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0095:鉱山の奥へ


無事にミノタウロスを倒した後、引き続き鉱山の奥に進んだ。


その後に出てきたモンスターにミノタウロスはいなかったが、その代わりにレッサーミノタウロスが大量に現れた。


『なんですか? このレッサーミノタウロスって・・・次から次へと湧いてきて・・・』


サーシャがブツブツと呟いていた。

ミノタウロスは身長が2mを超える巨体であったがレッサーミノタウロスは身長が130cmだった。


「名前からするとミノタウロスの劣化版だよな」


身長だけでいえばゴブリンと同等だ。

もちろん強さはゴブリンとは比べ物にはならないが。


レッサーミノタウロスはモンスター図鑑によるとランクDモンスターだった。

サーシャの魔弓もちゃんと突き刺さった。


そして劣化版でも魔石はもちろんだが、ドロップアイテムとしてミノタウロスの毛皮を落とした。

なのでレッサーのほうが報酬的には良い気がする


「そろそろ昼食の時間かな」


『う~ん、そうかもね。じゃあ、お昼にしよっか、旦那様』

『そうね、丁度お腹が減ってきたよね』


レッサーミノタウロスを討伐しているうちに昼になったと思う。

鉱山の中なので腹の空き具合で判断するしかない。


サーシャとシェリーの腹時計は正確そうだし昼食にするか。

アイテムバッグから串肉を取り出した。

串肉は冒険者の必須アイテムだよな。


串肉を頬張っているとアイラが何かを察知したようだ。


『ご主人様、何者かがこちらにやって来ます。恐らくは冒険者達のようです』


アイラの言う通り、鉱山の奥からこちらに向かって来る足音が聞こえてきた。


『1人、足を引き摺っているようです』


足音までは聞こえてくるんだが音が反響して引き摺る音までは聞き取れなかったな。


だんだんこちらに近付いてきた。

念のため戦闘が出来る準備だけしておいた。


『うん? おい、そこに誰かいるのか?』


薄暗い中、向こうもこちらの存在に気が付いたようだ。


『おい! 返事をしろ! でないと敵と見なす!』


かなり好戦的な奴だな。

しかしこんなところで冒険者同士で戦闘するわけにもいかない。


「安心しろ、こっちも冒険者だ。敵対するつもりはない」


すると向こうから歩み寄って来た。

うっすらと姿が見えてきた。

見覚えがある顔だった。


『うん、なんだぁ? てめぇらは昨日のムカつく奴等じゃねぇか』


昨日、ギルドで俺達に絡んできた虎人族の冒険者達だった。

ムカついているのは俺達も同じだ。


どうやら、よく見ると1人怪我をしているようだった。


『そうだ! てめぇら、ポーションを持っていねぇか? 持っていたらそれを寄越せ!』


間違い無くコイツらは頭が悪いんだな。

物を頼む態度じゃないよな。


「ポーションは持っていないな」


これは嘘だ。

回復魔法を使えるが念のためポーションも持っていた。

しかし、こんなに失礼な奴等にくれてやるポーションは無い。


『嘘をつくんじゃねぇ! ポーションが無いなら回復スキルが使える奴がいるんだろう? さっさとコイツを回復しやがれ!』


中々鋭いな。

確かに回復魔法は俺とナギサが使えるな。

ただ、こんな言われ方をして素直に回復してもらえると思っているのか?


「なんで俺達がそいつを回復してやらないといけないんだ?」


『な、なんだと? て、てめぇ・・・』


一触即発の雰囲気になってきた。

すると怪我人の虎人族の男が血を吐いた。


『ぐぼっ・・・』


薄暗いため良く分からないが結構な重傷のようだ。


『お、弟よ、だ、大丈夫か?』


どうやら怪我人はさっきから失礼な奴の弟らしい。


『ぐっ・・・く、くそっ。す、すまない。弟を助けてやってくれないか? 金ならいくらでも払うから』


さっきまでやたらと偉そうにしていた奴が俺達に頭を下げてきた。


『ご主人様・・・』


するとアイラが何か言いたげな感じだった。

恐らく助けてやって欲しいということだろう。


「ふぅ、分かったよ」


俺は怪我人のところに歩み寄り、傷口を確認したところ、腹をバッサリと切られていた。


バッサリと切られた腹に回復魔法を使った。

さすがに1回では駄目なようなので続けて回復魔法を使った。


と言うかこんなに切られてよく生きているな、と思えるほどの傷口だった。

そのため、回復魔法を10回も連続して使うことになった。


傷口がみるみる塞がっていく様子を見ていた他の虎人族のメンバーはひたすら驚いている様子だった。


『す、すげぇ・・・』

『マジかよ、どんどん治っていくぞ』

『これが回復魔法なのか・・・』


ようやく傷口が完全に塞がった。

怪我人はまだ目を覚ましていないが呼吸は落ち着いていた。


『す、すまない。助かった』


「礼は要らない。それよりも傷口は塞いだけど失った血までは元に戻っていないからな」


『わ、分かった。それじゃあ、俺達は外に戻る。すまなかったな。あと、この先にデカいカマキリがいるから気を付けろよな』


そう言うと虎人族のパーティーは外に向かって走って行った。


その姿を見届けたアイラが俺に礼を言ってきた。


『ご主人様、ありがとうございました』


「なんでアイラは礼を言っているんだ?」


『全ての獣人族を代表して・・・です』


アイラが言うには獣人族には種族を越えた結束みたいなものがあるらしい。

ひょっとすると俺がアイラを隷属しているからアイツ等が絡んで来たのかもしれない。


「さてと、この先にデカいカマキリがいるって話だったな。どうしようか?」


『マスターのことだから倒しに行くんじゃろ?』


ジーナの言葉にサーシャもシェリーもやれやれといった表情だ。

虎人族は決して弱くは無い。

むしろ強い種族のはずだ。

その虎人族のパーティーがやられる程のモンスターだ。


「出来れば倒しておきたいよな。アイラ、モンスターの気配はするか?」


『はい! 1匹だけかなり奥のほうにいます!』


「よし。慎重に進むぞ」


鉱山の奥のほうに進んでいくことにした。

奥のほうに進んでいくと何とも言えない音が聞こえてきた。


ぐちゃっ、ぐちゃっ

ばりっ、ぼりっ


音が聞こえてきた場所にたどり着いた。

すると巨大なカマキリがレッサーミノタウロスを生きたまま捕食していた。


「うわぁー、かなりエグい光景だな・・・」


『かなりグロテスクですよ、旦那様・・・』


あまりのグロさに目を背けていたがジーナはしっかりと分析していた。


『マスター、あれはキラーマンティスなのじゃ』


「モンスター図鑑によるとランクBモンスターだな」


こんなところでランクBモンスターと戦うはめになるとは思ってもいなかった。

ただキラーマンティスは食事中だ。

確実に不意討ちを掛けることが出来る。


「いつものようにサーシャとシェリーが先制攻撃を仕掛けたら突っ込むぞ」


『『了解です!』』


支援スキルを発動しサーシャとシェリーが先制攻撃を開始した。

キラーマンティスは魔弓と魔法を避けようとしたがレッサーミノタウロスをほぼ1匹喰った腹が邪魔をした。


動きが鈍くなってしまったキラーマンティスに魔弓と魔法が直撃した。


「馬鹿な奴だ、食い意地が張っているからだ」


アイラ、ジーナ、ナギサは既にキラーマンティスに向かって行ったが、俺は食い意地と言う言葉に思わずサーシャとシェリーを見てしまった。


『旦那様・・・さっさと倒しに行け!』

『レックス・・・殴られたいの?』


サーシャとシェリーの目が怖い・・・


「お、おぉ、そうだな・・・倒しに行かないとな」


後れ馳せながら俺もキラーマンティスを倒しに向かった。


キラーマンティスの腹を見ると魔弓が突き刺さった痕から体液が流れ出ていた。

ただ虫系モンスターは表情が無いためダメージのほどが不明だった。


俺達がキラーマンティスを囲んで攻撃を加えているとキラーマンティスがカマキリ特有の威嚇のポーズを取った。


「なんだ? 急に威圧感が出た感じがするな」


『ご主人様、むやみに近付かないほうがいいです』


アイラも嫌な予感がするようだ。

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