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0043:指名依頼受注


劇団盗賊達から奪い取った馬車で次の町に向かっている。

劇団の人達は馬車に積んであったロープで全員が手首を縛られている。

本当は俺達を縛るためのものだったはずだが丁度良かった。


ちなみに次の町に向かう前に盗賊のアジトに行ってみたが金目の物は何も無かった。

つまりは貧乏劇団だったのだ。


翌日の朝に次の町に到着した。

門のところまで行くと門番に呼び止められてしまった。

まぁ盗賊を引き連れていれば当然だろう。


盗賊を捕まえたのでギルドに引き取ってもらおうしていることを門番に伝えた。


『すまないが、まずは身分証明書を提示してくれないか?』


俺達のギルドガードを門番に手渡すと俺達の確認はすぐに終わった。


『そっちのロープに繋がれている連中が盗賊達だな?』


そうだと答えると門番の1人が俺達に付いてきた。

どうやら、ギルドまで一緒に行くそうだ。

町の中で盗賊が逃げられると困るからだ。


それはそうなんだが、もし盗賊が逃げ出した場合は門番1人では何ともならない気がするが。


・・・まぁ、突っ込むのは止めておこう。


門番に案内されてギルドに到着した。

盗賊共が逃げ出さないようにアイラ達に見張ってもらい、門番と一緒にギルドの中に入った。


『アネッサ、お客さんだぞ!』


門番が受付譲を呼び出した。

するとカウンター奥からアネッサと呼ばれた女性が出てきた。

中々貫禄のある中年の女性だった。


『あら、マッコイじゃないの? 一体どうしたのよ?』


『こちらの冒険者達は盗賊を捕まえて来たらしいからギルドまで案内してきただけだ。あとは頼むぞ』


マッコイと呼ばれた門番はギルドを出ていった。

門番の仕事に戻ったのだろう。


『お兄さん、それで捕まえた盗賊はどこにいるのかしら?』


「あ、あぁ、盗賊共は外にいるよ」


アネッサと一緒にギルドの外に出た。

アネッサが『ふ~んっ』と言いながら盗賊達を見定めていた。


『銀貨3枚ってところかしら。それでいい?』


まぁ俺としてはタダでも引き取ってくれるなら有り難いので問題は無い。

商談は即決で決まった。


ギルドの職員達が盗賊達をどこかに引き連れて行った。

大方、奴隷商のところだと思うが。


ギルドの受付カウンターで銀貨3枚を受け取ったところでアネッサから話し掛けてきた。


『ねぇ、あなた達、そこそこに腕が立ちそうね。1つ依頼を受けてみない?』


アネッサから急な提案だった。


「なんか急な話ですね。それって話を聞いてから決めても良いですかね?」


『ふふふ、もちろんよ。依頼内容を聞いてから決めて頂戴』


そう言われると依頼内容を聞くしかない。

するとアネッサが地図を取り出してカウンターの上で広げた。


『ここに山があるんだけど昔の鉱山なんだけど、実はこの旧鉱山にハーピーが住み着いちゃったのよ。それだけならいいんだけど、このハーピーが近辺の村の家畜を襲い始めたのよ』


「そのハーピーを退治してこいと?」


『そう、その通りよ。お願い出来るかしら?』


ハーピーは今まであったことが無いモンスターだな。

しかも空を飛ぶモンスターか。


「何で俺達に頼むんです? この町にも冒険者はいるでしょう?」


『確かに他に冒険者はそれなりにいるけどね。ただ、ハーピー退治に適していないのよ。遠距離の敵を倒せるような冒険者は少ないのよ』


そう言われると確かに遠距離攻撃が出来る冒険者は少ないな。

うちにはサーシャとシェリーの2人がいるが、普通のパーティーだと遠距離担当がいないことすらある。


「ちなみにそれって指名依頼になるのかな?」


『えぇ、それで構わないわよ。依頼を受けてくれるなら問題は無いわ』


指名依頼となると報酬は上がるし、ギルドへの貢献度も上がる。

ギルドのランクを上げるつもりなら指名依頼をこなしたほうがいいはず。


「あと、ハーピーってどれくらいの強さなのか聞いてもいい?」


『ハーピーは単体ではランクEモンスターなんだけど、必ず群れているから実質はランクDモンスターだと思って良いわね』


空を飛ぶモンスターが相手となると主力はサーシャとシェリーになる。

2人とも魔力を使う攻撃がメインだが俺の魔力支援と無限魔力がある。

なので依頼を受けても問題は無さそうだ。


「分かりました。その指名依頼を受けます」


まだハーピーを見たことが無かったので1度は見てみたいという好奇心から依頼を受けることにした。


『ありがとう、助かるわ。ところで旧鉱山までは外に停めてある馬車で行くのかしら?』


仮に旧鉱山近くまで馬車で行っても俺達が旧鉱山に行っている間に馬がハーピーを襲われる可能性があるな。


「いや、歩きで旧鉱山まで行ってくるよ。戻って来るまでの間、馬車を預かってもらえますか?」


『えぇ、もちろんよ。でも1ヶ月経っても取りに戻らなければ売却しちゃうからね』


1ヶ月も戻らなければ死んだ扱いは仕方が無いよな。

今日はこの町で一泊して明日の朝早くに旧鉱山へ向かうことにした。


今更だけどアネッサに聞いてみた。


「この町の名前ってなに?」


『・・・アズリーよ・・・』


明らかにアネッサは呆れていた。

たまたま寄った町なんだから知らなくて当然だと思うんだけどな。


とりあえず、馬車をギルドに預けてキャンプ場に向かった。

この町まで夜通しだったので眠い。

キャンプ場に到着するとすぐにハウステントを設置して風呂と食事の準備をした。


食事も風呂も満喫し寝室にベッドを設置した。

久しぶりにベッドで寝られる。

徹夜明けのため全員がすぐに眠ってしまった。


◇◆◇◆


翌朝、旧鉱山へ向かっている。

アネッサの言う通りなら普通に歩いて5時間くらいの距離だが強化支援を使っている。

なので2~3時間くらいで到着する予定だ。


アズリーから旧鉱山までの道は現在ほとんど使われていないらしくデコボコしていた。

少し歩きにくいがさほど問題にはならない。


暫くすると旧鉱山が見えてきた。

山としても標高は高くはない。

そして山の上を見ると巨大鳥のようなものが数匹飛んでいた。


「あれがハーピーかな?」


少し離れているためハッキリとした姿は見えないが人の姿に腕の部分が翼になっていた。

ただし男なのか女なのかまでは不明だ。


『ご主人様、ここから先はハーピーに見つから無いように森の中を進みましょう』


アイラの言う通り森の中を進むことにした。

森の中なら森の葉が俺達を隠してくれる。


森の中を進んでいるが特にモンスターが現れることは無かった。

地上にいるモンスターもハーピーを警戒しているのかも知れない。


森の中に入って30分程して旧鉱山の麓に辿り着いた。

山を見上げてみると中腹辺りに鉱山が入口が見える。

ついでに見張りなのか3匹のハーピーもいた。


「鉱山の中にハーピーの巣があるんだよね? 中にいるハーピーにバレないで見張りを倒せるかな?」


『ちょっと難しいと思いますよ、旦那様』


やっぱりそうだよな。


「そうなると夜を待って夜襲になるのかな」


ハーピーの巣がある旧鉱山の近くではハウステントは目立つから寝袋だけだな。


『ご主人様、少し離れて仮眠を取ることにしましょうか』


「分かった。そうしようか」


アイラが仮眠するのに良さそうな場所を見つけた。


『ここなら鉱山の入口からは見えないはずですよ』


座るとちょうど姿が隠れるくらいの大きさの岩があった。

ここならハーピーに見つかることはなさそうだった。


「よし、ここで交代しながら仮眠を取ることにしようか」


食事はアズリーの屋台で買った串肉となった。

食事が終わった後は交代しながら仮眠をとることになった。


・・・

・・・


『・・・ス、・・・クス、・・・レックス、起きて頂戴。そろそろ時間よ』


シェリーに起こされて目が覚めた。

すっかりと暗くなっていた。

確かに夜襲には良い時間になっていた。


「それじゃあ、ハーピー狩りに行くか」

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