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0069:レッドスパイダー討伐


森の中を進んでいくと白い糸があちこちに張り巡らされていた。


「これがレッドスパイダーの巣なのかな?」


白い糸は肉眼でハッキリと見えるほど太い。

確か蜘蛛の糸ってかなりの強度があるんだよな?


『あぁ、これはレッドスパイダーの巣に間違いないな。以前にも見たことがある』

『私達も見たことがあるわ。レッドスパイダーの巣で間違いないわね』


「レッドスパイダーの糸って切れるのかな?」


『止めたほうがいいな。切れないことは無いが切ろうした振動にレッドスパイダーが寄ってくるぞ』


あれ? レッドスパイダーを倒すんじゃないのか?


『出来ればレッドスパイダーに会わないで捕まった冒険者達を救出出来るのが一番よ』


なるほどね。

その考えは全く無かったな。

確かに何でもかんでも倒せば良いというのは見直すべきだな。


とりあえずレッドスパイダーの糸に触らないように森の奥に進んでいった。

レッドスパイダーの巣は糸が太く、縦糸と横糸の間隔も広いので注意すれば触れることは無さそうだった。


だとすると疑問点がある。


「調査隊はなんでレッドスパイダーに捕まったんだろうな?」


『おそらくだが、レッドスパイダーを倒そうと思ってわざとレッドスパイダーの糸に触れたんだろうな』

『そうね、多分だけどね』


なるほどね。

それなら納得出来るな。


もし、それが本当なら傍迷惑な話だな。


「しかしかなり広い巣だよな」


『レッドスパイダーは半径1Kmくらいの巣を作るからな』

『それと横糸が中心に向かって平行になっているから分かりやすいのよね』


確かに良く見ると綺麗な作りになっていた。

かなり几帳面なモンスターなのかも知れない。


引き続き慎重に巣の中心に向かって進んでいる。


すると【悠久の力】のリーダーであるマッシュが言った。


『皆、止まるんだ。見ろ、あそこに獲物の繭があるぞ』


確かに蜘蛛の糸でグルグルにされたっぽい繭が10個以上あった。

それを見た【薔薇の爪】のリーダーであるヘレンが呟いた。


『ちょっと高いわね・・・あれだとレッドスパイダーに気付かれずに下ろすのは無理っぽいわね』


確かにヘレンの言う通り、レッドスパイダーに気付かれずに繭を下ろすのは無理だろう。

だとするとレッドスパイダーを倒すしか無いか。


「レッドスパイダーを倒すのは無理なのか?」


『無理っていう訳じゃないが・・・』

『ちょっと準備が足りないかしらね』


「準備?」


『えぇ、レッドスパイダーは毒攻撃をしてくるのよ。一応、解毒剤は持っているけど数は少ないわ』

『俺達も同じだ・・・』


解毒かぁ・・・

あれ? そういえばサーシャが異常回復を持っていたよな。


「サーシャ、異常回復スキルって解毒も出来るっけ?」


『えっと、ちょっと待ってね。確認するから』


サーシャはステータスウィンドウで自分のスキルを確認していた。


『え~っと、全ての状態異常を回復するって書いてありますね』


『え、マジか?』

『凄いわね・・・』


最近取得したばかりでチェックが甘かった。

新しく取得したスキルはちゃんと確認しないといけないな。


『よく分からんが解毒に関して問題無いらしいな』

『そのようね・・・ちょっと呆れちゃうけど』


どうやらレッドスパイダーを討伐することで問題無さそうだ。


「それじゃあ、レッドスパイダーを誘き寄せるよ?」


『あぁ、やってくれ!』

『いつでもいいわよ!』


俺は木の枝を持って巣を叩いた。

あまり大きな振動はしていないがレッドスパイダーに気が付いてくれるだろうか?


『よし、これで奴がやって来るまで待機だ』

『ちゃんと先制攻撃の準備をしておいてね』


マッシュとヘレンは大丈夫だと言っているな。

ここは先輩冒険者を信用することにした。

とりあえず支援を発動して待つことにした。


待つこと20分程すると、ガサガサと木の葉っぱを掻き分けるような音が聞こえてきた。

音がする方向を見ると5~6mくらいは巨大な赤黒の蜘蛛がいた。


「デ、デカいな、しかも色が明らかに毒を持っていますって色をしているな」


『気色悪いわね、レックス』


マッシュとヘレンのほうを見ると2人とも待てと手で合図をしてきた。

一方のレッドスパイダーはゆったりとした動作で俺達を探しているようだ。


正しくは巣に掛かった獲物を探しているのだろうな。


するとレッドスパイダーが巣から降りてきた。


『よし! 今だ!! 全員、行くぞー!!』


『『おぉぉ!!』』


マッシュの合図で全員が一斉にレッドスパイダーに向かって走り出した。

まずはそれぞれのパーティーの遠距離メンバーが先制攻撃を放った。


さすがは高ランクパーティーだ。

ちゃんと魔法を使えるメンバーがいた。


『ギィッギィィィ』


魔法や弓矢の攻撃を受けてレッドスパイダーが唸り声を上げた。

レッドスパイダーも俺達を敵と認識したのかこちらに向かってきた。


するとレッドスパイダーは突然、口から糸を吐き出した。

間一髪で糸を回避することが出来た。


『気を付けろ! 奴は口からも糸を吐くからな! あと奴の唾液に毒があるからな!』


それは事前に言っておいて欲しかったな・・・


【悠久の力】と【薔薇の爪】はレッドスパイダーの横に回り込んでいた。

なのでレッドスパイダーの正面は俺達が受け持っている。


『なんか分からんがこの野郎は巣に戻る気がなさそうだな』

『えぇ、今がチャンスね!』


ジーナが挑発を使っているのでレッドスパイダーは巣に戻ろうとせずにジーナに向かって執拗に糸を吐き出している。


ジーナも分かっているようで無理をせずに糸を回避することに専念していた。


そして【悠久の力】と【薔薇の爪】がレッドスパイダーの後ろ足を左右1本ずつ斬り落とし、続けざまに俺とアイラも左右の前足を1本ずつ斬り落とした。


これでレッドスパイダーの足は残り4本になった。

さすがに足が半分になったためかレッドスパイダーの動きが変になった。

まるで酔っ払いの千鳥足のような動きだ。


自分の体重を支えきれないのだろうな。

それでもレッドスパイダーはジーナの挑発を受けてジーナだけを攻撃しようとしている。


『ギィィィ!!』


レッドスパイダーは唸り声を上げて糸を吐き出してきた。

それをジーナが大盾で受け止めた。

回避出来なかったのでなくあえて受け止めた。


ジーナとレッドスパイダーの綱引きとなったがレッドスパイダーは4本足になっているため踏ん張りが利かないようだ。


『こやつの動きを止めるから止めを刺すのじゃ!』


『よっしゃ! お嬢ちゃん、よくやった! 任せろ!』

『このチャンスは無駄にしないわよ!』


3パーティーによるタコ殴りとなった。

4本足で辛うじて体重を支えているレッドスパイダーには反撃をする手段が無い。


最後はアイラが素早くレッドスパイダーの身体を駆け上がってレッドスパイダーの頭に双剣を突き立てた。


レッドスパイダーは全身がプルプルと震えだし、数秒後には完全に動きが停止した。

そしてレッドスパイダーは魔石とドロップアイテムを残して消えた。


『ふぅ、やっと倒したな。その魔石とドロップアイテムはお前達にやるよ。それでいいだろ、ヘレン?』


『えぇ、もちろんよ。この子達がいなかったらレッドスパイダーをこんなに簡単には倒せなかったわ』


「ありがとうございます、では遠慮無く頂きます」


魔石とドロップアイテムを拾ってマジックバッグにしまった。


『それじゃあ、早く繭を降ろしましょうか』


『あぁ、そうだな。全員、生きていてくれてるといいが・・・』


この中で一番身軽なアイラが木に登り、巣から繭を1つずつ地面に降ろしていった。

全部で12個の繭を降ろし終えた。


「これで全員分ですか?」


『あぁ、パーティーは5人パーティーと4人パーティーで、ソロは3人と聞いているからな』


『それよりも早く繭から出してあげましょう。繭はナイフで縦に切れば簡単に切れるはずよ』


皆で一斉に繭の解体を始めた。

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