0071:ナギサ加入
調査隊を救出して2日後にメリサの町に到着した。
行きよりも帰りの方が大変だった。
それでも死亡者がゼロなのは良かった。
メリサの町の中に入るとギルドへ向かった。
今回は依頼書も受けていない状態でレッドスパイダーを討伐したのだからあまり報酬は期待出来ない。
まぁ、ギルドの依頼とは関係無く勝手にやったことなので報酬が無くても文句は無い。
ギルドの中に入るとちょうど調査隊の動向を調査する依頼が発動する直前だったようだ。
そんな中で調査隊が全員無事で帰って来たためギルド内は大騒ぎになった。
『おぉぉ、さすがは【悠久の力】に【薔薇の爪】だな!』
『やっぱ、ランクBパーティーは違うな!』
俺達も結構頑張ったと思うんだが名前が出てこないな。
まぁ、俺達はパーティー名も無いランクCパーティーだから仕方が無いと思っていたら、マッシュとヘレンが思わぬフォローをしてくれた。
『待て待て、勘違いしているようだが今回、一番頑張ったのは俺達じゃなくて、ここにいるレックス達だ』
『そうね、マッシュの言う通りね。レックス達がいなかったら死者は出なくても重傷者は絶対に出たはずよ』
俺達に対するマッシュとヘレンの持ち上げ方はちょっと度が過ぎてる感じもするが人に認められるというのは素直を嬉しい。
『そうとなれば、今日はレックスの奢りで宴会だな!』
突然、マッシュが意味不明なことを言い出した。
「え? なんで俺の奢りなの? 普通は奢られるほうじゃないの?」
『おいおい、レッドスパイダーの魔石とドロップアイテムを売ればそれくらいの金にはなるだろう?』
『そうよ、男の子がそんな小さい事でグチグチ言っちゃ駄目よ』
ヘレンまで俺達にタカるつもりのようだ。
こうなると無関係の冒険者達も煽り始める。
『そうだぞ、坊主。ここは一発奮発しようや!』
『男らしいところを見せようや!』
ここまで言われるとどうしようも無い。
「分かったよ。ただしレッドスパイダーの魔石とドロップアイテムを売った金で足りない分はマッシュとヘレン持ちな」
『え? ちょっ、ちょっと待て! なんでそうなるんだよ?』
『そ、そうよ、おかしいでしょ?』
「いやいや、全然おかしく無いでしょ?」
マッシュとヘレンからクレームが来たが気にしない。
『おぉ、そうだよな!』
『あぁ、全然おかしく無いな!』
周りの冒険者達も俺に同調してくれた。
まぁ、コイツらからしたらタダ酒が飲めれば良いだけだからな。
『く、くそ! てめぇら、あまり高い酒を頼むんじゃねぇぞ!』
『そうよ、高い酒を頼んだらタダじゃおかないわよ!』
マッシュ、ヘレンと他の冒険者達が盛り上がっている間に受付カウンターに行ってレッドスパイダーの魔石とドロップアイテムの買い取りとお願いした。
冒険者達とのグダグダから逃げるのも目的ではあったが。
『レックスさんも大変ですね!』
受付嬢はニッコリしながらそう言っていた。
俺も本当にそう思う。
やっぱりこっちのまったり感のほうがいいな。
するとマッシュとヘレンがこちらにやって来た。
『おら、主役がこんなところで油を売っているんじゃない!』
『そうよ、さっさとこっちに来なさいよ!』
「いや、ほら報酬を受け取らないいけないし・・・」
『大丈夫ですよ、レックスさん。後で報酬をそっちに持っていきますから』
いや、そんな気遣いは無用なんですけど?
そしてマッシュとヘレンに拉致られた・・・
そして宴会は夜中まで続いた。
◇◆◇◆
目を覚ましたら昼頃になっているようだった。
昨日は本当に酷い目にあった。
無理やり大量の酒を飲まされたところまで記憶にあるんだが途中からの記憶が無い。
「どうやって帰って来たんだろうな・・・」
ふと左右を見るとベッドの上にはアイラ達が裸で寝ていた。
まだ寝ているようだ。
あれ? お尻の数が1つ多いな。
どう見てもナギサだな。
というかナギサを連れて帰って来てしまったのか。
・・・俺、変な事をしていないよな?
正直、我ながら全く自信が無い。
するとアイラ達が起きてきた。
『おはようございます、ご主人様』
『マスター、おはようなのじゃ』
『おはよう、レックス』
次々の朝の挨拶であるキスをしてくる。
『旦那様、昨日はやり過ぎでしたね』
サーシャがそう言ってニヤニヤしながらキスをしてきた。
・・・やり過ぎた?
まさかと思いナギサのほうを見ると顔を真っ赤にしていた。
「えっと、ナギサさん?」
『私、もうお嫁にいけません・・・』
ナギサのこの言葉で俺が何をしたのかハッキリと分かってしまった。
記憶には一切残っていないが・・・
『旦那様、ここは責任取ってナギサを正式にパーティーメンバーに加えるしか無いよね?』
さすがにここで駄目なんて言えるはずが無い。
それにナギサは美人だしな。
「えっと、ナギサがそれで良ければ・・・」
ナギサはコクンと頷いた。
良かったぁ、これでナギサが嫌と言ったら詰んでいたよな。
「じゃあ、今日はこれからギルドに行ってナギサのパーティー登録をしようか」
朝食兼昼食を食べた後、ギルドに向かった。
ギルドに到着し受付カウンターに行くと受付嬢がニタニタしていた。
『レックスさん、パーティーメンバーの追加登録ですよね?』
受付嬢は俺が話をする前に俺の目的を言い当てた。
まぁ、ナギサの様子を見れば分かることか。
「はい、その通りです。お願いします」
そう言って全員のギルドカードを受付嬢に渡した。
数分後にはギルドカードが戻ってきた。
ようやくナギサのステータスが確認出来た。
完全に物理特化だった。
ただし回復魔法を持っているのが良かった。
「暫くはナギサが止めを刺すようにしようか」
今日はナギサの日用品や服を買いに行くが、明日からはアイラにスパルタ教育をお願いしようか。
『レックス殿、何か良からぬことを考えていないか?』
「いや、全然・・・」
教育は必要なことなので問題無いはずだ。
とりあえず、ギルドを出てナギサの服や日用品を買いに行った。
◇◆◇◆
翌日は朝からナギサの実力を確認するために町の外へ出掛けた。
到着したのはオークがよく出るという場所だった。
『旦那様とアイラが町を出る前にギルドに寄っていたのはこの場所を聞くためでしたか』
今はナギサが1人でオークと戦っている。
ナギサの後ろには鬼教官のアイラが付いている。
『ナギサ! その武器ならまずはモンスターの足から狙っていくんでしょ?』
ナギサが薙刀を振るっている姿を見ると薙刀って凄い武器だと改めて分かるな。
まずは間合いが遠いので無理してモンスターの懐に飛び込む必要が無い。
しかも柄を持つ場所を変えれば近接戦闘も可能だった。
『ねぇ、レックス。ひょっとしたらナギサってアイラとジーナの次に強いんじゃない?』
え? もしかして俺、ランクダウンか?
いやいや、俺も結構頑張っているはず。
午前中までにナギサは1人でオークを15匹も倒していた。
見かけのレベル以上の強さを持っていることが分かった。
これなら普通に前衛として計算出来るな。
『ご主人様。そういえば、そろそろ本が出来上がる頃ですよね?』
すっかりと忘れていた。
確かに明日が注文していた本の受取日のはずだった。
『レックス殿は本を読むのですか?』
ナギサは不思議そうな顔をして俺を見つめてきた。
俺が本を読むのがそんなに不思議なのか?
しかし残念ながら本らしい本では無かった。
「注文したのはモンスター図鑑とデザートのレシピ本だよ」
『デザートですか? まさかデザートを自分達で作れるんですか?』
「その辺はサーシャが詳しいからサーシャに聞いて」
デザート作りに関しては俺はノータッチだ。
食べる専門だ。
町への帰り道はデザートの話で盛り上がっていた。
町に戻ってキャンプ場に直行した。
ナギサがかなり疲れた様子を見せていたからだ。
よく考えてみればナギサはまだ体調が万全じゃなかったよな。
あまりにも普通にしていたから忘れていた。
「ナギサ、体調が悪いときはちゃんと言ってくれ」
ナギサは素直に頷いていた。
今日は風呂に入ったらすぐに寝ることにしよう。
という事で、全員で風呂に入ろうとしたらナギサが狼狽えていた。
『な、ま、まさか、全員でお風呂に入るんですか?』
「そうだよ。これはうちのパーティーの必須事項だよ」
ナギサは恥ずかしそうにしながら裸になった。
うん、中々初々しいな。
うちの他のメンバーには無い仕草だった。
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名前:レックス
種族:ヒューマン
年齢:17
レベル:10
ランク:C
ジョブ:支援術士
ジョブスキル:
【攻撃支援】【防御支援】【回復支援】
【回避支援】【強化支援】【魔力支援】
【魔法支援】【隠密支援】
加護:
【経験値2倍】【無詠唱】
【ジョブスキル全体化】【無限魔力】
【回復魔法】【刀剣術】【マッピング】
名前:アイラ (主人:レックス)
種族:狐人族
年齢:20
レベル:9
ランク:C
ジョブ:軽戦士
ジョブスキル:
【双剣】【速度強化】【腕力強化】
【剣撃強化】
加護:
【状態異常攻撃】【生活魔法(火)】
名前:サーシャ (主人:レックス)
種族:エルフ
年齢:18
レベル:8
ランク:C
ジョブ:魔弓士
ジョブスキル:
【魔弓】【命中率補正】【誘導矢】
加護:
【付与魔法】【風魔法】【異常回復】
名前:ジーナ (所有者:レックス)
種族:ヒューマン (人工生命体)
年齢:19
レベル:10
ランク:C
ジョブ:重騎士
ジョブスキル:
【盾術】【大剣術】【挑発】
【シールドアタック】
加護:
【解析】【罠探知】【生活魔法(光)】
名前:シェリー
種族:ヒューマン
年齢:19
レベル:9
ランク:C
ジョブ:魔法使い
ジョブスキル:
【火魔法】【詠唱短縮】【範囲魔法】
【魔力制御】【水魔法】
加護:
【杖術】
名前:ナギサ
種族:ヒューマン
年齢:18
レベル:6
ランク:E
ジョブ:薙刀使い
ジョブスキル:
【薙刀術】【腕力強化】【刀撃強化】
加護:
【回復魔法】




