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0005:ソロは厳しい


本日も1人でゴブリンの森でゴブリン狩りをしていた。

本当に無限増殖しているんじゃ無いかと思うほど次々とゴブリンが湧き出てくる。


理屈は分からないけどゴブリンが無限増殖するおかげで生活するのには困らない。

まさしくゴブリン様々だ。


ゴブリンの森は入口付近はノーマルゴブリンしか出てこないが森の奥に進むと、ゴブリンソルジャー、ゴブリンアーチェリー、ゴブリンメイジ等の上位種が出現する。


当然リスクは高くなるが上位種の魔石のほうが高値で換金できる。

ただし初心者から中級者になろうとする冒険者が命を落とすのもこのタイミングが多い。


魔が差したのだろうか、もしくは調子に乗ったのだろう。

森の奥に行ってみたくなった。


【紅蓮の刃】に所属していた時にも何度も行ったことがあった。

それも判断を誤った原因なのかも知れない。


「ヤバければすぐに逃げれば大丈夫だよな」


そう言って森の奥に進んでみた。

入口と違って奥に入ると森は鬱蒼としており太陽の光があまり射し込んでこないので薄暗い。

その薄暗い森の中をゆっくりと進んでいく。


すると前方にノーマルゴブリンよりも大きな姿をしたゴブリンが1匹いた。


「ヤバい、あれはホブゴブリンだ!」


ホブゴブリンはゴブリンの亜種であるがゴブリンよりも遥かに上位の存在だ。

しかもホブゴブリンは通常、十数匹をゴブリンを従えているはずだ。


1匹でいるはずがない。

そう思った瞬間、左右からゴブリン達が襲い掛かってきた。


『ギャッギャー!』

『グギャギャー!』


「しまった! くそっ!」


俺はすぐさま剣を抜いて攻撃支援、防御支援を発動させた。

しかしゴブリン達が襲い掛かってきたのは左右だけでは無く、木の上からもゴブリンが襲い掛かってきた。


『ギッギー!』


木の上から襲い掛かってきたゴブリンの攻撃を頭に喰らってしまった。

幸いにも木の棒による攻撃であったため致命傷にはならなかった。

それでもかなり痛いし頭から血が流れている。


回復支援で頭の怪我はすぐに治ったが状況は非常に悪い。

大量のゴブリンだけでも大変なのにホブゴブリンまでいる。


森の大木を背にして大量のゴブリン達と対峙している。


「ヤバいな・・・逃げきれるかな?」


どうやって逃げようかと思案しているとホブゴブリンはじわじわと動いている。


「マ、マジか、もしかしたら俺の逃げ道を防ごうとしているのか?」


ホブゴブリンは俺が通って来た道へ移動しているのだ。


俺が来た道へ走り出した瞬間、ホブゴブリンも俺の逃げ道を塞ぐために走り始めた。


ホブゴブリンの動きに合わせてお供のゴブリンも俺の逃げ道を塞ごうしてくる。

お供のゴブリンは敵では無く一刀両断で討伐した。

しかし少し時間をロスすることになってしまった。


「くそ、ゴブリンのせいで間に合わなかったか!」


ホブゴブリンのほうがいち早く俺の逃げ道を塞いでしまった。


『グギャギャギャー!』


ホブゴブリンは勝利を確信したような笑い声を上げている。


「ムカつくんだよ、お前は!」


馬鹿笑いをしているホブゴブリンの懐に飛び込んだ。

ホブゴブリンの腹に剣を突き立てた。


『グギッギー!』


攻撃支援のおかげなのだろう、かなりのダメージを与えたようだ。

しかし、その直後にホブゴブリンのパンチが飛んできた。

ホブゴブリンのパンチは俺の右頬にクリーンヒットし俺は吹き飛ばされた。


ホブゴブリンに吹き飛ばされたが剣は手離さなかった。


「いってー! なんて馬鹿力なんだ!」


回復支援ですぐに回復した。

この調子でやり合っても負けないと思うがかなり痛い目に合うな。


とにかくホブゴブリンよりもゴブリンが厄介だった。

数が多いのとちょこまかとウザイのだ。


「仕方が無いな、多少痛いのは我慢しよう」


ゴブリンの攻撃は受けてしまっても仕方が無いと思うことにした。

とにかくホブゴブリンにだけ攻撃を集中させることだ。


そうと決めたらホブゴブリンの懐に飛び込み、

ホブゴブリンの腹に剣を突きを入れた。


『グギャギャー!』


「ぐほっ」


今度はホブゴブリンの前蹴りを喰らってしまった。

すかさず回復支援を発動した。

そして、またホブゴブリンの懐に飛び込んで剣を突き刺した。


途中でゴブリン達も攻撃してくるが無視して攻撃を受けた。

その度に回復支援を発動させた。

痛いのは一瞬なんだが痛いものは痛い。


ホブゴブリンとの殴りあいのような戦闘が30分ほど続いたがついにホブゴブリンの片膝が地面に着いた。


「よし、俺の勝ちだー!」


ザシュ、という音と共にホブゴブリンの首を斬り落とした。


『ギャギャ!』

『ギャッギャー!』


ゴブリン達がまるで、ヤバい、逃げるぞ、と言っているようだが逃がさない!


「逃がすか! さっきから好き勝手に殴りやがって!」


逃げようとしているゴブリン達を背後から斬り倒していった。

それでも半分以上のゴブリンには逃げられてしまった。


ゴブリン達が完全にいなくなったことを確認して地面に腰を降ろして木にもたれ掛かった。


「ふぅ、なんとかなったか・・・やっぱりソロは厳しいよなぁ・・・」


最初から分かっていたことではあるがソロではどうやっても限界がある。

むしろ、スキルと加護が無かったら確実に死んでいたよな。


「そうなるとパーティーを組むしか無いんだよなぁ・・・」


しかし、【紅蓮の刃】から解雇にされたことがどうしても頭をよぎる。

あんな惨めな思いは二度としたくない。


とりあえず休憩は終わりにしてホブゴブリンとゴブリン達の魔石とドロップアイテムを回収して町に戻ることにした。


本日の成果は、


ホブゴブリン x1

ゴブリン x23


だった。

ソロであることを考慮するとそれなりの成果だろう。


町に戻りギルドに向かった。

ギルドの中に入り受付カウンターに行く。


「ルイーザさん、換金をお願いします」


『あ、はい。レックスさん、分かり・・・って、なんでボロボロなんですか?』


身体の怪我は回復支援で治すことは出来るが防具やズボンは回復出来ない。


ホブゴブリンに何度もぶっ飛ばされ、ゴブリン達からも何度も攻撃を喰らったので防具やズボンがボロボロになってしまったのだ。


そして、この時点で大事なことが分かった。

毎回、防具をボロボロにされていたら、いくら金を稼いでも足りなくなるんじゃないのか。


「あ、いや、ちょっとホブゴブリンとやり合ったんですけど、こうなっちゃいました・・・」


『はい? それってどういうことですか? レックスさん?』


ルイーザさんは声が裏返っていた。

しかもちょっと目付きが怖いな・・・


『ちゃんと正直に話してくれますよね? レックスさん?』


笑顔なんだけど目が笑っていないルイーザさんに迫られて全てを話した。

ここで誤魔化しても後でバレたら危険だ。


ただし神様の加護だけは伏せておいた。


◇◆◇◆


『なるほど、そうだったんですね。分かりましたが、それで今後もソロで活動するつもりですか?』


「このまま、ソロでいるのは難しいことは分かっているんですけどね・・・パーティーに加入するのは・・・」


裏切らない仲間が欲しいんだけどな。

こればかりは難しいよな。


ルイーザさんも一緒に考えてくれていた。

そしてルイーザさんからある提案が出た。


『レックスさん、奴隷を仲間にしたらどうですか? 実際に奴隷を仲間にしている冒険者はそれなりにいますし』


ルイーザさんの提案は戦闘奴隷を購入して仲間にしたらどうかというものだった。


元日本人である俺としては奴隷制度に関しては素直に賛成していないがそこまで嫌悪するまででも無い。

それに現状を考えるとそこまで悪い提案では無いだろう。


奴隷なら裏切られることは無い。

これだけで選択肢として十分だ。


『もしレックスさんが奴隷購入を考えるならギルドからの紹介状を作成しますよ?』


ルイーザさん曰く、ギルドからの紹介状を見せれば多少は値段の交渉も出来るらしい。


奴隷を買うかどうかは実際に奴隷を見てから決めれば良いしな。

ならば奴隷を見てみても損はしないよな。


「分かりました。紹介状を作ってもらっても良いですか?」


『はい、分かりました。換金の査定と一緒にやりますので少し待っててくださいね』


換金が終わるまで他のパーティーを見てみたが確かに奴隷を仲間に入れているパーティーは存在してした。

数はかなり少ないけど。


『レックスさん、査定が終わりましたよ。報酬は銀貨8枚、銅貨7枚になります。あと、これが紹介状になります』


「はい、ありがとうございます」


『良い奴隷が見つかるといいですね』


ルイーザさんの中では俺が奴隷を購入するのは決定事項なのかな?

まだ購入するとは決めていないんだけどなぁ。


とりあえず、ルイーザさんに奴隷商の場所に聞いたので向かってみることにした。

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