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0054:クラーケン討伐開始


『なぁ? まだ食べるのか? そろそろ腹一杯になったんじゃないのか?』


俺達は【灼熱の斧】の奢りでコナーンで1番美味しいと評判の高級スイーツ店に来ている。


『もちろんです! まだまだいけます』

『そうだよね、ここのスイーツも美味しいしね』

『そうなのじゃ、まだこれからなのじゃ』

『これだけ美味しいといくらでも食べられそうね』


【灼熱の斧】のメンバーはアイラ達の食べっぷりに驚きの表情を隠せないでいた。


『ここの支払いはマダックスだからな』


【灼熱の斧】の他のメンバーが支払いに関して言い出した。


『ちょっ、ちょっと待て。ここは【灼熱の斧】全員で払うべきだろう?』


マダックスとは【灼熱の斧】のリーダーであるオッサンの名前だ。


俺としては誰が支払ってくれても問題無い。

ちゃんと支払ってくれさえすればだが。

そしてアイラ達には遠慮は無用だと伝えてあり、アイラ達も遠慮無く高いメニューを次々と注文していた。


遠慮無用と言っておいてなんだが本当に遠慮しないな。

結構な量を食べているが止まる気配が無い。


結果、食べたスイーツは120個になった。


『『美味しかった~!!』』


アイラ達は満足したようだった。


『マ、マジで120個も食べやがった・・・』


マダックス達は驚いたというよりはもはや呆れていた。


支払いは大銀貨2枚、銀貨4枚となった。

支払いに関しては【灼熱の斧】で厳正な話合いの結果、マダックス1人が支払うことになったようだった。


『『ご馳走様でした~!!』』


『ま、まぁ、俺が言い出したことだからな。仕方が無いよな・・・』


ちょっとだけマダックスは奢ってやると言ったことを後悔しているようだった。


『まぁ、お前達も無事にクラーケン討伐に登録出来た訳だから明日から頼むぞ!』


マダックスの言った通り、明日からクラーケン討伐が開始される。

厳選されたパーティー達でクラーケンに対して波状攻撃を仕掛けるのだ

そのパーティー達の中に俺達も含まれている。


本来なら俺達のパーティーランクでは登録は出来ないはずであったが、【灼熱の斧】の推薦ということで登録が出来たのだ。


高級スイーツ店の前で【灼熱の斧】達と別れた。

俺達も明日に備えて早く寝ることにした。


◇◆◇◆


翌朝、ギルドに向かっていた。

クラーケン討伐に参加するパーティーは全員が朝一にギルドに来るようにと言われていたためだ。


ギルドに到着したが昨日とは雰囲気が違っていた。

どうやら今日はクラーケン討伐に参加する冒険者以外はいないようだ。


『あ、おはようございます。レックスさん』


受付嬢が声を掛けてきた。


『皆さん、既にお待ちですよ』


そう言って2階の会議室に案内された。

会議室の中に入ると50~60人の冒険者がいた。

もちろん、その中には【灼熱の斧】もいた。


俺達は適当に空いていた席に座った。

暫くすると1人の厳つい顔をしたオッサンが部屋に入ってきた。


『皆、良く来てくれたな。まずは礼を言う。俺がギルドマスターのダミッシュだ』


厳つい顔をしたギルドマスターの声はダミ声だった。


『今日こそはコナーンに居着いたクラーケンを討伐出来ることを期待しているぞ!』


『『おぉぉぉ!!!』』


『では、早速だがクラーケンを倒すための作戦を伝えるぞ』


ダミッシュが伝えてきた作戦はこうだった。


ここには10組のパーティーがいるらしい。

そこで2組のパーティーを1チームとして5チームが交代しながら休まずにクラーケンと戦うというものだった。


『なので、まずは各自で相談してチームを作ってくれ』


ダミッシュがそう言うと各パーティーが相談を始めた。


「どのパーティーとチームを組むかな・・・」


俺達とチームを組んでくれそうなパーティーを探そうと思って席を立ち上がると俺達に声を掛けてきたパーティーがあった。


『よう、レックス。俺達とチームを組むか?』


俺達に声を掛けてきたのは【灼熱の斧】だった。

【灼熱の斧】はランクAパーティーなので俺達として文句無い相手ではあるが。


「俺達でいいんですか?」


『あぁ、もちろんだ。お前達の実力は昨日の模擬戦を見て把握しているからな。実力的には問題無しだ』


「そう言ってもらえるなら俺達も問題無しですよ」


とりあえず無事にチームが組めたので良かった。

俺達以外のパーティーもチーム編成が完了したようだ。


『よし、チーム編成が終わったようだな。そうしたらクラーケン討伐に向かうぞ。戦闘方法は向かう途中で各自話し合ってくれ』


結構・・・いやかなり雑だな・・・

冒険者ってこんなものなのかも知れないが。


【灼熱の斧】は6人パーティーだった。

マダックス達と話をしたが【灼熱の斧】には後衛が2人いるが俺達と同じように魔法使いと弓使いだった。

まぁサーシャは風魔法も使えるようになったけどな。


『火魔法使いが2人もいるし、こいつもあるから安心だな』


マダックスが背中に担いでいる斧に右手の親指でクイクイとしていた。

きっとマジックアイテムなんだろうな、聞いて欲しそうにしていた。


「その斧ってマジックアイテムなんですか?」


仕方が無いので聞いてみるとマダックスは待ってましたと言わんとばかりに答えてくれた。


『あぁ、ダンジョンで見つけた【火炎の斧】ってマジックアイテムなんだよ!』


どうやら、【灼熱の斧】というパーティー名は【火炎の斧】からちなんで名付けたらしい。

同様にマジックアイテムの名前からパーティー名を決めるパーティーは意外と多いらしい。


『そういえば、坊主の武器は変わった形をしているな』


「これは刀という剣みたいな武器ですよ」


『ほう? 刀というのか。聞いたことが無いな』


やはり刀は一般的では無いらしい。

そんな話をしているうちに浜辺に到着した。


『よし、クラーケンを誘き寄せる前に戦う順番を決めるぞ。各パーティーのリーダーは集まってくれ』


ダミッシュの呼び掛けに各パーティーのリーダーがダミッシュのところに集まった。


『1つ言っておくが、今回の依頼は誰がクラーケンの止めを刺しても功績は皆同じた。ただし明らかに手を抜いていると見たら減点するからな』


各パーティーで波状攻撃を仕掛ける以上は妥当な話だ。


『これからクラーケンに攻撃を仕掛けるチームの順番を言う。あと、こちらから交代の合図を出すから聞き逃さないようにしてくれ』


俺達の順番は4番目になった。

最初の3組がクラーケンを倒してくれれば俺達の出番は必要無くなるんだけどな。


『各自、準備は良いな! これからクラーケンを誘き寄せるぞ!』


ダミッシュがそう言うとギルド職員が波打ち際に山羊を引きずり出した。


「山羊をどうするんだ?」


俺がそう言った瞬間にギルド職員が山羊の首を斬り落とした。

山羊の首から血が流れて海に山羊の血が漂いだした。


『クラーケンは血の臭いに敏感でな。あぁやってクラーケンを誘き寄せるんだよ』


マダックスが山羊の首を斬り落とした理由を教えてくれた。

クラーケンって、まるで鮫のような奴だな。


『気を付けろよ! そろそろクラーケンがやって来るぞ!』


すると沖のほうから水しぶきを上げながらやって来る巨大な物体が見えた。


『ご主人様、巨大モンスターがやって来ます』


ギルド職員が首を斬り落とされた山羊を砂浜に引き上げた。

それに釣られてクラーケンが砂浜に巨大な姿を現した。


「デカいな・・・これがクラーケンか」


本体は5mくらいだが、足も5mくらいはある。

しかも足はかなりの太さだ。

あの足に巻き付かれたら危険だよな。


『よし! やるぞ! 1組目のチームは攻撃を開始しろ!!』


『『おぉ! 任せろ!!』』


1組目の2パーティーがクラーケンに攻撃を開始した。

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