ただし、"さん"付けは止めてくれ。ガーランでいいよ』


ガーランはドワーフなので身長は低い。

150cmないくらいだ。

ただ、ドワーフよりもヒューマンに近い顔付きをしているように見えた。


『それで、今日は何の用事で私の店に来たんだい?』


「あ、そうだ。実は俺達の馬車を強化して欲しくて来たんです」


『へぇ、それでその馬車はどこにあるんだい?』


「え? あっ! キャンプ場に置きっぱなしだった・・・」


『ぷっ、あっはっはっは、現物が無いんじゃ強化出来るかどうか分からんよ』


そりゃあそうだよな。

何やってるんだ、俺は・・・


「す、すみません、すぐに馬車を持ってきますね」


『ご主人様、私が急いで馬車を持ってきますね』


アイラはそう言うと走ってキャンプ場に向かった。

あっという間にアイラの姿が見えなくなった。


『凄いねぇ、あの狐人族の子は・・・もう姿が見えなくなったよ。それじゃあ、あの子が戻って来るまでに強化したい内容を聞いておくか』


俺はガーランに強化したいポイントを伝えた。

一つは速度を上げても壊れないこと。

そして次は旅が快適になるような改造をして欲しいと伝えた。


『・・・ふむ、なるほどね。そうなると車輪と車軸を交換しないといけないかもね』


旅が快適になるための改造要望はサーシャ達が色々と注文していた。


本当に色々と注文していた。

途中でガーランが俺の顔を見た。

本当にやってもいいのか? という感じに見えた。

ひょっとしたら凄く高くなるんじゃないか?


「ちょっ、ちょっと待ってくれ・・・予算はあるからな。白金貨2枚までの範囲でな」


『『え~、そんな~』』


いやいや、白金貨2枚だぞ? 結構な金額だぞ?

そんな話をしているうちにアイラが馬車を持ってきた。


『お待たせしました、ご主人様』


「ありがとう、アイラ。助かったよ」


するとガーランは馬車ではなく、ゴーレム馬であるアカとクロをマジマジと見始めた。


『なぁ? これってゴーレム馬じゃないのか?』


しまった・・・

ガーランにバレてしまった。


『私も何度かゴーレム馬を見たことがあるけど、これほど素晴らしいゴーレム馬を見たのは初めてだな』


「えっと、出来れば内緒にしておいてくれると助かるんだけど・・・」


『え、あぁ、それはもちろんだ。客の秘密は絶対に喋らないよ。それにしても見事なゴーレム馬だねぇ。惚れ惚れしちゃうよ』


ガーランは馬車のほうは一切見ずにアカとクロを見ていた。


「ガーラン、ちょっと馬車のほうも見て欲しいんだけど・・・」


『おっと、そうだったね。あまりにもゴーレム馬が素晴らし過ぎて忘れるところだったよ』


いやいや、完全に忘れていたよね?

まぁでも悪い人では無さそうだ。

とりあえず、今は俺達の馬車をじっくりと見てくれている。


『・・・う~ん、そうだねぇ・・・これなら強化出来そうだねぇ。10日間もらえれば、さっき言っていた通りの強化と改造が出来るけど。どうする?』


10日間なら問題無いな。


「分かりました。それでお願いします」


『了解したよ。それじゃあ、10日間は馬車を預かるからね。10日後に取りにおいでよ』


ガーランに馬車を預けて店をあとにした。

そろそろ査定も完了しているはずなのでギルドに戻ることにした。


ギルドに到着すると無事に査定が完了していた。


『はい、これが今回の報酬になりますよ』


受付嬢から受け取ったのは大金貨6枚、金貨5枚だった。

そしてギルドカードを返却してもらった際に言われた。


『ナギサさんの冒険者ランクが上がりましたよ。おめでとうございます』


これでナギサもランクDになった。

もう少しで俺達のランクに並ぶな。


そうしたら全員でランクアップ試験が受けられるな。

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