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0038:人狩り集団探索


【人狩り討伐依頼】の依頼書を見てサーシャが反応した。


『旦那様。この依頼を受けましょう! 人狩りなんてグズ達は生かしておく必要は無いですよ! 皆殺しで十分です!』


そういえばサーシャは人狩りに拐われたんだっけ。

だから人狩りの存在が許せないのかも知れない。


『ご主人様、私もサーシャと同じ気持ちです。人狩り集団は野放しには出来ません!』


サーシャに続けてアイラも熱くなっていた。


「アイラもサーシャも、気持ちは分かるけど落ち着けって。ちゃんと依頼の内容を聞いてからだよ」


そもそも人狩りの集団の規模も分からないし、前に依頼を受けた冒険者達が戻って来ていないのであれば慎重に行動するべきだろう。


「すみません、俺達の前に依頼を受けた冒険者達の数とかランクって教えてもらっても良いですか?」


もし高ランクパーティーが失敗しているなら俺達ではそもそも無理な依頼になるはずだ。


『・・・そうですね、冒険者達のパーティー名は教えられません。ですが、そのパーティーはランクEパーティーで人数は4人ですよ』


パーティー名は教えられないのは、もし依頼が達成出来ていなかったらそのパーティーの不名誉な噂が広がってしまう可能性があるからか。


ギルドにも多少は優しさがあるようだった。

個人情報が駄々漏れするくらいだからもっと厳しいかと思っていた。


それはそうと、この依頼をどうするかだな。

俺はランクC、アイラはランクD、サーシャはランクE、ジーナはランクEなので俺達はランクDパーティーだ。


ちなみにパーティーのランクは各メンバーのランクの平均となる。


実力的にはワンランクに相当するとも思っているが、それは敢えて言う必要は無いだろう。

まぁ言ったところで馬鹿にされるだろうし。


「あと、その人狩り集団の規模って分かったりしますか?」


『正確なところは不明ですが5人以上はいると思われます』


・・・凄く微妙な言い方だな。

10人でも20人でも5人以上だからな。

なのでこの情報はまったく価値が無いな。


「ちなみですが、依頼を受けずに人狩りを倒した場合ってどうなりますか?」


受付嬢は急に渋い表情になってしまった。

明らかに何を言っているんだ? こいつは、という顔をしている。


『えっと、その場合は依頼達成でなく、ただ盗賊を倒しただけになります。なので報酬は出ますがギルドへの功績は無いですよ』


ギルドへの功績が無いということはランクアップには繋がないということだ。

ただ、無茶な依頼を受けて失敗するよりは余程マシだよな。


「そうしたら、その人狩りがよく出る場所だけ教えてもらうことは出来ますか?」


受付嬢は終始渋い表情のままだったが人狩りが出没が確認された場所を教えてくれた。

結構な広範囲で確認されているようだった。


「ありがとうございます」


受付嬢に礼を言ってギルドを出た。


『ご主人様、今から向かいますか? 今からならちょうど夕方頃に到着出来ると思いますよ』


確かに人狩り集団と遭遇するためなら夕方くらいには人狩り集団が現れる場所に到着したほうがいいだろうな。


「よし、なら今から出発するか。でもあくまでも人狩り集団が倒せそうも無ければ撤退するからな」


強化支援を使えば多分逃げ切れるだろう。

念のため、町を出たら1度強化支援をかけて全力で走ってみるか。


町を出て早速強化支援を発動した。


「よし、全力で走るぞ!」


『『はい!!』』


間違いなく速い。

やはり走力強化がかなり効いている。

オリンピックに出たら軽く金メダルが取れそうだ。


ジーナは大剣と大盾持ちなので若干走りにくそうではあったが大きな問題は無さそうだった。


「これなら万が一のことがあっても逃げ切れるな」


『旦那様、何か逃げることを前提にしていませんか?』


安全面を最優先にすることは重要なことだ。

無茶なことをして何とかなるのはアニメの世界だけだ。

逃げることは決して恥ずかしいことでは無い。


「いざとなったら逃げるのも手段の一つだからね。逃げれれば再度チャレンジすることも出来るからな」


『それはそうですけど・・・』


サーシャは若干納得していないようだが、いざとなったら従うだろう。


「この辺で全力疾走は止めておこうか」


数キロは全力疾走したが3人とも息切れはしていないようだ。

改めて強化支援の凄さを実感出来た。

これ以上は無駄な体力を使う必要は無い。


『ご主人様、この分だと目的地に少し早めに到着しそうです』


「しまった・・・全力疾走分を忘れてたな。仕方が無いから少し早めに夕食を食べようか」


野営をするつもりは無いのでハウステントは設置せずに夕食に準備に取り掛かった。

毎回釜戸を作るのも面倒くさいので今度釜戸を購入するか自作するかな。


『今回は時間があるから少し手の込んだ料理を作りますね』


サーシャが少し気合いを入れて料理するらしい。

今までは時間が無くて手抜きをしていたようだったがそれでも結構美味しかったので今回は期待してしまうな。


旨そうな匂いが漂ってきた。

普段は30分くらいで出来る上がるのだが、今回は1時間以上かけて料理が完成した。


『旦那様、みんな、夕食が出来たよ~!』


見た目は普段と同じようなスープではあるが匂いが違う。

早速、出来上がったスープを一口した。


「う、旨い! 普段よりも口の中に旨味が広がる感じがするな。それでいてしつこく無いな!」


『確かにこれは旨いですね。しかも肉もしっかりと噛みごたえがあって、噛むと肉汁が溢れてきますね』


『野菜にも肉汁がしかっりと染み込んでいて食べごたえがあるのじゃ』


アイラとジーナにも絶賛のようだった。

サーシャは満面の笑みだ。ドヤ顔をしていた。


『へへへ、お代わりはたくさんあるからね』


サーシャが作ったスープは本当に美味しかった。

俺はもちろん、アイラもジーナも満足したようだった。


早めの夕食も終わったので、いよいよ人狩りがいると思われる場所に進むことにした。

ここからはゆっくりと歩いていくことにした。


『ご主人様、人狩り集団は出てきますかね?』


「それは分からないな。けど例の冒険者パーティーが依頼を受けたのは少し前って話だったよね? だとすると俺達を襲ってくる可能性はあるんじゃないかな」


『襲ってきて欲しいですね、返り討ちにしてやるんだから! 人狩り共め!』


サーシャはやる気満々だな。

暴走しなければ良いんだが・・・


大分辺りが暗くなってきたのでナタリーさんに買わされたマジックトーチを取り出した。

魔力を込めると灯りが点き周囲が明るくなった。

人狩りを誘き寄せる効果もありそうだ。


しばらく街道を歩いているとアイラが何やら察知したようだ。


『ご主人様! 向こうのほうから何者かがこちらに向かって来ています。どうやら1人だけのようですが・・・』


アイラが指差しした方向は街道沿いの森の方向だった。


「1人なのか? まさか1人だけで人狩りは出来ないよな」


こちらにやって来るのが1人らしいが念のために支援は発動しておく。


「攻撃支援、防御支援、回避支援、強化支援、発動」


そしてアイラ、サーシャ、ジーナも戦闘態勢になっている。

いつ敵が現れても大丈夫だ。


カサッ、カサッ、カサッ


確かにアイラの言う通り、森のほうから誰かやって来る。

落ち葉を踏みながら歩いて来ているようだ。

そして森の中から人影が見えてきた。


『た、た、助けて・・・仲間が・・・捕まっているの』


え、見覚えの姿だった。

向こうも俺のことを認識したようだ。


『え? ま、まさか、レッ、レックスなの?』

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