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0093:ドワーフ国到着


商人の集団と一緒にドワーフ国に向かうことになった。

その日の野営時に色々と話を聞いた。


この集団を率いているのはマリアのおじいちゃんであるドランだった。

ドランは規模の小さな商人達の纏め役をしているらしい。


『はっはっは、纏め役といっても何にもしていないがな』


ドランはそう言っていたが他の商人達はドランに対してかなり信頼を寄せているようだった。


そして【草原の虎】パーティーのリーダーはウルフという名前だったのだが、この4人は全員が18歳だった。


「え、俺よりも年上だったのか・・・」


てっきり冒険者に成り立ての年下だと思っていたが。

ランクもEとのことだったし。


『はははは。こう見えても、もう少しでランクDになれそうなところなんですよ』


ウルフがそう言うとシェリーも同調した。


『レックスには分からないかも知れないけど、これくらいが普通の冒険者なのよ』


そう言えば、俺も正体不明の加護が判明する前は似たようなものだったな。


『それにしてもレックスさん達は強いですよね。さすがはランクC冒険者ですよ』


「あ、敬語はやめてくれないかな・・・」


『何を言っているんですか。冒険者ならランクが上の人に対して敬語を使うのが当たり前ですよ』


「いやいや、普通は冒険者同士で敬語は使わないだろ?」


こう言ってもウルフ達は首を縦には振らなかった。

なので最後はウルフ達の自由させることにした。


『はっはっは、お二人とも明日も朝早くから出発しますからその辺にして休みましょうか』


ドランの言葉で今日は休むことにした。


◇◆◇◆


翌日も俺達の馬車を先頭にドワーフ国に向かっていた。

そしてマリアは当然のように俺達の馬車に乗っていた。


予定ではもう一泊したらドワーフ国に到着するはずだ。


『ご主人様、前方から何かやって来ます』


するとアイラが言った通り前方から土煙と共に何かがこちらに向かって来ている。


「全馬車に合図しろ! 何かがこちらに向かってきているぞ!」


馬車を停止させて迎撃態勢を整えた。

すると前方からやって来たのは紫色をした巨大な芋虫の集団だった。


『き、気持ち悪いです! 旦那様、何とかして下さい!』

『レックス、あれは私もパスするわ!』


「ちょっ、ちょっと待て! お前達、遠距離攻撃専門だろ? 魔弓と魔法でさっさと攻撃してくれよ!」


俺もあれを直接相手にするのは勘弁だ。

アイラ、ジーナ、ナギサを見たが3人とも首を横に振っていた。

そりゃあ嫌だよなぁ・・・


『わ、分かったよ。シェリー、準備はいい?』

『もう・・・仕方が無いわね』


「魔力支援するから二人とも撃ちまくっていいぞ」


サーシャは魔弓を、シェリーはファイアボールを撃ちまくった。

本当に撃ちまくっていた。

芋虫の原型が無くなり辺り一面が紫の体液だらけになった。


芋虫の魔石もドロップアイテムも紫の体液まみれになってしまった。


「あれを回収するのか・・・ちょっと嫌だな」


『旦那様、あそこに小川がありますよ、ほら』


サーシャが指を差した方向を見ると確かに小川があった。

・・・というか俺が洗うのが確定なのか?


「ちょっと待て! 俺があれを洗うのが確定みたいになっているけど違うよな? ここは平等にジャンケンで決めようじゃないか」


『分かりましたよ、ご主人様』

『ぎゃふんと言わせてみせますよ、旦那様』

『マスター、さっさとやるのじゃ』

『えー、ジャンケンするのー?』

『負けたら嫌ですねぇ・・・』


なんとかジャンケンに持ち込んだが、あっさりと負けてしまった。


ジャンケンに負けた後に


「魔石やドロップアイテムは捨てていくか? ほら先を急いでいることだしさ、どうかな?」


と言ってみた。

しかしドランからの言葉が


『いやいや、儂らのことなら気遣いは無用ですのじゃ。いくらでも待ちますから』


だった。

いやいや、違うところで気遣って欲しいんですけど。

かなり臭いんですけど・・・


『旦那様、ドランさんもああ言ってくれているのでちゃんと洗ってきて下さいよね』


なので約束通り、川で魔石とドロップアイテムを洗っている。


「・・・くっせーな・・・」


なんとか臭いが取れたところでマジックバッグに仕舞った。

魔石はさておきドロップアイテムは本当に買い取ってもらえるのかな?


『レックス殿、早くしないと置いていきますよ?』


「分かった、すぐに戻るよ」


再び馬車の一団はドワーフ国を目指して出発した。

その後も何度かモンスターに遭遇したが問題無く討伐した。


◇◆◇◆


『ご主人様、あれがドワーフ国じゃないですか?』


ほぼ2日間掛けてようやく、巨大な山を背にして山の麓に城壁で囲まれている都市が見えてきた。


「凄いな、こんなに巨大な都市は見たことが無いな」


丘の上から見下ろしているがかなり巨大な都市だ。

この都市に数万人のドワーフが暮らしているらしい。


「都市のあちこちから煙が上がっているな」


『恐らくは作業所からの煙でしょうね』


よく見ると都市に向かっている馬車の集団があちこちといた。

これはいつものように城門で行列に並ぶパターンだ。


「ちょっと急ぐか。早くしないと行列に並んでいるだけで夕方になりそうだしな」


馬車のスピードを少しだけ上げた。

あんまりスピードを上げ過ぎるとドラン達の馬車が追い付けない。


馬車のスピードを上げたが結局は城門の行列に引っ掛かり都市の中に入れたのは夕方前になってしまった。


都市の中に入れたところでドラン達と別れることになったが、別れる際にドラン達やウルフ達からは何度もお礼を言われた。


最後にマリアからはこんな事を言われた。


『レックス兄ちゃん、お姉ちゃん達を苛めちゃ駄目だからね!』


ただ苛められているのは俺の方だからね。

どうやら馬車の中で間違った情報が刷り込まれたらしいな。


とは言うものの今から正しい情報に修正するのは無理だ。


「ははは、分かったよ」


『じゃあねぇ~!!』


マリアが手を振りながらドランの馬車に乗り込むと馬車は都市の奥の方へ進んでいった。


「さてと、俺達はギルドに荷物を届けに行くか」


『『了解しました~』』


馬車をキャンプ場に預けてギルドに向かった。


ギルドの中に入ってみると、ギルドの中は冒険者達で溢れ返っていた。

とりあえず依頼された荷物を渡したいのだが、どの受付カウンターも混雑していた。


「う~ん、困ったなぁ・・・並ぶしか無いのかなぁ」


仕方が無いので行列に並ぶことにした。

行列に並んでいる間、周囲を見ていると色んな種族の冒険者がいた。


意外にも獣人族が多かった。


「ドワーフ族の冒険者は少ないんだな」


『ドワーフ族には力持ちが多いですが、瞬発力が無いのであまり冒険者には向かないと聞きますよ、ご主人様』


「へぇ、そんなものか」


確かにドワーフというと鍛冶職人のイメージが強いな。


行列に並んでようやく俺達の順番が回ってきたと思った瞬間


『悪りぃな、先に入るぞ』


そう言って俺達の前に割り込んで来た冒険者達がいた。

後ろ姿を見ると虎人族の冒険者達だ。


5人いるが5人とも虎人族だった。


「ちょっと待って下さい。俺達の順番ですよ」


すると5人の虎人族の冒険者が一斉に振り向いた。

そして俺に対して恫喝してきた。


『あぁ? 小僧、俺達に何か文句でもあるのか?』


コイツらはやっぱり馬鹿なんだろうな。

文句があるから言っているんだ。

そんなことも分からないらしい。


「横入りしないでちゃんと後ろに並べ。皆、ちゃんと並んでいるだろう」


すると虎人族の冒険者達は笑い始めた。


『くっくっくっ、てめぇら最近ここにやって来たばかりだろ?』


「だったら何だと言うんだ?」


『小僧に教えておいてやるよ。ここでは俺達がルールなんだよ。今日は大目に見てやるから黙ってろ!』


コイツらの言ってる意味が全く分からないな。

さてと、どうするかな。

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