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0004:ソロで活動開始


ギルドに行き本日の成果を換金してもらったところ残念なことが判明した。


『レックスさん、査定が終わりました。全部で銀貨2枚、銅貨3枚になります』


「え? 銀貨ですか? そんなにもらえるんですか?」


『はい? どういうことでしょうか? レックスさんが前のパーティーに所属していた時にはもっと沢山もらっていたかと・・・』


ルイーザさんが何を言っているんですか? と言わんばかりに聞き返してきた。


【紅蓮の刃】に所属していた時は本日くらいの成果なら俺の取り分はせいぜい銅貨2枚~3枚だったことをルイーザさんに話した。


『そんな・・・それは多分ですが、レックスさんの取り分が減らされていたということかと思いますよ・・・正直、分かりませんが』


なるほどね、だからグレン達は少し立派な宿屋に宿泊できていたのか。


ちなみに俺はずっとルイーザさんがお勧めしてくれた安い宿屋に宿泊していた。

値段の割には融通が利いて食事の量もそこそこにある冒険初心者に優しい宿屋だ。


「そうだったんですね。今思うとなんとなく分かりますね」


確かに魔石やドロップアイテムの換金をさせてもらったことは一度も無かったな。

一度でも換金していれば報酬の分配で俺の取り分が少ないことが分かったはずだ。


「まぁ、今さらなんでいいです。忘れることにしますよ」


2年分なのでかなりの金額を損したはずなんだが不思議とどうでもよいことに思えた。

そんなことよりもこれからの事のほうが遥かに大事だ。


『ふぅ、分かりました。レックスさん本人がそう言うなら今回は黙っていることにしますね』


「ありがとうございます、ルイーザさん」


『レックスさんは本当に人が良いんですから・・・』


ルイーザさんは少し呆れた様子だったが本当にどうでも良いことだ。

依頼達成の報酬を受け取り、ギルドを出ようとしたところルイーザさんから聞かれた。


『レックスさんは本当にこれからもソロでやっていく気ですか? パーティーを組む気は無いんですか?』


ルイーザさんの心配は分かる。

冒険は本当に危険なので普通ならパーティーを組むのだ。


ただ、俺は当面の間はパーティーを組む気にはなれないな。

またパーティーから解雇されるかもと思ってしまうとな。

あんな惨めな思いは二度としたくない。


「そうですね。暫くはソロで頑張ってみるつもりですよ」


『そうですか・・・もしソロで厳しいと思ったらいつでも相談して下さいね。少しはお力になれると思いますよ』


ルイーザさんがニッコリと微笑んでくれた。

この笑顔には凄く癒されるな。

巨乳の美人さんはそれだけで正義だよな。


「はい、ありがとうございます」


ギルドをあとにして昼食がてら町をふらつくことにした。

町の大通りには屋台がたくさん並んでいた。


もちろん、ちゃんとした店もあるが庶民には屋台のほうが人気がある。

なんといっても値段が安いからだ。


屋台のほうから肉を焼いている旨そうな匂いが漂ってきた。

昼食は屋台の串肉にしようか。


「おっちゃん、串肉を3つくれる?」


『おぅ、毎度あり。3つで鉄貨3枚だ』


串肉1本で日本円あたり100円程度だ。

代金を支払い串肉を受け取った。


大通りには腰を掛けるのに丁度いい花壇があちこちにある。

普通の町には大抵あるらしい。

俺は故郷の村とこの町しか知らないが。


花壇に腰を下ろして早速串肉を食べることにした。


「う~ん、旨いな。相変わらず何の肉なのか分からないのが何とも言えないけど」


串肉を食べながら、ぼーっと大通りを眺めていると1台の馬車が通った。

その馬車の荷台には巨大な檻が載せられており、その檻の中には数人の姿が見えた。


「あれは奴隷か・・・」


この世界には普通に奴隷制度がある。

奴隷には犯罪奴隷、借金奴隷等がいるらしいが詳しくは分からない。


奴隷を乗せた馬車がゆっくりと目の前を通り過ぎた。

その際に檻の中に1人の大きな耳を持った獣人の女性がいた。

全身が汚れており特に目を引く感じでは無かったが何故か気になってしまった。


馬車が目の前を通り過ぎた後も馬車の後ろを暫く眺めていた。

なんであの獣人の女性がこんなに気になったんだろうな。


よくよく考えてみるとこの世界に獣人がいることは知っているがあまり見ることはなかった。

この町にも獣人はいるが数は少なかった。

少なくても俺が生まれ育った村には獣人はいなかったな。


「珍しいから気になったんだろうな」


その後は特に用事は無かったが町の中を色々と見て回ってみた。

この町で暮らして2年になるがこの町のことをほとんど知らなかったことに改めて驚いた。


「さてと、明日もゴブリン狩りをしないといけないから早く帰って寝るとしようかな」


◇◆◇◆


翌日も朝からゴブリン退治の依頼をこなしていた。

ゴブリンの倒し方が少しだけ分かったような気がする。

ゴブリンは決して強くは無いが統率が取れている。


ゴブリンの群れには必ずリーダーがいるのだ。

そのリーダーを最初に倒すと他のゴブリン達は暫くの間、狼狽するのだ。

その隙を付くことで簡単にゴブリンが倒すことが出来た。


ゴブリンを30匹倒した時点で俺のレベルが上がった。


名前:レックス

種族:ヒューマン

年齢:17

レベル:4

ランク:F

ジョブ:支援術士

ジョブスキル:

【攻撃支援】【防御支援】【回復支援】

加護:

【経験値2倍】【無詠唱】

【ジョブスキル全体化】【無限魔力】



「すげぇ、もうレベルが4になったのか。【経験値2倍】は伊達じゃないな」


普通、レベル3からレベル4にあがるためにはゴブリンを100匹近くは倒さないといけないはずだ。


昨日と今日でゴブリンを合計45匹倒したので90匹分になったわけだ。


「この調子でいけばレベル5に上がるのも時間はあまり掛からないかな」


ちなみにレベル5になるためにはゴブリンなら500匹を倒す必要があると言われている。

あくまでも目安なんだけど。


本日は無理をしないで町に戻ることにした。


ゴブリンの魔石やドロップアイテムを回収しているときに新たな問題が発生したことに気が付いた。


ゴブリンの魔石やドロップアイテムも数があると意外に重いのだ。


「こうなるとマジックバッグが欲しいな」


マジックバッグとは袋の中の空間が拡張されており大量のアイテムが格納できるマジックアイテムである。

しかしマジックアイテムなだけあって非常に高価であった。


とりあえず町に到着すると真っ先にギルドに向かった。


『あら、お帰りなさい。レックスさん。換金ですか?』


ルイーザさんの笑顔はいつ見ても素敵だよな。


「はい、換金をお願いします」


俺は背負っていたリュックサックを降ろして中からゴブリンの魔石やドロップアイテムを取り出した。


『あら~、今日も大量ですね。では査定をしてきますので少しお待ち下さいね』


ルイーザさんはギルド専用のマジックバッグに魔石とドロップアイテムを突っ込んでカウンターの奥に行った。


少しすると査定を終えたルイーザさんが戻ってきた。


『レックスさん。査定が完了しましたよ。全部で銀貨4枚、銅貨7枚になりますね』


ソロになって着実に貯金が出来ている。

パーティーを解雇された時はどうなるかと心配したがなんとかなりそうだ。


「ありがとうございます、ルイーザさん。明日も依頼を受けに来ます」


『はい、お待ちしてますね、レックスさん。でも無理をしては駄目ですからね』


ルイーザさんはまるで出来の悪い弟に言うように話してくる。


「はい、分かってますって」


ギルドを出ると既に夕方になっていた。

そろそろ1日の仕事が終わり家に帰る者や飲みに繰り出す者が出てくる。


俺には一緒に飲みに行くような友人はいない。

まぁギルドで会話する程度の顔見知りくらいならいるが。


「早く帰って夕食を食べるか・・・」


自分でも寂しい奴だと思うがどうしようも無いな。

今は友人を作るよりもレベル上げに集中することにしよう。


宿屋に帰ると女将さんが出迎えてくれた。


『お帰り、レックスさん。今日もちゃんと冒険者をしてきたのかい?』


「あぁ、もちろんだよ。今日はゴブリンを30匹倒してきたよ」


『へぇ? ゴブリンを30匹もかい? 無理して無いだろうね?』


「もちろんだよ。それよりも今日の夕食はどんな料理? 腹が減ったよ」


『今日はオーク肉と野菜のシチューだよ』


オーク肉はオークのドロップアイテムでオークを倒すとほぼ100%の確率でドロップするらしい。


しかもオーク肉は意外と旨いのだ。

俺の好物でもある。


「おぉ、やったー! 女将さん、ありがとう!」


『ははは、温かいうちに食べちゃいな』


この宿屋のアットホームな雰囲気が気に入っている。


外見はかなりボロい宿屋なんだけどな。

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― 新着の感想 ―
[一言] 前作は名前覚えられないくらいヒロイン増えすぎたか今作はどうなるか せめて片手くらいです収まって欲しいわ
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