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0068:行方不明者の捜索


本で思わぬ出費となってしまった。

明日以降、小遣い稼ぎをしないといけないな。


『5日後が楽しみですね』

『何から作ろうかなぁ』

『どれも美味しそうだったのじゃ』

『そうよね、早く5日が過ぎて欲しいわね』


まぁ、アイラ達がこんなに喜んでいるから良しとすることにしよう。

今日はすることも無いのでキャンプ場に戻ることにした。


キャンプ場に戻る途中でギルドの前を通り過ぎようとしたところ、1人の男性冒険者がかなり慌てた様子で走ってくるのが見えた。


その冒険者は大急ぎでギルドの中に駆け込んだ。


俺達はギルド入口の外にいたがその冒険者が叫んでいた言葉が聞こえてきた。


『た、大変だ、調査隊チームが全員行方不明になった!』


どうやら、何かの調査に冒険者達がチームを組んでいたようだが、その調査隊チームが行方不明になったようだ。


『な、なんだと! 調査隊チームの構成は分かるか?』


『ちょっと待ってろ、今確認する!』


ひょっとしたら緊急依頼が発令されるかも知れないのでギルドの中に入って様子を伺うことにした。


『・・・お、分かったぞ! 2パーティーとソロ冒険者が3人だ! 読み上げるぞ! パーティーは曙の力、草原の爪の2つだ! 次がソロだな。ダナッシュ、ガンダン、ナギサだ!』


え、ナギサって、あのナギサか?

数日前にちょっとだけ知り合った女性冒険者のはずだ。


お互いに名前を教えあった程度ではあるがちょっと気になるよな。

なので受付嬢にどんな調査依頼だったのか聞いてみるか。


「すみません、今、話題になっている調査隊って何の調査をしていたんですか?」


『あ、レックスさん。調査隊が調査していたのはレッドスパイダーの存在確認です』


受付嬢が言うにはレッドスパイダーはかなり広範囲に巣を作り、かつかなり好戦的で食欲旺盛な蜘蛛のモンスターらしい。


『普段は人が住んでいるところの近くには姿を現すことは無いんですけど、目撃情報が相次いだために存在確認することになったんですよ』


「それで調査隊チームがそのレッドスパイダーに捕まってしまった可能性があると?」


『はい、その可能性が非常に高いと思ってます。なので今はギルドでどうするか検討しているんです』


「どうするとは?」


『その・・・捕まっている冒険者が亡くなっているなら森ごと焼き払うことも含めて検討中なんです』


かなり乱暴な話だ。

しかも捕まっているかも知れない冒険者達の生死をどうやって確認するんだ?

ひょっとすると勝手に生死を判断する可能性もあるな。


「ちなみに追加の調査チームは結成されるんでしょうか?」


『正直、分かりません。ただし、レッドスパイダーはランクBモンスターなので出来る限り早く対処する必要はあります。それが多少の被害が出ても・・・です!』


受付嬢が言っていることは理解出来るな。

確かに正論だろうな。

しかし、それが正論であっても納得は出来ないが。


「そのレッドスパイダーが目撃された場所って何処なんですか?」


『ちょっ、レックスさん? まさか?』


「いや、間違ってレッドスパイダーがいるところに近寄らないためですよ」


『・・・分かりました。場所ですがこの町から北西に行ったところにある巨大な岩に囲まれた森です。急いで行けば徒歩でも1日くらいの距離ですよ』


「分かりました、ありがとうございます」


『レックスさん、もし森を焼き払うと決定された場合、実施されるのは3日後になると思います』


「いや、近寄らないから・・・」


受付嬢がニッコリしていた。

騒然としているギルドをあとにした。


ギルドの外に出るとアイラ達が声をかけてきた。


『ご主人様、行くんですよね?』

『まぁ、町の外へ散歩するくらいならね』

『たまたま北西のほうに散歩するだけなのじゃ』

『そうよね、たまたまよね』


「そう言えば最近、運動不足だよな? ちょっとジョギングするか?」


『『ふふふ、そうですね!』』


早速、北西の森に向かおうかとしたら声を掛けられた。


『なぁ、ちょっと良いか?』

『そのジョギングとやらに参加させてくれるかしら?』


声を掛けられたほうを見ると2組のパーティーがいた。

1組目のパーティーは野郎だけの5人組パーティーで、もう1組のパーティーは女性だけの5人組パーティーだ。


『北西に向かうんだろ? なら一緒に散歩しようや!』

『そうよね、散歩するなら大勢のほうが楽しいわよね!』


見た目は両方ともベテラン冒険者達だ。

両パーティーのリーダーらしき2人から両肩を叩かれながら門に向かった。


『悪いと思いながらさっきの受付嬢との会話を聞いていたんだよ』

『私達も同じよ。で、北西の森に行くなら一緒に行こうかなって』


話を聞いてみると2パーティー共にランクBパーティーだった。

野郎パーティーが【悠久の力】、女性パーティーが【薔薇の爪】という名前らしい。


【悠久の力】のリーダーはマッシュという名前で、【薔薇の爪】のリーダーはヘレンという名前だった。


「でも急いだほうがいいと思うんだけど俺達に付いて来れますか?」


『馬鹿にするなよ? こう見えても俺達はランクBパーティーだぞ?』

『そうよ! 舐めないで欲しいわね!』


「それじゃあ急ぎましょうか。目標は半日で到着ですからね」


『え? マジか?』

『えっと、冗談よね?』


いいえ、マジですよ。

受付嬢からは急いでも1日の距離と聞いていたが少しでも早く到着したほうが良いはずだ。


門を出る前に強化支援を発動して北西の森に向かって走り始めた。

ずっと走り続けるため全力疾走はしない。

感覚的にはマラソンに近い。


昼頃から夕方までぶっ通しで走り続けた。

強化支援をしている俺達もさすがに疲れた。

【悠久の力】、【薔薇の爪】メンバーもかなり疲弊している。


「ここで一旦野営にしましょうか」


『ぜぃぜぃ、お、お前ら、体力の化け物か? ぜぃぜぃ・・・』

『はぁはぁ、ほ、本当よね、な、何なのよ、あんた達は・・・』


「う~ん、若さの違いですかね?」


『ぜぃぜぃ、俺達はまだ20代だ!』

『はぁはぁ、私達もまだ20代前半よ!』


「そんな事よりも野営の準備をしましょうか」


『ぜぃぜぃ、そんな事じゃないぞ!』

『はぁはぁ、そうよ、大事なことよ!』


とりあえず2人の話は無視して野営の準備を始めた。

竈と夕食の準備をテキパキと進める。


その間は【悠久の力】、【薔薇の爪】メンバーは完全休養している。


サーシャはオーク肉、ネギっぽい野菜、ニンニクっぽい根野菜を使った鍋を作っていた。

全部で15人分なので大きな鍋を3つ使って作っている。


鍋の旨そうな匂いが辺りに充満し始めた。

【悠久の力】、【薔薇の爪】メンバーが匂いに釣られて起きてきた。


『なぁ、その量は俺達の分もあるのか?』

『凄く美味しそうな匂いよね』


「もちろん、全員分を作ったつもりだよ」


『おぉ、やったぁ! すまねぇな!』

『ありがとう! ほんと、美味しそう!』


出来るだけ疲労回復になりそうな食材を使ったつもりだ。

夕食を食べながらレッドスパイダーのことを聞いてみた。


レッドスパイダーは獲物を捕らえてもすぐには食べずに糸でグルグル巻きにして獲物が死んだ後に捕食するらしい。


なのでレッドスパイダーに捕まったかも知れない冒険者もまだ生きている可能性があるとのことだった。


ならば、急いで来たのは正解だったな。


「だとすると、なんでギルドはすぐに行動しなかったんだろう?」


『そりゃあ、相手がランクBモンスターだからな』

『そうよね、下手な冒険者達を集めても邪魔になるしね』


確かにそうかも知れないな。

しかし、それでもギルドの動きはお粗末としか言えない。


夕食も終わり、見張りの順番も決まったので仮眠を取ることになった。


『明日の朝に出発すれば昼前には目的の森に到着出来るな』

『上手く行けば本当に皆を助けられるかもね』


◇◆◇◆


翌朝、朝食後にすぐに出発した。

2時間程移動して目的の森に到着した。


『ここからは慎重に森の中を進むぞ!』

『そうね、ここから先はレッドスパイダーのテリトリーだしね』


森の中を進んでいくと途中で驚きの光景を見た。


「マジか・・・これはあり得ないだろ・・・」

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