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0053:模擬戦をする


港町コナーンに到着したが夕方になったので今日は何もしないでキャンプ場に向かうことにした。

馬車はキャンプ場で預かってもらい、ハウステントを設置した。


夕食後に風呂に入り、ベッドでイチャイチャした後にアイラが明日の予定を聞いてきた。


『ご主人様、本当にクラーケン退治には参加しないで見学するだけなんですか?』


「相手はランクAモンスターだからなぁ」


『旦那様。でも単独で倒すわけじゃないですよね』


そうなんだよな。

今日会った【灼熱の斧】みたいなランクAパーティーが複数いれば安全かも知れない。


ただ討伐に参加する以上はちゃんと戦力になりたい。

少なくても参加しただけというのは勘弁だ。

それなら参加しない方がいい。


『マスター、とりあえず明日、ギルドに行って見てから決めればいいのじゃ』


『そうね、ジーナの言う通りね。ギルドで討伐に参加しているパーティーの名前が分かるから、それを見てから決めれば良いわよ、ねぇレックス』


確かにジーナとシェリーの言う通りだな。

ちゃんとしたパーティーが複数参加しているなら俺達も参加しても良いかも知れないな。


◇◆◇◆


翌朝、早速ギルドに向かった。


『うわぁ、これは凄いねぇ。ねぇ旦那様』


サーシャの言う通りギルドの中は冒険者達で溢れていた。


『クラーケン退治に参加する冒険者はこちらに並んでくださーい!』


ギルドの受付嬢が大声で冒険者達にちゃんと並ぶように案内をしていた。


『ランクB以上のパーティーはこちらです。それ以外のパーティーはあっちになりますよ!』


どうやらランクB以上とそれ以外で並ぶカウンターが違うようだ。

ランクB以上を優先して受付しているようだ。


『ギルドで厳選した結果、依頼が受けられないこともありますからご了承くださーい!』


確か、ギルドカードをチェックすれば戦歴が分かるんだっけ。


ギルドとしてもクラーケンを確実に退治したいだろうからこの対応にも納得は出来る。

俺達は納得出来るが当然納得出来ない連中も少なからずいた。


『ふざけるなよ! わざわざ遠くからやって来てやったのに依頼が受けられないってどういうことだ!』


ゴリラみたいな顔をしたパーティーが受付嬢に噛み付いていた。


『残念ながらギルドカードに記録されていた戦歴を確認した結果、クラーケン討伐には力不足と判断されたからですね』


そんなにハッキリと言ったら駄目だと思うんだけどな。


『て、てめぇ、受付嬢の分際で俺達の何が分かるって言うんだぁ?』


ゴリラ顔のパーティーが顔を真っ赤にして怒りを露にしている。

やっぱり、ハッキリと言い過ぎだよな・・・


『おいおい、自分達の実力の無さを受付嬢のせいにするなよな』


昨日の【灼熱の斧】が受付嬢の助っ人に出てきた。


『なんだぁ、てめぇらは?』


『あぁ、自己紹介が遅れたな。俺達は【灼熱の斧】っていう、一介の冒険者パーティーだ』


すると周囲がざわめき始めた。


『おい、確か【灼熱の斧】ってランクAパーティーだよな?』

『あぁ、そうだな・・・あいつら死んだな』


ランクAパーティーという言葉を聞いて騒ぎ立てたゴリラパーティーが一瞬怯んだが。


『あ、あんたらがランクAパーティーだろうがなんだろうが知らねえが、俺達の実力は分からんだろう・・・』


『うーん、まぁ、そうかも知れんな・・・』


【灼熱の斧】のリーダーっぽいオッサンは頭をポリポリ掻きながら周囲を見ている。

一瞬、俺と目があったような気がした。

そして凄く嫌な予感がした・・・


『それじゃあ、あそこの坊主達と模擬戦をしてみるか? もしお前さん達が勝ったら俺達が依頼を受けられるように推薦してやるってどうだ?』


「おいおい、あのオッサン何を言っているんだ? 何で俺達を巻き込もうとしてるんだ?」


アイラ達も困った顔をしている。


『おーし、あの小僧共と模擬戦して勝てば良いんだな? あんな小僧共なら楽勝だな』


ゴリラパーティーは既に勝ったような顔をしている。

何か【灼熱の斧】のオッサンに上手く乗せられた感じはするがゴリラパーティーもムカつく。


『ご主人様、やるんですか?』

『旦那様、ゴリラにお仕置きをするんですよね?』

『マスター、何かムカムカするのじゃ』

『レックス、魔法を使ってもいいんだよね?』


アイラ達もやる気になっている。

シェリーには火魔法は厳禁だと伝えた。

さすがに丸焼きにしちゃ駄目だよな。


『え~と、ギルドの訓練所を使いますか?』


ギルドの受付嬢が聞いてきた。

元はと言えば、この受付嬢から問題が発生したんだけどな。


とりあえず、ギルドの訓練所に案内された。

訓練所はテニスコート2面分くらいの広さがあり、周囲には1mくらいの高さの壁があった。

そして壁の前には野次馬が勢揃いしていた。


俺達は訓練所の中央あたりでゴリラパーティーと対峙している。

ゴリラパーティーは6人組だ。

ざっと見た感じでは4人が前衛で2人が後衛のようだ。

後衛は2人とも弓矢を持っている。


『へへへ、わりぃな坊主。恨むんなら【灼熱の斧】を恨むんだな』


確かにゴリラの言う通りだ。

こんなところに無理やり引きずり込んだのは【灼熱の斧】のオッサンだからな。


『両者とも準備はいいですよね? それでは始め!!』


受付嬢の合図で模擬戦が開始された。

ちなみに受付嬢の合図前に支援は発動済みだ。


ゴリラパーティーの後衛から矢が放たれた。

そして矢が放たれたと同時に前衛の4人が俺達に向かって突撃してきた。


俺達と同じ戦法だった。

飛んできた矢は2本だが、1本はジーナの大盾に弾かれ、もう1時はアイラが叩き落とした。

そしてゴリラパーティーの前衛は矢から少し遅れて俺達の目の前に到着した。


『行くのじゃ!』


到着したゴリラパーティーの前衛に向かってジーナがシールドアタックを喰らわせた。

前衛の2人は吹き飛んだ。


『おぉぉぉ、マジか。人が吹き飛んだぞ!』

『すげぇな、華奢な感じがするのにな』


野次馬達から驚きの声が聞こえてきた。

そして、それと同時にサーシャとシェリーが魔弓とアイスアローでゴリラパーティーの後衛を倒していた。

ちゃんと威力を抑えたようだった。


『くっそう! せめて1人くらいはぶっ倒すぞ!』


ゴリラが俺に、もう1人がアイラに向かってきた。

ゴリラはロングソードを片手に俺に斬りかかってくるが剣の速度はアイラと比較すると遅い。


「アイラとの練習は役に立っているんだな」


『く、くっそう! なんで当たらねぇんだよ!』


ゴリラは大分焦っているようだ。

そりゃあ自分の攻撃が全く掠りもしないのだから当たり前か。


ふとアイラのほうを見ると既に勝負が付いていた。

当然アイラが勝っていた。

俺がアイラのほうを見たのでゴリラも釣られてアイラのほうを見ていた。


『な、まさか、俺以外は全滅なのか?』


「そうみたいだね。もう降参する?」


『ふ、ふざけるなよ! せめてお前だけでも倒してやるよ!!』


ゴリラは顔を真っ赤にしてがむしゃらにロングソードを振り回してきた。

そんな力んだ攻撃じゃ当たらないのにな。


最後はゴリラが力任せに振り下ろしてきたロングソードをかわしてゴリラの額に峰打ちを喰らわした。


『そこまで! 勝負あり! 勝者、レックスパーティー!!』


受付嬢が終了の合図をした。


『すげぇな、あいつら』

『あぁ、中々やるなぁ』

『圧勝だったな』


野次馬達も驚いているようだった。


『がはははは、俺の目に狂いは無かったな。やっぱりお前達は強いな!』


【灼熱の斧】のオッサンが笑いながらやって来た。

元はと言えば、このオッサンのせいで無駄な模擬戦をする羽目になったのに・・・


俺はジト目でオッサンを睨んでやった。


『おいおいおい、そんな目をするなよ。そうだなぁ、詫びの印に飯を奢るから機嫌を直してくれよな』


そんなことを言っても良いのかな?

こっちには大食らいが4人もいるぞ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] なろう系特有の成り行きと巻き込まれ案件 [気になる点] 主人公の主体性が弱い [一言] 何故【勝手に模擬戦を受ける展開】になっているのかが理解出来ない。パーティーメンバーと相談し受けるので…
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