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0042:劇団盗賊団


メサリアの町で準備が完了した翌日だ。

俺達は朝から街道を歩いていた。

とりあえず東に向かっていた。


『レックスの強化支援って反則よね。朝からずっと歩いているのに全然疲れないわね』


シェリーが何をもって反則と言っているのか不明だ。

至って普通の支援魔法だと思うんだけどな。

反則なのは無限魔力のほうだと思う。


「しかし、相変わらずゴブリンやコボルトが襲ってくるな」


『まぁ小遣い稼ぎだと思えば良いんじゃないですか、ご主人様』


アイラの言う通り、小遣い稼ぎにはなる。

それでも数が多いと面倒なのは間違い無い。

それとレベルアップ観点で見ればゴブリンやコボルト以外のモンスターが出て来て欲しい。


『オークとかになると街道には滅多に現れないしね。なんで仕方が無いわよ、レックス』


そんな話をしているとアイラから


『ご主人様、オークの声が聞こえてきます』


どうやらフラグを立ててしまったようだ。


『こちらに向かって来ていますね』


オークは嗅覚が優れている。

なので俺達の匂いを嗅ぎ取っているのだろう。

次第にオークの鳴き声も聞こえてきた。


『ブギィィィ』

『ブヒィィィ』


「アイラ、こっちにやって来るオークの数は分かるか?」


『おそらくですが、5~6匹くらいかと思います、ご主人様』


『え、そんなことも分かるの? 凄すぎ・・・』


まだ姿が見えないオークの数を予想したアイラにシェリーが驚いている。

まぁ、みんなが1度は驚くんだけどな。


数分後、アイラの言った通りオークが5匹現れた。


『本当にオークが5匹現れたわね・・・』


シェリーはアイラの凄さに感心しているようだった。


「攻撃支援、防御支援、回避支援、強化支援、発動。サーシャ、シェリーは先制攻撃!」


『了解、旦那様!』

『分かったわ、レックス』


サーシャの魔弓とシェリーの範囲魔法を使ったファイアボールがオーク目掛けて放たれた。


シェリーのファイアボールが地面に着弾した瞬間、直径5~6mくらいが炎に包まれた。

そこにサーシャの魔弓がオークを貫いた。


意外とこの2人のコンビネーションは当たりかも知れない。


こちらの先制攻撃にオーク達は右往左往し始めた。

そこにジーナが大盾で突撃を行い、その直後には俺とアイラがオーク達を斬り裂いていった。


数分足らずの戦闘だった。


『・・・ねぇ? レックス達のレベルってサバを読んでない? 本当はもっとレベルが高いんじゃないの?』


シェリーが意味不明なことを言い出した。

サバを読むって普通は数字を大きく見せることだろう?

あえてレベルの数字を低く見せる必要は無いだろうし。


あえて言うと支援の効果はあるのかも知れない。

ただ数値的にどれくらいの効果があるのか分からないが。


とりあえず、オークの魔石とドロップアイテムであるオーク肉をマジックバッグにしまった。

貴重な収入源だから取りこぼしは許されない。


その後も何度かオークが襲ってきた。

オークとの戦闘は数分で終わるのだが、戦闘前の準備と戦闘後の回収作業でそれなりに時間が掛かってしまった。


そのため、本日は野営となってしまった。


まずは野営に適した場所を探さないといけない。


『ご主人様、あそこはどうですか?』


アイラが見つけた場所は街道沿いにある原っぱだった。

確かに周囲を見回すのに適していた。


「よし、ここにしようか」


マジックバッグからハウステントを取り出そうとしたところでアイラが何かを察知した。


『ご主人様、何かこちらにやって来ます』


俺達が歩いて来たほうから砂煙が立ち上っている。

馬車のようだが、かなりのスピードを出していた。

どうやら何かから逃げているようだ。


『ご主人様、どうやら盗賊から逃げているようですね。助けますか?』


「そうだね、助けるか」


街道に出て馬車の御者に声をかけた。


「こっちだ! 馬車の速度を少し緩めろ!」


俺達の近くで馬車が横転されても困る。

それに馬車が遠くに行ってしまうと盗賊が俺達を迂回する可能性もある。


馬車が俺達の近くに寄ってきたところでスピードを落とした。

すると馬車を追ってきていた盗賊が突然、踵を返して戻っていってしまった。


『え、なんで? 旦那様、帰っちゃったよ?』


『盗賊達にも私達の強さが分かったのかしら? どう思う? レックス』


どうなんだろうな。

本当にシェリーの言う通りなのか?

何か違和感だけが残るな。


すると馬車から男達が降りてきた。

全部で中年男が3人だ。

その中の1人が俺達に礼を言ってきた。


『盗賊共から助けて頂き、本当にありがとうございました。おかげで命拾いしました』


「あ、いや、盗賊達が勝手に逃げたので俺達は何もしていないですよ」


『いやいや、きっと盗賊共はあなた達が手強いと見たから逃げたのでしょうな』


その後も男達は俺達を持ち上げるような話をしてきた。


『ところで我々はメサリアの町に向かっているのですが、ご覧の通り、既に夜になってしまいました。宜しければ、ご一緒に野営させて頂けないでしょうか? あなた方のような強い人達が一緒なら安心ですので』


「分かりました。俺達はすぐそこで野営するつもりだったので一緒にどうですか?」


アイラが小声で俺に話し掛けてきた。


『ご主人様、本当に宜しいのですか?』


「あぁ、大丈夫だよ」


元々野営するつもりの場所にハウステントを広げた。

見た目は普通のテントなので男達も気にしていないようだった。


テントの準備が終わったところで男達のうちの1人が話し掛けてきた。


『ご一緒に野営させて頂けるお礼として見張りは我々が引き受けますので、ゆっくりと休んで下さい』


ハウステントの中に入ると皆がこぞって言ってきた。


『旦那様。あいつら、明らかに胡散臭いんだけど・・・』

『妾もそう思うのじゃ。あれは盗賊の仲間じゃないのか?』

『レックス、私も皆の意見に賛成よ。』


さすがに皆も胡散臭いと思ったようだ。


「俺もそう思うよ。多分、俺達が寝た頃に逃げた連中と合流して襲ってくると思うよ」


あいつらが俺達を上手く騙せたと思っているなら必ず襲ってくるはずだ。

なので襲ってきたら返り討ちにするつもりだ。

ということでハウステントの中で見張りをすることにした。


ハウステントの中で静かに待っているとアイラが遠くから近付いてくる人の気配を感じ取ったようだ。


『ご主人様、この場所に近付いてくる気配があります。数は7人かと思います。』


馬車にいる3人と合わせると10人か。

あまり強そうには見えなかったので油断しなければ大丈夫そうだ。


一応、まだ馬車の3人が盗賊じゃない可能性もあるので息を殺してじっと待った。


『ご主人様、7人が馬車のところに到着したようですが特に騒ぎにはなっていません』


これで馬車の男達も盗賊の仲間であることが確定したかな。


「攻撃支援、防御支援、回避支援、強化支援、発動」


小声で支援魔法を発動した。


『ご主人様、テントから出るなら今です!』


アイラの合図に合わせてテントから飛び出した。

すると盗賊達は驚いた様子を見せた。


『お、おい、こいつら起きてるじゃねぇか』

『ちっ、予定が外れたが女ばかりだ。やっちまうぞ!』

『あぉ、そうだな、余裕だな!』


俺達がまだ起きていたことに驚いた様子を見せていたが、俺以外は女だけということもあってすぐに落ち着きを取り戻したようだ。


残念ながら、うちは女性陣のほうが強いのだよ・・・なんか、悲しくなってくるな。


盗賊共の中から1人の男が出てきた。


『おい、小僧! 命が惜しければ・・・って、ぐぁ・・・』


男が全部を喋る前にジーナが大盾で男を吹き飛ばした。


『て、てめぇら! 何をしやがる!』

『命が惜しく無いらしいな!』

『不意討ちは卑怯だろうが!』


盗賊共がピーチクパーチクと吠えているが無視だ。

シェリーがファイアボールを放てば、サーシャも魔弓を放った。


『うおぉぉぉ、あ、あっちぃぃ・・・』

『い、いってぇ・・・』


魔弓はまだしもだが、ファイアボールは酷いな。

一応、サーシャもシェリーも威力は抑えているようだった。


そして俺とアイラとジーナで盗賊共を囲んだ。

最初の攻撃で盗賊共の戦意は無くなったようだ。


『こ、降参だ。命だけは助けてくれ・・・』


あっさりと降参してきた。

まぁ下手な芝居で俺達を襲おうとしてくるくらいだからな。


とりあえず回復魔法である程度の回復してやった。

回復魔法を取得しておいて良かった。


『くそっ、上手く騙せたと思ったのに・・・』


マジか、あの演技で騙される奴はいないと思うんだけどな。

どう見ても大根役者しか揃っていない・・・

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