0060:キングレアメタルスライム
アイラが探知した気配がするほうに向かっていくと鈍い銀色をしたドロドロの物体がいた。
少なくとも某ゲームに出てくる可愛らしい姿はしていなかった。
「・・・なんか気色悪いな」
ドロドロした物体がプルプルしている。
あまり触りたくないな・・・
『じゃが、こやつがレアメタルスライムで間違い無いようじゃな』
解析スキル持ちのジーナが言うのだから間違い無いな。
「さて、どうやって倒せば良いんだろうな」
液体っぽい姿をしているから武器による打撃は効果が無さそうだよな。
そうすると魔法系か・・・
「アイラは雷の剣、サーシャは魔弓、シェリーは火魔法で攻撃してみてくれるか」
『分かりました、ご主人様』
『了~解、旦那様』
『分かったわ、レックス』
アイラ、サーシャ、シェリーの3人が一斉に攻撃をした。
しかし、レアメタルスライムは何事も無かったように岩の隙間に潜っていってしまった。
『あ~、逃げちゃった・・・ね、旦那様』
「ひょっとして魔法系の攻撃は効かないのか?」
『そうかも知れませんね。ひょっとしたら打撃をひたすら加えるほうが効果があるかも知れませんよ、ご主人様』
「だとすると、最初にやることは岩の隙間に逃げられないように岩から引き離すことだな」
アイラ達と相談して対応方法を決めた。
『ご主人様、あっちにレアメタルスライムの気配がします』
本来なら岩肌に似た体色をしているため、探すのが苦労するんだろうがアイラのおかげ簡単に見つけることが出来た。
「よし、それじゃあ隠密支援を発動して、攻撃支援、防御支援、回避支援、強化支援も発動」
『それじゃあ、行きますね。ご主人様』
まずはアイラがスピードを活かしてレアメタルスライムに近付き、レアメタルスライムが岩の隙間に逃げ込む前に草むらに放り投げた。
そこに待ち構えていた俺達がレアメタルスライムをタコ殴りにした。
途中からアイラも合流して全員でタコ殴りを続けた。
1分くらいタコ殴りを続けてやっとレアメタルスライムを倒した。
物理攻撃が必要なのか手数が必要なのか、それとも両方なのか分からない。
レアメタルスライムが魔石とドロップアイテムに変わった。
ドロップアイテムはレアメタルだった。
重さにして30Kgくらいの金属の塊だ。
「とりあえず、倒し方は分かったな。あと2匹まで倒していいんだよな」
『残念ながら宝箱は出なかったわね、レックス』
まぁ、こればかりは運なので仕方が無い。
『ご主人様、向こうにもレアメタルスライムがいるようです』
アイラがまたまたレアメタルスライムを発見したようだ。
次のレアメタルスライムのところに向かった。
「やっぱり何度見ても気色悪いな・・・」
岩肌に擬態しているレアメタルスライムはプルプルしていた。
『ご主人様、行きますね』
そう言うとアイラはレアメタルスライムのところに素早く移動してレアメタルスライムをこちらに放り投げた。
そして全員でタコ殴りを開始した。
2匹目の討伐もやはり1分くらい掛かった。
ゲームみたいに与えたダメージ量が分からないのが歯痒いな。
2匹目も残念ながら魔石とレアメタルだけだった。
「やっぱり宝箱はドロップしないか」
『まぁ、仕方無いわよ。そもそも宝箱なんて滅多に見られる物じゃないしね』
シェリーはそう言ってくれているが、やっぱり宝箱は欲しいよな。
最後の1匹に賭けるしかない。
是非、宝箱が出て欲しい。
『ご主人様、あっちからレアメタルスライムっぽい気配がします』
「ぽい? レアメタルスライムじゃなくて?」
『はい。レアメタルスライムと同じような気配なんですが、今までのレアメタルスライムよりも強い気配です』
アイラの案内で強い気配がするほうに向かった。
すると3m程の大きさのレアメタルスライムがいた。
普通のレアメタルスライムは1m程の大きさなので通常の3倍の大きさだ。
『キングレアメタルスライムらしいのじゃ』
ジーナの解析結果ではレアメタルスライムのキングバージョンらしい。
大きさもだが気色悪さも3倍増だ。
・・・いや、気色悪さはもう3倍して9倍増と言っても過言ではないと思う。
「アイラ、あいつを放り投げられるか?」
今までの戦法は岩の隙間に逃げられないようにアイラが岩肌から引き剥がすのが前提だ。
しかしキングレアメタルスライムはかなり重そうだ。
いくらキングレアメタルスライムが巨体でも身体はジェル状なので岩の隙間に逃げることは可能だろう。
なので、今までの戦法を使わないといけないだろう。
『私が先行してキングレアメタルスライムが岩の隙間に逃げ込まないようにします。その後はジーナ、あなたが放り投げてくれますか?』
俺達の中で1番の力持ちは間違いなくジーナだ。
なのでアイラの提案は的確だった。
『分かったのじゃ。妾に任せるのじゃ!』
作戦が決まったところで行動を開始した。
アイラが素早くキングレアメタルスライムのところに向かい、岩の隙間に逃げ込まないように双剣をキングレアメタルスライムの腹(?)に差し込んだ。
続いてジーナも剣をキングレアメタルスライムの腹に差し込み、キングレアメタルスライムを持ち上げて俺達の方に放り投げてきた。
『うぉぉぉりゃぁぁぁ、なのじゃぁぁぁ!!』
変な雄叫びと共にキングレアメタルスライムが俺の足下に飛んできた。
そして俺は村正でキングレアメタルスライムを滅多斬りにした。
しかしダメージが与えられていないのかキングレアメタルスライムはモゾモゾと動き出した。
岩の方に進もうとしている。
何とか動き止めようとキングレアメタルスライムの進行方向に立ち、必死に村正で斬りつけているが止まる様子は全く無い。
『マスター、退くのじゃ!!』
後ろからジーナの声が聞こえたので横に避けるとジーナのシールドアタックがキングレアメタルスライムに炸裂し、キングレアメタルスライムは数m後方に吹き飛んだ。
「すげぇな、あれを吹き飛ばすのか・・・」
ジーナのシールドアタックの威力に感心しているとアイラも戻って来たので全員によるタコ殴りが開始された。
それでもキングレアメタルスライムは岩に向かって進むことを止めなかった。
キングレアメタルスライムが岩に近付いたら、またジーナのシールドアタックで岩から引き離しタコ殴りをすることを繰り返した。
同じ作業を延々と1時間以上繰り返した結果、やっとのことでキングレアメタルスライムを討伐した。
「つ、疲れたな・・・」
『はい、かなり疲れました・・・』
『もうヘトヘトですよ・・・』
『そうじゃな、妾もヘトヘトじゃ』
『こんなに杖を振り回したのは初めてよ』
全員が地べたに腰を降ろしていた。
キングレアメタルスライムは巨大な魔石と巨大なレアメタルをドロップした。
そして、もう1つドロップしたものがあった。
金色の宝箱だ。
「おぉ、やったぁ! 宝箱をドロップしたな!」
『旦那様、しかも金色ですよ!』
サーシャが大事そうに金の宝箱を持ってきた。
魔石とレアメタルも一緒にマジックバッグにしまった。
「狩っていいのは3匹までだったよな。そろそろメリサの町に戻るとしようか」
『マスター、腹が減ったのじゃ・・・』
そういえば、昼食の時間を過ぎていた。
なのでマジックバッグから買い置きしてあった串肉を取り出して食べながら町に戻った。
町に戻るとギルドに直行した。
「すみません、買い取りをお願いします」
『レアメタルスライム狩りのですよね? ではカウンターに魔石とドロップアイテムをお出しください』
「えっと、1つは床に置いてもいいですか?」
そう言うと受付嬢は怪訝そうな表情をした。
『よく分かりませんが、どうぞ・・・』
受付嬢から了解を得たのでまずは魔石を出した。
2つは普通のレアメタルスライムの魔石だ。
そして3つ目はキングレアメタルスライムの魔石だ。
『は? え? えっと・・・す、すみませんがレアメタルスライムの魔石以外は別のカウンターでお願いします』
まぁ、そう言うよな。
ちょっと面倒だけど受付嬢に説明することにした。




