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0064:初の解体作業


討伐系が少なくなっているようだが、ちょうど良さそう依頼があった。


・リバーグリズリーの討伐


依頼ボードに張り付けられている依頼書の中身を見るとリバーグリズリーはモンスターではなく通常の獣だ。


なので討伐しても魔石やドロップアイテムは落とさないし、ギルドに買い取ってもらうためには解体する必要がある。

もちろん、ギルドに解体をお願いすることも出来るが報酬が減る。


「実はあまり解体をしたことが無いんだよな」


アイラ達にも聞いてみたがやはり解体経験はあまり無いそうだ。


『ご主人様、なんでモンスターじゃなくて獣の討伐を?』


今後、本格的な旅に出る際に途中で食糧の確保が必要になった場合、動物の解体が必要になるかも知れないからだ。


モンスターが食材をドロップすることも多いので必要無いかもしれないが。

念のために準備しておくのは無駄では無いはずだ。


「まぁ、何事も経験しておかないといけないからな」


『なるほど、分かりました』


アイラは素直を理解してくれるから助かる。

とりあえず依頼書を持って受付カウンターに向かった。


「この依頼を受けたいんですけど」


『リバーグリズリーの討伐依頼ですね。分かりました』


ついでにリバーグリズリーがどんな獣なのか受付嬢に聞いてみたところ、普段は川の中に潜っており獲物が川に近付くと突然襲い掛かって来るらしい。


『本来はリバーグリズリーは川の上流に生息しているんですけど、最近町の近くの川まで現れるようになったんですよ』


それで討伐依頼が出された訳か。

そうすると川の上流で何かあったのかな?

さりげなく受付嬢に聞いてみたが受付嬢も分からないとのことだった。


『リバーグリズリーの目撃が頻発するようなら川の上流調査の依頼が出るかも知れません』


とりあえず、町の近くの川まで行ってみれば分かるだろう。

明日の朝に川に行ってみることに決まった。


「今日はキャンプ場に戻って明日に備えようか」


◇◆◇◆


翌朝、早速町の外に出て川に向かった。

町からそう離れていないところに川があった。

川幅は10mくらいのそれほど大きくない川だ。


「昨日の受付嬢の話だと川に近付くと襲い掛かってくるはずだよな」


『はい。なので不用意に近付いては駄目ですよ、ご主人様』


「でも、近付かないとリバーグリズリーが出てこないよな?」


という事で支援を発動させてゆっくりと川に近寄ってみた。

しかしリバーグリズリーがいないのか襲い掛かってくる気配は無い。


『ご主人様、今のところ何かいる気配は無いようです』


アイラの気配探知でも周囲には何もいない様子だ。

なので川に沿って上流に向かってみることにした。


1Kmくらい上流に向かって歩いたところでアイラが何かの気配を察知したようだ。


『ご主人様、この先に何かいます。川の中です』


再度、支援を発動してゆっくりとアイラが気配を察知した場所に歩みを進めた。


すると突然、川の中から巨大な爪を持った毛むくじゃらな腕のような物が飛び出してきた。

何がいると事前に分かっていた俺達は飛び下がって腕のような物を回避した。


「もし事前に分かっていなかったらあの腕みたいな物を回避するのは難しかったかもな」


そう言うとアイラが嬉しそうにしていた。


そして川の中から体長3mくらいはありそうな熊が出てきた。

巨大な爪の間には水掻きがあった。


あの腕に見えた物はリバーグリズリーの前足だった。


『あれなら水中も自由に動けそうですよね、旦那様』


確かにそうだ。

それなのに陸に上がってきた。

ひょっとしたら陸でもそれなりの動きが出来るのかも知れない。


リバーグリズリーは2本足で立ち上がったまま、俺達を威嚇している。


『グルルル・・・』


リバーグリズリーは一歩ずつ俺達に近寄って来た。


「こっちは少し下がるよ」


万が一、川に引き込まれると厄介なことになりそうなので向こうが向かってくるなら好都合だ。


リバーグリズリーに合わせてジリジリと動いた結果、川から4~5mくらい離れることが出来た。


「これだけ川から離れれば大丈夫かな」


全員が戦闘態勢になった。


「あ、そうだ。シェリー、火魔法は駄目だからな」


『え、何でよ?』


「売り物の毛皮が焦げちゃうじゃん」


『あ、そうか。分かったわ。危うく火魔法を使うところだったわ』


直前に気が付いて良かった。

本当に黒焦げにされるかも知れなかった。

今回の目的は解体を経験することだからな。


リバーグリズリーの真正面にはジーナが、その左右にはアイラと俺が陣取り、後方はサーシャとシェリーだ。


サーシャの魔弓とシェリーの水魔法で先制攻撃をした。


『え、うそ?』

『なんで?』


サーシャの魔弓とシェリーのアイスアローがリバーグリズリーに命中はしたのだが、リバーグリズリーの身体に突き刺さらずにリバーグリズリーの後ろに飛んでいってしまった。


「どうやら、かなり毛が硬いらしいな」


いつの間にかリバーグリズリーの背後に回っていたアイラがリバーグリズリーの背中に双剣を突き刺そうとしたが突き刺さらない。


「仕方が無い。シェリー、火魔法を使ってみてくれ!」


『分かったわ、レックス』


シェリーが魔法の準備をしている間、俺達でリバーグリズリーの注意を引いた。


『皆、火魔法を放つわよ! 離れて!』


そう言った瞬間にシェリーがファイアボールを放った。

ファイアボールがリバーグリズリーに着弾するとリバーグリズリーの全身が炎に包まれた。


『ゴワァァァ』


どうやらリバーグリズリーは火が弱点だったようだ。

リバーグリズリーは川に逃げようとしたがジーナがいち早く回り込んで川に逃がさない。


リバーグリズリーは巨大な爪を持った前足を振り回してくるがジーナの大盾でブロックされている。


『そんな単純な攻撃は当たらないのじゃ!』


ジーナがリバーグリズリーの攻撃を防いでいる間も炎は鎮まらない。


『グルゥゥゥ』


リバーグリズリーの動きが極端に遅くなってきた。

おそらく酸欠状態になっているんだろう。

これなら無理に倒さなくても勝手に倒れるな。


暫くするとリバーグリズリーは完全に動きが止まり崩れるようにして地面に倒れ込んだ。

俺が近付いてみて村正でリバーグリズリーの頭を突っついてみたが反応は無かった。


「シェリー、水魔法でこの火を消せるか?」


『多分、大丈夫よ』


シェリーの水魔法を火を消してみたところ驚きの結果だった。

リバーグリズリーの身体は焦げていなかった。

身体の表面だけが焼けていたようだった。


「マジか・・・こいつ解体出来るのかな?」


『旦那様、ギルドの受付嬢からこれをもらっていますよ』


サーシャから受け取ったのはリバーグリズリーの解体の方法が書かれた紙だ。


「こんなのをギルドがくれたのか?」


『いや、ギルドで売っていたんで買っておいたんですよ』


俺達は全員がマジックバッグ持ちなので全員にいくらかの金は渡してあった。

サーシャはその金でリバーグリズリーの解体方法が書かれた紙を購入してあったということだ。


「偉い! サーシャにしては良くやった!」


『ちょっと、私にしてはって余分でしょ? 普通に誉めてくれれば良いのに・・・』


「分かったよ、普通に誉めてあげるよ」


そう言ってサーシャの頭を撫でてやったところ、サーシャはニコニコしていた。

たまに可愛らしいところを見せるサーシャであった。


そしてサーシャが買った紙を見てみると、リバーグリズリーは喉の部分が柔らかいらしく、喉を解体用のナイフを突き刺すと簡単には腹の下まで皮が裂けた。


「これってリバーグリズリーと戦ったときも喉を狙えば良かったのかな?」


『そうですね、ご主人様。多分喉を突けば倒せそうですね』


リバーグリズリーの首から下の皮を全部剥ぎ取った。

そして次はリバーグリズリーの腹を裂き内臓を取り出した。


「・・・やっぱりエグいな」


アイラとジーナはテキパキとリバーグリズリーを解体していくがサーシャとシェリーは全然駄目だった。


こればっかり無理強いは出来ないな。

なので俺とアイラとジーナの3人で解体を進めた。

そして紙には内臓や頭は地面に穴を掘って捨てるようにと書かれていたのでその通りにした。


リバーグリズリーを解体するのに1時間くらい掛かった。


「よし、もう1~2匹狩っておくか」


サーシャとシェリーから反対意見が出たが無視だ。

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