0035:サーランド突入 その後
無事にノースランドに到着した翌日だ。
俺達はギルドに向かっていた。
依頼を探すためでは無くノースランドに到着した日にゴッツからギルドに顔を出すように言われたからだ。
ギルドに到着するとルイーザさんがいる受付カウンターに向かった。
「すみません、ゴッツさんからギルドに来るように言われて来ました」
『お疲れ様です、レックスさん。ちゃんと伺っていますよ。それではこちらへどうぞ』
ルイーザさんと一緒に2階へ向かった。
ギルド2階の部屋に案内されると部屋の中にゴッツがいた。
『よう、レックス。よく来てくれたな。まぁ座ってくれ』
案内された部屋は小さな会議室のような部屋であり、テーブルと椅子があった。
俺達は言われた通り椅子に座った。
『今回の依頼では本当に助かったぞ。報酬に関しては期待してくれ。それと今回の功績でお前達の冒険者ランクもアップすることが決まったぞ』
冒険者ランクのアップは期待していたので素直に嬉しい。
これでより高ランクの依頼が受けられるようになる。
途中まで笑顔だったゴッツの顔が曇った。
『確か、レックスもサーランドの冒険者だったよな?』
まぁサーランドには2年くらい暮らしていたし、冒険者になったのはサーランドなのでサーランドの冒険者と言われればその通りかも知れない。
『サーランドは廃棄されることになったよ』
ゴッツが力無く告げてきた。
俺よりもゴッツのほうが残念なんだろうな。
「そうですか・・・残念です」
実際にサーランドの現状を見ているから分かるが再建するのに苦労しそうだった。
むしろ最初から町を作るほうが簡単そうに思えるほどだった。
『それで、お前達は今後はどうするんだ?』
ゴッツが言っているのは、このままノースランドに残るのか、別の都市に移動するのかということだろう。
正直、まだ何も考えていないな。
「これから考えてみます」
『そうか。出来ればこのまま残って欲しいんだがな。こればかりは強制出来ないがな』
ノースランドはそれなりに住みやすい都市ではある。
しかし周囲には強いモンスターが少ない。
なのでレベルアップにも限界がある。
もちろん上級者パーティーがいるくらいなので時間をかければ上級者パーティーにはなれるだろうが。
ゴッツと少し会話をした後に受付カウンターに戻った。
ルイーザさんからもゴッツと同じようなことを聞かれた。
『レックスさん。もしかして別の町に行っちゃうんですか?』
「まだ何も決めていないですよ」
確かに何も決めていないがダラダラとするのは避けたいな。
『はい、これが今回の依頼報酬ですよ』
ルイーザさんはそう言ってカウンターに布袋を置いた。
袋の中を見ると、大金貨4枚、金貨5枚、大銀貨3枚が入っていた。
「こ、これって大金貨か? 初めて見た・・・」
『ご主人様、私も初めてです・・・』
『もちろん、私も・・・』
『妾もじゃ・・・』
緊張のあまり手がプルプルと震えた。
「これって何かの間違いなんじゃ?」
念のためルイーザさんに確認した。
使ってしまった後に間違いでしたと言われても返せないからな。
『いいえ、間違いじゃありませんよ。大金貨はボスモンスター討伐の報酬ですよ。レックスさん達は他にもゴブリンキングとかも倒していますしね』
間違いじゃなかったらしい。
しかし凄いな。
あっという間に金持ちになってしまった。
『それとレックスさん達はランクアップしましたのでギルドカードを貸して下さい』
暫くするとルイーザさんが俺達のギルドガードを持って戻ってきた。
ギルドカードを見ると確かにランクアップしていた。
俺はランクC、アイラはランクD、サーシャはランクE、ジーナはランクEになっていた。
『ランクB以降はランクアップ試験を受けないと駄目ですからね』
とりあえずルイーザさんに礼を言ってギルドをあとにした。
今日はもうする事が無いのでブラブラすることにした。
ただし今後の事を考えると上の空だった。
散歩後に宿屋に戻ってきた。
夕食後、部屋でアイラ達の身体を拭いた後にアイラ達と今後について話をした。
「アイラ達はどう思う? ノースランドで生活するか、別の都市に移動するか?」
折角の第二の人生だ。
世界中を旅してみたい気持ちはある。
しかしアイラ達との生活も気に入っている。
なのでアイラ達の気持ちも尊重したい。
『私はご主人様と共に行くまでです』
『まぁ私も旦那様と楽しく生活が出来れば何処でもいいよ』
『妾は元々マスターのものじゃ』
「旅をするからには苦労するかも知れないけど?」
まぁ旅をしなくても苦労することはあるかも知れないけど。
『気にしないです』
『多少でしょ?』
『問題無いのじゃ』
「強いモンスターと戦うことになるかも知れないんだよ?」
この世界だと安全と言える場所があるとは到底思えないけど。
『望むところです』
『まぁ大丈夫でしょ?』
『妾に任せるのじゃ』
アイラもサーシャもジーナも俺に付いてきてくれるとのことだった。
目から汗が溢れ出そうなくらい非常に嬉しい。
そうなると次は何処に行くかだな。
「次に行くとしたら何処が良いかな?」
『色々とありますよ、ご主人様』
アイラの言う通り、この国には辺境都市、ダンジョン都市、鉱山都市等がある。
またこの国の外には獣人国、ドワーフ王国、エルフ国等もある。
『旦那様、その前にゴブリンエンペラーがドロップした宝箱はどうするんですか?』
そういえば宝箱を拾ったことを忘れていた。
銀の宝箱だから中身はかなり期待出来る。
「そういえば宝箱を拾ったよな。明日は箱屋に行こうか。何が入っているか楽しみだよな」
とりあえず、次に向かう先は決まっていないが明日の予定は決まったので寝ることにした。
もちろんアイラとイチャイチャしてからだ。
◇◆◇◆
翌日、早速ギルド公認の箱屋に向かっている。
ギルド公認の箱屋は解錠の成功率は高いが箱の中身の価値の3割が成功報酬として取られる。
一方でギルド非公認の箱屋もいるらしいが、こちらは成功報酬が1割だが解錠の成功率が低いらしい。
ルイーザさんに相談したところ
『レックスさん、絶対にギルド公認の箱屋を使ったほうがいいですよ』
と言われた。
折角の宝箱なのに解錠に失敗したら悲しすぎるのでギルド公認の箱屋に向かっているのだ。
ルイーザさんに教えてもらった場所に到着した。
『ご主人様、本当にここが箱屋なんですか?』
再度ルイーザさんからもらった地図を確認してみたが地図通りだった。
しかし目の前にあるのは普通の一軒家だ。
「ここで合ってるはずなんだけどな・・・」
本当にこの家でいいのか悩んでいると突然背後から声を掛けられた。
『なんじゃお主らは。儂に何か用事でもあるのか?』
「うぉ! ビックリしたぁ・・・」
『ほほほ、すまんのう。驚かせるつもりは無かったんじゃがのう』
俺達の後呂に老人がいた。
いつの間に背後に忍びよったのか。
それよりもアイラが気が付かなかったほうのが驚きだ。
アイラも凄く驚いている。
ひょっとしたら、ほとんど生命活動をしていないのでは?
『それで儂の家に何の用事で来たんじゃ?』
あまりの驚きに本来の用事を忘れるところだった。
「宝箱を開けて欲しくて、アルールさんって人を訪ねて来たんです。アルールさんはいますかね?」
『ほほほ、儂がそのアルールじゃよ。どれ、家の中に入りなさい。まずは宝箱を見てみようかのう。』
この老人がアルールなのか。
かなりの年配だが大丈夫なのか?
とりあえずアルール爺さんの後に付いて家の中に入った。
『まぁ適当に座りなさいな。早速宝箱を見せてもらえるかのぅ』
アルール爺さんに言われた通りにマジックバッグから宝箱を取り出した。
『ほう、銀の宝箱か。久しぶりに見たねぇ。銀の宝箱はランクBモンスター以上じゃないとドロップしないはずなんだが?』
「それならゴブリンエンペラーがランクBモンスターだからかな」
『なるほど、サーランドのボスモンスターを倒したのはお前さん達だったのか。良かろう、その宝箱を解錠してやろう』
いよいよ、お宝とご対面だ。
何が出てくるのかワクワクしてきた。
新年明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。