0047:遺跡調査依頼 その1
ギルドの通常依頼を達成した翌日だ。
昨日の宣言通り、今日は休暇だ。
朝食後、ブラブラと都市の中を探索している。
商業都市だけあって色んな商店があった。
『色んな店がありますね、ご主人様』
『店が多過ぎてかえって分からないね』
『そうなのじゃ、むしろ屋台で十分なのじゃ』
『それよりも何を買いに来たの?』
特に買いたい物があるわけじゃない。
本当にブラブラとしているだけだ。
ただ、確かに色んな店がありすぎて良く分からないな。
そんな中で1つの店を見つけた。
スイーツの店だった。
「ちょっと、あそこの店で休憩していこうか」
アイラ達にはスイーツの店がどんなに店なのか分からなかったようだ。
店の中に入ると甘い匂いが店中に充満していた。
『凄い甘い匂いがしますね、旦那様』
真っ先に反応したのが唯一料理が出来るサーシャだった。
席に着くとテーブルの上にメニューがあった。
メニューを確認するとプリンやパフェ等のデザートがあった。
とりあえず見慣れたメニューを注文してみた。
そして出てきたデザートにビックリした。
前世で何度も食べたことがあるプリンやパフェだった。
ひょっとしたら俺と同じように転生した人が他にもいるのかも知れないな。
まずは出されたデザートを食べてみた。
『お、美味しい!!』
『甘いね、口の中がとろける感じだね』
『これは旨いのじゃ』
『本当に美味しいわね』
アイラ達に好評だった。
ただ困ったことに何杯もおかわりをしている。
「そ、そろそろ終わりにしないか?」
『『う~ん、次でお仕舞いね』』
まだ食べるのか・・・
1人当たり5杯も食べてるのに・・・
ということで6杯目が出てきた。
そして6杯目もペロリと食べてしまった。
デザートは本当に別腹のようだった。
お会計はきっちり銀貨2枚だった。
銀貨2枚は今なら対して金額では無いが。
「サーシャ、そういえば会計しているときに店員に何か聞いていたよね?」
『へへへぇ、実はプリンやパフェの作り方を聞いていたんだよね。道具と材料を買って帰れば似たようなものは作れると思うよ』
『ご主人様、あそこに雑貨屋がありますよ』
『マスター、買って帰るのじゃ』
『サーシャ、どんな道具が必要なの?』
サーシャが必要な道具と材料を皆に伝えた。
アイラ達にお金を渡すと皆が一斉に散った。
俺だけポツンと置いていかれた・・・
1人で待っているとアイラ達が1時間程で戻ってきた。
とりあえず、お目当ての物は買えたようだ。
「じゃあ、キャンプ場に帰るとするか」
『『はい!!』』
皆、いい笑顔だった。
キャンプ場に到着すると俺は風呂の準備をするが皆はデザート作成をするようだ。
風呂の準備が終わったらデザート作成に合流するか。
「よし、風呂の準備は終わったな」
早速、キッチンのほうへ向かってみると丁度プリンを作っている最中だった。
『あ、旦那様。プリンの上にかかっていた甘い蜜の作り方が分からなくて・・・』
多分カラメルソースのことを言っているんだろうな。
「じゃあ、それは俺がやるよ」
小鍋に砂糖と水を入れて中火で薄くカラメル色になるまで鍋を傾けながら焦がした。
『え、何でレックスが知ってるの?』
前世の記憶で何となく覚えていたとは言えないのでサーシャと店員の話を聞いていたことにした。
小さい器にカラメルを入れ、そこにプリン液を注いだ。
そして蒸し器でプリンを入れた器を蒸した。
「あとは美味しく食べるために冷蔵庫に入れて置くか」
冷蔵庫はこのハウステントに装備されていたものだ。
冷蔵庫の中には飲み物しか入れていない。
肉などはマジックバッグの中だ。
『じゃあ、夕食の準備をしますね』
おそらく夕食を食べて風呂に入った後には美味しく冷えたプリンが食べられるだろう。
30分程で夕食の準備が完了した。
しかしアイラ達は夕食をちゃんと食べられるのかと心配したが心配は無用だった。
やはりデザートは別腹のようだ。
「それじゃあ、風呂に入るか」
当然、全員で風呂に入る。
最近はシェリーも裸になるのは慣れてきたようだ。
布で全員の身体を拭くのが俺の大事な仕事だ。
胸も大事な場所も細かく優しく拭いた。
「やっぱり、石鹸が欲しいよな」
シェリーの身体を拭いているときに言ってみた。
『石鹸ですか、ご主人様。石鹸は貴族や一部の金持ちしか使えないらしいですよ』
『ちょっ、ちょっと・・・レックス・・・』
石鹸は量産するのが難しいとは思わないんだがな。
『レックス・・・あまり、そこ・・・ばっかり洗わないで・・・』
「あ、ごめん。ちょっと考え事してた」
風呂から上がって冷えたプリンを冷蔵庫から取り出した。
早速、一口食べてみると美味しい。
どうやら上手く出来たようだ。
『甘くて、冷えてて美味しいです』
『我ながら良く出来たな』
『凄く美味しいのじゃ』
『お風呂で温まった身体にぴったりね』
アイラ達にも好評のようだ。
次はパフェを作るのかな。
とりあえず、プリンを堪能したところで就寝となった。
もちろんイチャイチャしながらだ。
◇◆◇◆
今日は早めにギルドへ向かった。
この商業都市には冒険者が多いので早めに行かないと良い依頼が無くなるからだ。
「出来るだけ条件の良い依頼を受けたいからね」
『ご主人様、今日はどんな依頼を受けるつもりですか?』
受けるなら余計なことを考えないで済む討伐系依頼が良いとは思っている。
「やっぱり、気楽にやれる討伐系かなぁ」
ギルドに到着し依頼ボードに目をやった。
やはり早朝のためか冒険者の数は少ない。
なのでゆっくりと依頼書を見られる。
依頼ボードには多くの討伐系依頼があった。
討伐系依頼の中に1つ変わった依頼があった。
・遺跡内部のモンスター討伐隊
遺跡という言葉には興味が湧くが遺跡にどんなモンスターがいるのかさっぱりと分からない。
とりあえず、受付嬢に聞いてみるしか無いな。
カウンターに向かって受付嬢に聞いてみた。
「あの遺跡内部のモンスターを倒す依頼なんですが受けられますか?」
『あぁ、あの依頼ですか。あれは止めておいたほうがいいですよ』
「え? 依頼ボードに張ってあるのに?」
『えぇ、あの依頼書は貴族からの要望だから依頼ボードに張ってるけどね』
受付嬢の説明によると遺跡はある貴族の持ち物らしいが突然モンスターが住み着くようになってしまい遺跡の調査が出来なくなって困っているとのことだ。
なので遺跡に住み着いたモンスターの討伐と遺跡の調査が依頼となるようだ。
そして大事なのは複数のパーティーで調査を行うということだ。
「なるほどね。それで確認したいことがあるんですけど」
『遺跡で発見した宝物のことよね?』
そう、もし遺跡で宝物を発見した場合の取り扱いだ。
『遺跡で発見した宝物に関しては貴族と応相談になっていますよ。少なくとも無条件で貴族の物となっていないです』
微妙な言い方だな・・・
無理やり没収とはならないが小銭だけ渡されてお仕舞いという可能性もあるのか。
どうしようかと悩んでいるとサーシャが一言。
『旦那様、宝物を見つけても正直に報告する必要があるんですか?』
え、それって猫ババするって言っているよね?
それはさすがに不味いんじゃないのか?
そう思っていると受付嬢も一言。
『あまり、私の前でそう言う話をされると困りますが馬鹿正直に報告する人はいませんよね』
受付嬢までとんでもない事を言い出した。
こう言われると更に悩んでしまうな。
『ご主人様。とりあえず、依頼を受けてみて結果次第で検討すれば良いかと。宝物が見つかるかどうかも分からないですし』
確かにアイラの言う通りだよな。
宝物を見つかるかどうかも分からない訳だし。
これじゃあ、とらぬ狸の皮算用だよな。
「分かりました。この依頼を受けます」
依頼を受注して受付嬢から遺跡の場所を聞いた。
教えてもらった遺跡は商業都市からそれほど離れていなかった。
『では、明日の朝に再度ギルドに来て下さい。御一緒するパーティーを紹介しますので』
明日、またギルドに来ることになった。