0070:調査隊救出成功
ほぼ1人1つの繭を担当している。
ナイフで縦に切れば簡単に切れるとは言われても中に人が入っているので慎重になってしまう。
まずは力を抜いて繭の表面にナイフで切り口を作って、そこから少しずつ力を入れて繭を斬り裂いていった。
どっちが頭なのか分からないのも苦労するポイントだ。
まぁ足だから適当にやっていいわけじゃないのだが。
何度もナイフで切れ込みを入れていくと繭に裂け目が出来た。
「あと少しだな」
1度裂け目が出来ると意外と簡単に繭が切れていった。
繭の上から下まで裂け目が出来たのでピーナッツみたいに繭を一気に割ろうとした。
『ちょっ、ちょっと待って!』
繭の中から女性の声が聞こえてきたが遅かった。
繭を一気に割ると中には裸の女性がいた。
よく見るとナギサだった。
ナギサは胸や大事な所を手で隠しているがもちろん全部を隠せる訳でない。
お尻や太腿や胸の一部分はしっかりと見えている。
『ちょっと、後ろを向いててよ!』
「あ、ご、ごめん・・・」
慌てて後ろを向いたが俺の脳裏にはしっかりとナギサの裸姿が焼き付いている。
思った以上に白い肌をしており、推定Dカップはあった。
シェリーが自分の着替えをナギサに渡して着替えたようだ。
『もう、こっちを向いても良いわよ』
着替え終わったナギサが改めて礼を言ってきた。
『助けてくれて本当にありがとう。おかげで調査隊の全員が助かったみたいね』
レッドスパイダーに捕まっていた調査隊のメンバーは全員繭から助けられていた。
死亡者がゼロなのは幸運だった。
しかし全員全裸だった。
どうやらレッドスパイダーに装備は全て剥がされたらしい。
まぁ装備は食べられないからな。
すると、助けた調査隊メンバーの1人が腹を鳴らすと次々と腹が鳴った。
ナギサも顔を真っ赤にしていた。
『ちょっと待ってて。今から食事を作るからね』
サーシャはそう言うと食事の準備を開始した。
こんな場所で食事なんかとも思ったが調査隊メンバーには休息も必要だよな。
「サーシャ、今から言う料理を作れるかな?」
サーシャの耳元でレシピを伝えたところ、サーシャはウンウンと頷いている。
『分かったよ、旦那様。多分出来るよ』
サーシャが出来ると言うので料理はサーシャに任せて俺達は食事の準備を進めた。
30分程して料理が出来上がった。
サーシャに作ってもらったのは雑炊だ。
肉は少しだけ入れているが。
『これって雑炊ですよね? まさか和の国以外で食べられるとは思いませんでした』
ナギサは雑炊を知っていたようだ。
さすが、和の国の人だな。
ただ、他のメンバーは雑炊にちょっと引き気味だった。
『なんだ、このドロドロした食べ物は?』
『食べられるんだよな?』
『匂いは旨そうな感じがするけどな・・・』
『これは雑炊という食事ですよ。私達、調査隊メンバーは数日間食事をしていなかったからお腹に優しい食事を作ってくれたんですよ』
ナギサがこちらの意図を説明してくれた。
そしてナギサが率先して雑炊を食べ始めた。
『お、美味しい! 少し塩味を抑えているようですが味付けはしっかりしていますね』
ナギサが食べ始めたため他のメンバーも雑炊を食べ始めた。
『おぉぉ、これは旨いな!』
『あぁ、スープとは違った美味しさだな!』
『これがライスってやつか。噛むと甘味が口に広がるな!』
思いの外、雑炊は好評だった。
そして、あっという間に3つあった鍋が全部空になった。
『いやぁ、旨かったなぁ!』
『あぁ、まさかこんな場所で旨い食事が出来るとは思わなかったな』
『この味なら店を開けるんじゃないか?』
あまりの好評価にサーシャは非常に嬉しそうにしていた。
さすがに店を開けるは言い過ぎだと思うがサーシャの料理の腕前は認めるところだ。
『よし、それじゃあメリサの町に戻るとするか』
『そうね、あまり長居したい場所じゃないしね』
『あ、そうだ! 私の薙刀を回収したいんだけど、少しだけ時間をくれないかな?』
すると他のメンバーも俺も俺もとなった。
仕方が無いので30分だけ武器の回収が許可された。
丸腰がたくさんいるとかえって足手まといになるからだ。
『あったー! 私の薙刀、あったよー!』
どうやらナギサは自分の武器が見つかったようだ。
ただ、当然のことではあるが武器が見つからなかった連中もいた。
ようやく帰ることが出来るな。
ただし来るときと違って体力的に弱っているメンバーがいるので急いでは帰れない。
それでもナギサはかなり元気なほうだった。
帰りは何故かナギサと一緒にいた。
そしてアイラ達とも意気投合していた。
当然、俺もナギサと色々と話をした。
ナギサに和の国の話を聞いた限り、和の国は江戸時代のような国の感じがした。
和の国には是非とも1度は行ってみたいな。
『そういえば、レックス殿の武器はまるで刀のようね』
「いや、れっきとした刀だよ」
『え、やっぱりそうなんですね。でも何で刀を持っているんですか?』
「たまたま武器屋で見つけてね。持ち主の魔力を吸い取るから扱える人がいなくて安く買えたんだよ」
『え? そんな怪しい刀を持っていて大丈夫なんですか?』
「まぁスキルのおかげで大丈夫だよ」
他人にどんなスキルを持っているのか聞くのはタブーなのでナギサは深く追及はしてこなかった。
「そういえば、ナギサはなんで1人で冒険者をしてるんだ? ソロは厳しいよね?」
俺も少しの間だけソロをしていたことがあるのでソロの辛さは分かる。
『まぁ色々とあってね。中々良いメンバーと知り合う機会が無いのよね』
なるほどね。
それは分かる気がするな。
下心が満載の男とかが群がって来そうだ。
そんなのばっかりだとソロのほうが気が楽かも知れない。
『ねぇ、ナギサ。ならさぁ、暫くの間だけでも私達と一緒に活動しない?』
サーシャが突然、訳の分からないことを言い出した。
ナギサもそんな変なことを言われたら困るだろうに。
「ちょっ、サーシャ、何を言って・・・」
『あら、それって良いわね! でも本当に良いのかしら?』
「へ? マジで? 本当に良いのか?」
『もちろんだよ! ねぇ、皆はどう思う?』
『私は特に問題ありませんよ』
『妾も問題無いのじゃ』
『そうねぇ、いいんじゃない』
あれ? 誰も反対しないようだ。
そして誰も俺には意見を聞かないようだ。
どうやら俺には発言権が無いらしい・・・
『じゃあ、決まりだね。これからよろしくね、ナギサ!』
俺の意見を聞かずに決まってしまった。
この際、俺の意見はどうでもいいな。
そうなるとメリサの町に戻ったらギルドに行ってナギサのパーティー登録の申請をした方が良いな。
俺の支援を活かすためにも必要な作業だ。
ただ問題は生活をどうするかだな。
俺達はハウステントで生活しているからな。
全員一緒にハウステントで生活したほうが良いのか、それとも一緒に宿屋で生活したほうが良いのか?
『あ、旦那様。ナギサにはハウステントの話はしてあるからね』
「え、うそ?」
そういえば、ハウステントのことを内密にするように言ったことが無いな。
まぁ、何となくではあるがナギサなら他人に言いふらしたりしないだろう。
ただし、まだ問題点がある。
それは風呂の存在だ。
俺達は全員で一緒に風呂に入っている。
ナギサだけ別々で風呂に入るのか?
『旦那様、和の国には温泉っていうお風呂があって、混浴ってものもあるらしいですね』
和の国には温泉があるのか。
そして混浴という素晴らしいシステムまで存在しているのか。
念のため、ナギサに混浴という言葉を理解しているのか確認してみた。
俺の知っている混浴じゃない可能性もあるからな。
「ナギサ、混浴の意味を知っているのか?」
『はい、もちろんですよ。男女が一緒に温泉に入ることですよね?』
どうやら俺の知っている混浴と同じ意味だった。
ということはナギサも一緒に風呂に入るということか。
これは早く町に帰りたいな。




