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0037:人狩り集団討伐依頼


次の目標が決まった翌日は、今までお世話になった人達への挨拶回りになった。


宿屋の副女将、ギルドの受付嬢のルイーザさん、アイテム屋のナタリーさん、武器屋の店長等だ。


ナタリーさんは長旅になるんだからと言ってサーシャとジーナ分のマジックバッグの旅用のアイテムを買わされた。

ちなみにマジックバッグの容量はアイラと同じ300Kgサイズだ。


副女将はしっかりと頑張ってきなさい、と言って送り出してくれた。


ルイーザさんは泣いてしまったが、それでも立派な冒険者になるようにね、と言ってくれた。


元々、俺の交友関係は狭いので午前中で挨拶回りが終わってしまった。

大量の食料を購入してノースランドを出発して東に向かうことにした。


辺境都市までの途中でいくつかの町や都市を通過していく予定だ。

隣町まで行ける乗り合い馬車もあるらしいが今回は徒歩にしてみた。


「よし、出発するぞ!」


『『はい!!』』


◇◆◇◆


強化支援を使って街道を進んでいた。

普通に歩いているはずだが小走りくらいのスピードで進んでいた。


意外とすれ違う馬車や旅人が多かった。

俺が生まれ育ったノーランドはあまり人の出入りが無かったから知らなかったが、それなりの規模の町になるとそれなりに人の出入りがあるようだ。


『ご主人様、あそこにワイルドボアの群れがいますね』


ワイルドボアはモンスターではなく野生の巨大な猪だ。

なので倒しても魔石やドロップに変わらない。

そしてワイルドボアの肉は美味しいのだ。


「1匹か2匹、狩っておくか」


食料はある程度購入しているが多く持っていても損はしない。

マジックバッグの中に入れておけば腐ることが無いからな。


『じゃあ、私が魔弓で倒すね』


サーシャは自信たっぷりそう言うと弓をつがえて魔弓を放った。

魔弓はワイルドボアにヒットし見事にワイルドボア1匹を仕止めた。


『へへへ、どうですか、旦那様?』


褒めて欲しいんだろうな。

なのでサーシャの頭を撫でながら褒めてあげた。


「良くやったぞ、サーシャ。とりあえずワイルドボアの血抜きをしようか」


マジックバッグの中に入れておけば腐ることは無いが血抜きをしておかないと肉が不味くなりそうだしな。

まずはワイルドボアの首を切り落として本体を木にぶら下げた。


『おぉぉ、血がドバドバ出てくるのじゃ』


30分くらいで血が止まったようだ。

とりあえず解体はしないでサーシャのマジックバッグにしまった。

これで当分はワイルドボアの肉が食べられる。


再び街道を進みだした。


◇◆◇◆


ノースランドを昼頃に出発して、途中でワイルドボアを狩ったりしたので次の町に到着する前に夕方になってしまった。


『ご主人様、あそこに野営するのに良さそうな窪地がありますよ』


アイラが見つけた窪地は巨大な岩に囲まれており確かに野営に適していた。

早速ハウステントを設置し、野営の準備を取り掛かった。

石で組まれた釜戸が既にあった。

恐らくこの場所は多くの旅人が野営に使用しているのだろう。


『夕食の準備をしますから旦那様はお風呂の準備をしておいて下さい』


アイラとジーナは木の枝を探しに行った。

俺はサーシャの言う通りに風呂の準備にした。

浴槽が大きいため、風呂に湯を張るのも時間が掛かる。


風呂の準備も終わったのでテントの外に戻ると夕食の準備が完了していた。


『ワイルドボアの肉をたっぷり使ったスープが出来たよ』


早速、サーシャお手製のスープを食べてみた。


「お、かなり美味しいな」


『ワイルドボアの肉汁が野菜に染み込んでいますね』

『肉も柔らかくて美味しいのじゃ』


アイラとジーナにも好評のようだ。

お世辞抜きに美味しいスープだった。


夕食も終わり、見張りの順番を決めた。

見張りの順番は俺、アイラ、ジーナ、サーシャの順番となった。

俺が最初の見張りをしつつ、夕食の片付けをしている間にアイラ達は風呂に入ってしまった。

ちょっと残念だが仕方が無い。


夕食の片付けも終わり、焚き火の前で座って見張りをしていると唸り声が聞こえてきた。


『グルルルル』

『グルルルル』


唸り声が近づいて来たところで姿が見えた。

5匹のコボルトの群れだ。


「攻撃支援、防御支援、回避支援、強化支援、発動!」


支援を発動したところでアイラ達がテントから出てきた。

支援はパーティー全体に効果があるためアイラも支援が発動されたことが分かったようだ。


そして現れたモンスターがコボルトであることを確認するとテントに戻ってしまった。


「え? 援護は無いのか・・・」


確かにコボルトが5匹だから1人でも大丈夫だけど・・・


「くそっ! お前らのせいで虚しい思いをしたぞ!!」


完全に八つ当たりだが、村正を片手にコボルト達に突撃した。

強化支援で速力も強化されているため、あっという間にコボルト達の懐に飛び込むと村正で横凪ぎしてコボルト2匹を瞬殺した。


怯んだコボルト達を次々と袈裟切りした。

支援効果でコボルト達に一切の攻撃をさせないで斬り倒した。


コボルトは強敵とは言えないがゴブリンよりは強いモンスターだ。

それを5匹相手に瞬殺することが出来た。


「間違いなく強くなっているな」


コボルトの魔石とドロップアイテムを拾いつつ強くなっていることを実感した。

その後もコボルトは4~5匹の群れで何度も襲って来たが問題無く瞬殺した。


何度目の群れか忘れたがコボルトの群れを倒したところでアイラが声を掛けてきた。


『ご主人様、見張りの交代ですよ』


もうそんな時間になったようだ。

コボルト達が何度も襲って来たので退屈はしなかったな。


「コボルトの群れが何度も襲って来るから気を付けてね」


『大丈夫ですよ、ご主人様』


そう言うとアイラから俺にキスをして来た。

思わずアイラをぎゅっと抱き締めてしまった。

キスをしていた時間は10秒ほどだろうか。


『ご主人様、早く寝て明日に備えて下さいね』


「ありがとう、お休み」


『はい、お休みなさい。ご主人様』


テントに入ると俺は寂しく1人で風呂に入った。


風呂に入ると身体が温まってきて睡魔が襲って来た。

早く風呂から出て寝る準備をしないとな。

急いで寝る支度した。

寝袋に入るとあっという間に目蓋が閉じてしまった。


◇◆◇◆


野営初日の翌日だ。

昨日はコボルトの群れが断続的に襲って来たらしい。

だが誰も怪我をしなかったようだ。


朝食後、また東に向かって進んだ。

そして昼頃に次の町に到着した。

町の門の上に町の名前が書かれている看板があった。


「ここがメサリアの町か」


一応、ノースランドを出る前にルイーザさんから東に向かった場合の最寄り町の名前を聞いていた。


町の中に入ろうとすると門番から呼び止められた。


『ちょっと待ってくれ。すまないが身分証明書を提示してくれないか?』


今まで町に入るのに身分証明書なんて提示したことが無かったのだが、この町では必要なのかな?

とりあえず、やましい事は無いので言われるがままギルドカードを門番に見せることにした。


『・・・ありがとう、特に問題は無さそうだな。通って良いぞ』


「ちょっと聞いてもいいですか? 今までの町だと入口でチェックされたことは無いんですけど何かあったんですか?」


『あぁ・・・最近、人狩りをする集団が出てきてな。それでチェックをし始めたんだよ』


なるほど、そういうことか。

それなら仕方が無いな。


ギルドカードを返してもらい町の中に入った。

メサリアの町はそれほど大きい町では無い。

それでもノースランドに近いこともあって人はそれなりにいた。


「とりあえずギルドに行ってみるか」


途中で倒したコボルト達の魔石やドロップアイテムも換金したいし、変わった依頼があるかも知れない。


ギルドを見つけて中に入り受付カウンターに向かった。


「すみません、換金をお願いします」


『はい、あら? 新しい冒険者の方ね』


「あ、俺達は旅の途中で寄っただけなんですよ」


そう言いながらカウンターに魔石とドロップアイテムを置き、受付嬢が査定している間に依頼ボードの依頼を確認した。

しかし、あまり良い依頼が無かった。


すると査定中の受付嬢が声を掛けてきた。


『何か気になる依頼はありましたか?』


「いや、特には無いですね」


『実はこれから張り出す予定の依頼があるんですけど見ますか?』


そう言って見せてもらった依頼にはこう書かれていた。


【人狩り討伐依頼】


『実は少し前にその依頼を受けた冒険者が帰って来ていないんですよ・・・』

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