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0009:お金を貯めよう


アイラは想定以上に実力があることが分かった。

それに攻撃支援、防御支援とも相性が良い。


アイラは軽戦士なだけあって動きは素早いが本来は攻撃力、防御力が不足しているはずであった。

それが攻撃支援、防御支援のおかげで弱点が克服されている。


『ご主人様の支援スキルは凄いです』


そしてアイラも褒めてくれた。

アイラのおかげで支援スキルの有効性が再認識出来た。


しかし午前中だけでゴブリンを50匹も倒してしまうとは思わなかったな。

こうなると一番の問題点は荷物だな。

ゴブリンの魔石やドロップアイテムも数が多くなるとそれなりに重いのだ。


とりあえず昼食は屋台で串肉を頬張った。

昼食後にアイテム屋に向かった。


『ご主人様、アイテム屋に何をしに行くんですか?』


「マジックバッグを見てみようかと思ってね」


『え、マジックバッグはとても高価と聞いていますけど・・・』


「もちろん、すぐに買える訳じゃないけど値段を確認しておこうかと思ってね」


マジックバッグは中に入れられる容量で値段が変わる。

しかし高ランク冒険者には必須アイテムとも言われている。


アイテム屋に到着した。

アイテム屋の中に入ると様々なアイテムが陳列されていた。


『あら、レックス君じゃない。久しぶりね。今日もポーションを買いに来たのかしら?』


そう声を掛けてきたのはアイテム屋の店長であるナタリーさんだった。


「ナタリーさん、こんにちは。今日はポーションを買いに来た訳じゃないですよ」


俺はこの店によくポーションを買いに来ていたのだ。

以前の回復支援は俺以外にしか効果が無かったから俺にはポーションが必須だった。


「あら、初めて見る子がいるわね」


『こっちはアイラと言って、今の俺の大事なパーティーメンバーです』


ナタリーさんにアイラを紹介するとアイラは深々とお辞儀した。


『あらあら、随分と礼儀正しい子なのね。それで今日は何を買いに来たのかしら?』


ナタリーさんにマジックバッグのことを聞いてみた。

今、店にあるマジックバッグの在庫は5つあるらしいが一番安い物でも金貨3枚するとのことだ。

それで容量は300Kg程度らしい。

金貨1枚あたり100Kgが相場とのことだ。


そしてマジックバッグの最大のメリットはバッグの中に入れた物が腐らないとのことだ。

食料を保存するのにも役立つということだ。


「金貨3枚かぁ。今なら30日くらい掛かるかなぁ」


『あら、レックス君。30日で金貨3枚貯められるの? それくらいならマジックバッグは売らないでとっておいてあげるわよ』


「え、ナタリーさん、いいんですか?」


ナタリーさんからありがたい提案だった。


『えぇ、それくらいならね。レックス君とはそれなりに付き合いも長いしね』


確かにナタリーさんとは丸2年の付き合いになるな。

もちろん、男女の関係では無いが。


「ありがとうございます。じゃあ頑張って金貨3枚貯めて来ますね」


よし、今日はこれから少しゴブリンの森に行ってくるか。

俺はアイラの手を取ってゴブリンの森に向かうことにした。


『え? レックス君・・・あなた、折角、店に来たのに何も買わないの?』


「あ、ナタリーさん、ごめん。これからゴブリンの森に行ってくる」


背中のほうからナタリーさんの『えぇー!』と言う声が聞こえてきたが無視した。

今はゴブリンの森に行くほうが優先だ。


◇◆◇◆


午後はゴブリンを20匹程討伐した。

ギルドで換金して宿屋に戻り、今後の方針をアイラに説明した。


「しばらくの間は午前、午後と1日2回ゴブリンの森に行くことになるかと思うけど辛かったらちゃんと言ってね」


魔石とドロップアイテムでリュックサックが満杯になってしまうため、1日に2回、ゴブリンの森を往復するはめになるのだ。

それを考えるとやはりマジックバッグは必須だよな。


『私なら大丈夫ですよ、ご主人様の支援スキルがあればゴブリンごときは余裕です』


アイラから大丈夫との言葉だった。

正直、これほど嬉しい言葉は無いよな。

ただアイラが無理をしないように俺がちゃんと見ておかないといけないな。


宿屋で夕食を食べた後はお湯でお互いの背中を拭き合いダブルベッドに入った。

昨日と同じようにアイラが俺の背中を抱き締めてきた。

背中の感触を楽しみながら眠った。


◇◆◇◆


翌朝、俺はまたしてもアイラの胸に顔を埋めていた。

しかし今回は少し状況が変わっていた。

アイラが俺の頭をしっかりと抱き締めて自分の胸に押し付けているのだ。

なので俺は顔全体でアイラの胸を堪能した。


『う~ん・・・あ、ご主人様、おはようございます』


どうやらアイラも起きたようだ。

それにしてもアイラは恥ずかしくないのかな?

俺に胸を見られているのが分かっているはずなんだが。

まさか俺のことを男として見ていないということは無いと思うんだけどな。

だとすると弟扱いなのかな?


その辺は今後考えることにしよう・・・


とりあえず、今はマジックバッグを購入するためにゴブリンの森に行かないといけない。


宿屋で朝食を食べた後にすぐにゴブリンの森に向かった。

ゴブリンの森に到着するとすぐにアイラがゴブリンの居場所を探し当てた。


『ご主人様、こっちにゴブリンが4匹います』


ゴブリンの居場所だけでなく何匹いるかまで当てられるようだ。

アイラの案内でゴブリンの居場所に向かうと確かに4匹いた。

まるでレーダーのようだな。


「今日からは俺も戦闘に参加するからね」


『えっと・・・それって私が頼り無いからですか?』


アイラがしゅんとしてしまった・・・

ついでに尻尾もだらんと垂れてしまった・・・

これはこれで可愛いな。


「いやいや、違うって。俺も戦闘しておかないレベルが上がらないからね。アイラのことはちゃんと頼りにしているよ」


『そうですか! 分かりました。では、しっかりとフォローしますね』


「攻撃支援、防御支援、発動」


俺は支援スキルを発動させてゴブリン4匹に向かって突撃した。

攻撃支援のおかげでゴブリンは一刀両断出来るので倒すのに苦労はしない。

ゴブリンならだけど・・・


とりあえず、アイラの手を借りずにゴブリン4匹を1人で倒した。

倒したんだけど何故かアイラが微妙な表情をしている。


『ご主人様、剣捌きが少しぎこちないかと』


そりぁ俺の剣術は自己流だし、戦士系のジョブじゃないからね。


『ご主人様。敵がこう動いたら、こちらはこう動くほうがいいですよ』


アイラが手取り足取りで戦闘時の動き方をレクチャーしてくれた。

アイラの巨乳がたまに俺の腕に触れた。

感触がたまらんが一生懸命教えてくれているアイラに対して失礼になるので必死に雑念を封じ込めた。


煩悩退散・・・煩悩退散・・・煩悩退散・・・

こんなのでは煩悩は退散しなかった・・・


『では、次のゴブリン達で今の動きを確認しましょうか、ご主人様。ちょうどいい感じに向こうにゴブリンが6匹いますので』


ゴブリン6匹がちょうど良いのか。

俺は5匹までと決めていたけど・・・


ただ、アイラに格好悪いところは見せられないな。

今後の主従関係のためにもだ。

ならば気合いを入れてゴブリンを倒すしかないな。


『ご主人様、あそこにゴブリンが6匹います』


アイラが指差しした方向には確かにゴブリンが6匹いた。

やっぱりゴブリンでも6匹もいると突っ込むのに勇気がいるな。

しかし、ここで行かないと男が廃るな。


「攻撃支援、防御支援、発動」


支援スキルを発動させてゴブリン6匹に向かった。


『グキャ?』

『ギャギャー!』

『グギャッギャ!』


グギャグギャとうるさいな。

とりあえず、さっきアイラに教えてもらった体捌きを思い出してみた。


まずは1匹目のゴブリンを一刀両断した後、バランスを崩さないようにして2匹目と対峙した。

そして、歩幅が大きくなり過ぎないように注意して2匹も一刀両断にした。

イメージはダンスだ。


同じ要領で3匹目、4匹目と続けてゴブリンを一刀両断にしていく。


4匹目のゴブリンを倒してもバランスは崩れていない。

5匹目のゴブリンを倒しに向かった。


ズルッと足が滑った・・・

なんとか踏ん張って転ばなかったが態勢が崩れてしまった。

それを見たゴブリン2匹が襲いかかってきた。


「くそっ、舐めるなよ!」


5匹目のゴブリンはなんとか一刀両断したが6匹には対応出来ない。

仕方が無い、一発は殴られてやろう。


そう思った瞬間、6匹目のゴブリンの首が斬り飛ばされた。

首なしゴブリンの後ろにアイラを立っていた。


『ご主人様、大丈夫ですか?』


「あぁ大丈夫だよ。格好悪いところを見られちゃったかな・・・」


『ふふふ、ご主人様。そんなことは無いですよ。十分格好良かったです。でも足下には注意が必要ですよ』


そういえば、何で足下が滑ったんだろうと見てみるとコケが生えていた。


『ご主人様、森のような場所ではコケにも注意が必要ですよ』


もうちょっとでアイラにもっと格好良いところが見せられたんだけどな・・・残念だった。

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