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0034:サーランド突入 その3


ゴブリンエンペラーが1歩ずつ前に出てきた。

まるで俺達なんかでは相手にならんとばかりに無防備だ。


「攻撃支援、防御支援、回避支援、強化支援、発動!」


途中で支援が切れないように再度支援を発動した。


《フハハハ、シヌガイイ!》


突如、ゴブリンエンペラーが突進してきた。

ゴブリンエンペラーの身長は2mくらいあるが動きは思ったよりも素早い。


ジーナがゴブリンエンペラーの正面に立ちはだかりゴブリンエンペラーの大剣を受け止めた。


《イツマデ、ウケトメ、ラレルカナ》


鈍い金属音が鳴り響いており、ジーナは防戦一方だ。

支援が無かったら危なかったな。


アイラと俺はゴブリンエンペラーの横に回り込み攻撃を仕掛けるがゴブリンエンペラーは俺とアイラの攻撃を回避していく。


「くそっ、この巨体のくせに素早いな!」


俺の攻撃は仕方無いとしてアイラの攻撃も回避するとは思っても無かった。

多少はダメージを与えられると思っていたが。


《フハハハ、ドウシタ? コノテイド、ナノカ?》


俺とアイラとジーナが3方向から攻めているがゴブリンエンペラーは余裕の表情だ。

ゴブリンの表情なんて分からないから正確には雰囲気なのだが。


「このゴブリン野郎が舐めるなよ!」


再び俺とアイラとジーナの3人でゴブリンエンペラーに攻撃を仕掛けていく。


《フハハハ、ナンドコヨウト、オナジコトダ》


ゴブリンエンペラーは素早い動きで俺達の攻撃を回避して鋭い反撃をしてきた。

ゴブリンエンペラーの大剣は受け止める度に手が痺れていく。


そう何度も受け止められそうにもない。

何とか一撃を与えらないか。

今の流れを何とか変えたい。


ふと見るとサーシャがいつの間にかゴブリンエンペラーの背後にいた。

サーシャは直接攻撃に参加していなかったのでゴブリンエンペラーの意識から外れていたようだ。


サーシャが魔弓を放つとゴブリンエンペラーの背中に突き刺さった。


《グオォォォ、ナ、ナンダ?》


『ど、どうだ! 私だってちゃんと戦力になるんだからね』


「サーシャ、良くやった。連射出来るか?」


サーシャは頷いて魔弓を連射していく。

もちろん、俺の魔力支援が必要ではあるが。


《コノォォォ、エサノ、ブンザイガァァァ》


ゴブリンエンペラーがサーシャのほうに向かおうとするところを俺とアイラが挟み撃ちで邪魔した。


そしてジーナがゴブリンエンペラーの背中を大剣で斬り付けた。


《グオォォォ、キ、キサマラー!》


怒り心頭のゴブリンエンペラーがジーナに対して大剣を振り下ろすがジーナは大盾でしっかりと受け止めた。


「アイラ、今だ! エンペラーの足を狙うぞ!」


『はい、ご主人様!!』


ジーナが大剣を受け止めた隙を突いてゴブリンエンペラーの両足を狙った。

足を切断とまではいかなかったが俺とアイラの攻撃でかなり深手を負わすことが出来た。


《グアァァァ、オレサマノ、アシガァ・・・》


「これで素早く回避することが出来なくなったはずだ」


サーシャの魔弓は止むこと無くゴブリンエンペラーの背中に突き刺さっていく。

それに合わせて魔力支援を繰り返し発動した。

これは結構忙しい作業だ・・・


サーシャの魔弓は連射出来ると結構な火力になるな。

そのためにはかなりの魔力支援が必要ではあるが。


かなりのダメージを負ったゴブリンエンペラーは最早素早く動くことが出来なくなっていた。

そして俺達は容赦無くゴブリンエンペラーに攻撃を加えていった。


《キ、キサマラ、フザケ、ルナ・・・》


攻撃の流れがこちらに向いているため手を休めることはしない。

ひたすらゴブリンエンペラーに攻撃を加えていった。


そしてゴブリンエンペラーが大剣を手放した瞬間、俺が首を斬り落とした。


「はぁ、はぁ、やっと、倒れたか」


『ご主人様、やりましたね』

『旦那様、どうですか? 役に立ったでしょ?』

『さすがはマスターなのじゃ』


ゴブリンエンペラーは魔石とドロップアイテムとなった。

ドロップアイテムは【皇帝の弓】だった。

ジーナが解析したところ、弓の攻撃力が10%アップするらしい。

特に呪われているわけでも無いのでサーシャが装備することになった。


あと、アイラが銀色の "箱" を見つけてきた。


『ご主人様、宝箱がありましたよ』


手のひらサイズの箱だが立派な宝箱だ。

宝箱はたまにモンスターがドロップする。

宝箱の色はレア度の順に金、銀、銅、赤、青の5種類があると言われている。


「これが宝箱なのか。初めて見たな」


『へぇ、これが宝箱なんですか』

『妾も初めて見たのじゃ』


宝箱には罠が仕掛けられていると聞いている。

なので罠を解除するためのスキルを持っている人に開けてもらうのが一般的だ。


「とりあえず、宝箱は後で開けることにしようか。今は他の仲間達と合流するのが先決だ。」


回復支援を発動させて全員の回復をした後に部屋を出た。

すると上級者パーティー達が合流してきた。

皆、傷だらけであったが無事な様子だ。


『どうだ? ボスモンスターは倒したのか?』


「はい、何とかボスモンスターを倒しましたよ。ボスモンスターはゴブリンエンペラーでした」


『マジか? ゴブリンエンペラーっていえばランクBモンスターじゃないか。お前達だけで倒したのか。すげぇじゃねぇか!』


上級者パーティー達の冒険者達の話によればゴブリン達の群れは最初のうちかなり好戦的であったが途中からゴブリン達が逃げ始めたらしい。


恐らくはゴブリンエンペラーを倒したことで他のゴブリン達が逃げ出したのだろう。


『とりあえず、他のパーティーと合流しながら拠点に戻るとするか』


領主の屋敷を出ると町のあちこちでゴブリン達への掃討戦が行われていた。

主に逃げ遅れたゴブリン達が軒並み討伐されているようだった。

俺達は疲れているため掃討戦には参加しなかった。

回復支援で傷は回復出来るが体力までは回復しない。


『ははは、お前達はゆっくりと戻って来ればいいぞ』

『そうだな、掃討戦まで頑張られたら俺達の顔が丸潰れだしな、はははは』


そう言うと上級者パーティー達も掃討戦に向かってしまった。


「・・・行っちゃったね。まぁ俺達はゆっくりと戻るか」


『そうですね、ご主人様』

『旦那様、疲れたよ~』

『マスター、腹が減ったのじゃ』


マジックバッグから串肉を取り出した。

串肉を頬張りながらサーランドの北門に向かっている。

サーランドを脱出してそれほど時間が経過していないにも関わらず町中の至るところがボロボロだった。


「これは再建するのに時間が掛かりそうだな」


『ご主人様、ひょっとしたら廃棄されるかも知れませんよ』


確かに再建するのもかなりのコストが掛かる。

費用対効果が出ないなら廃棄される可能性もあるな。

中々世知辛いがこればかりは仕方が無いよな。


その後はモンスターと出会うこと無く北門に到着した。

掃討戦は順調に進んでいるようだった。


北門を出て拠点に到着するとゴッツが出迎えてくれた。


『お前達がボスモンスターを倒してくれたようだな。先に戻ってきたパーティー達から話は聞いているぞ。よくやってくれたな!』


そう言うとゴッツは笑いながら俺の背中をバンバン叩いてきた。

筋肉マッチョは力の加減が出来ないらしく、かなり痛い・・・


『お前達は疲れているだろうから帰りの見張りは免除するからな。あと馬車の荷台も使って良いぞ! がはははは』


帰りはかなり楽させてもらえるようだ。


疲れているため早速馬車の荷台で寝かせてもらうことにした。

馬車の荷台に乗り込むと寝袋を取り出してすぐに眠ってしまった。

アイラ達もすぐにぐっすりと寝てしまったようだ。


◇◆◇◆


目が覚めたのは夕方だった。

腹が減ったので目が覚めてしまった。

ちょうど夕食の時間だったようで旨そうな匂いが漂っていた。


『はははは、匂いに釣られて起きてきたようだな』

『ほら、お前達も早く食べないと無くなるぞ』

『そうだぞ、お前達が1番頑張ったんだからな。1番食わないと損だぞ』


たくさんの冒険者達に囲まれてドンチャン騒ぎとなった。

酒も大量に飲まされた。

特に女性冒険者達がタチ悪かった・・・


『私のお酒が飲めないの? ねぇ、ちょっと酷くない?』

『私の酒を飲まないと何をするか分からないよ? それでもいいの?』


女性冒険者がオレに近寄って来る度にアイラ達から何やら不穏なオーラのようなものを感じた。

とても怖くて後ろを振り返れない・・・

不思議といくら酒を飲んでも全く酔っ払う気がしない。


というか早く帰りたい・・・

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