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0002:パーティーに加入 そして


『俺の名前はグレン。戦士をしている。どうだろう? 俺達のパーティーに加入しないか?』


「え? 俺を・・・ですか?」


『あぁ、そうだよ。ちなみに、あそこにいるのは戦士のマッカス、魔法使いのシェリー、シーフのダンだ。俺達は今のところ4人パーティーなんだけど、もう1人メンバーが欲しくてね』


グレン達は、【紅蓮の刃】という名前の冒険者パーティーであり、グレンがパーティーのリーダーとのことだ。


『君、かなり面白いジョブを持っているよね。是非とも俺達のパーティーを加入して欲しくてね、どうかな?』


どうやら冒険者登録すると名前とジョブが告知される仕組みになっているらしい。

そして各パーティーが足りない戦力を勧誘しているのだ。


周囲を見ると俺以外にも新人冒険者達が色んなパーティーから勧誘されていた。

どうやら、この世界には個人情報保護という考え方が無いらしい。


「でも、俺のジョブってかなり特殊ですよ? それでもいいんですか?」


『まったく問題無いよ。むしろ俺達は前衛が多いから支援してくれるジョブは大歓迎なのさ』


俺のジョブを理解してくれた上で歓迎してくれるとのことだ。

正直、その言葉を聞いただけでも有頂天になりそうだった。


とはいえ、安易にパーティー加入は出来ない。

グレン達の話をしっかりと聞いた。


グレン達は俺よりも2つ年上で幼馴染み同士のパーティーらしい。

そして全員がレベル3の冒険者達だった。


色々と話を聞く限りではグレン達のパーティーに加入することに問題は無さそうだった。


「分かりました。パーティーに加入させてもらいます。これから、よろしくお願いします」


正式に【紅蓮の刃】に加入した。

そして翌日から早速ギルドの依頼を【紅蓮の刃】メンバーと一緒にこなしていった。


グレン達もFランクという低ランク冒険者であったため難しい依頼は受注出来なかった。

そのためゴブリン退治などの簡単な依頼が大半であった。


ゴブリンは無限に増殖しているのでは? と思えるほど大量に出没するので毎日討伐してもゴブリンがいなくなることは無かった。


ゴブリンを始めとするモンスターは倒すと魔石とたまにドロップするアイテムを残して身体は消える。

この仕組みは未だに判明していないらしい。


この魔石とドロップアイテムをギルドで換金してお金を得るのが冒険者の基本となる。


『まぁ細かい仕組みなんてどうでもいいけどな。俺達冒険者の稼ぎが無くならないことが大事なんだしな』


グレンは結構・・・いや、かなりの脳筋だった。

数日間の付き合いではあるが、ある程度はメンバーの性格が把握出来た。


グレンとマッカスは基本的に脳筋であり、シェリーは結構キツイ性格をしており、ダンはグレンの腰巾着だった。


『ほら、ダンはさっさと次のゴブリンを探してよね! グレンとマッカスはちゃんとゴブリンを倒してよね。私の魔法にも限界があるんだからね!』


ゴブリン退治に行くと必ずシェリーが文句を言っていた。

シェリーは黙っていれば結構な美人なんだけどな。

勿体ないな・・・とシェリーの顔を見ていた。


『なによ? レックス、何か文句でもあるの?』


「あ、いや、何でもないよ・・・」


危ない危ない、あやうく余計な火の粉を浴びるところだった・・・


ゴブリン退治の日々が続いていたが、俺として非常に楽しかった。

何よりも俺の攻撃支援がパーティーメンバーの役に立っていると思うと誇らしさすらあった。


【紅蓮の刃】に加入したのはきっと正解だったに違いない。

そう思えるほど日々が充実していた。



◇◆◇◆


【紅蓮の刃】に加入して1年が過ぎた。

ようやく俺のレベルも2になり、冒険者ランクもFになった。



名前:レックス

種族:ヒューマン

年齢:16

レベル:2

ランク:F

ジョブ:支援術士

ジョブスキル:

【攻撃支援】【防御支援】

加護:

【神の恩恵】【無詠唱】

【???】【???】


加護に意味不明なスキルが2つ残ったままではあるがジョブスキルが2つになった。


というか、【神の恩恵】も意味不明だった。

何故なら【神の恩恵】の説明を見ても中身の説明文が???と表示されるだけで効果が全く不明なのだ。


意味不明な加護はさておき、攻撃支援だけでなく防御支援も出来るようになってパーティーへの貢献度が高くなったと自負している。


『はははは、どうだ? 俺達のレベルも5に上がったぜ! ランクもEになったしな!』


グレン達のレベルが5まで上がっていたのだ。

モンスターを討伐すると討伐者に半分の経験値が入り、残りの経験値は均等にパーティーメンバーへ分配されるとのことだ。


支援担当の俺には分配分の経験値しか取得出来ないので当然レベルが上がるのが遅い。

レベルは上がりにくいかも知れないが俺はこのパーティーで大事な役目を担当している・・・はずだ。


『よし。お前ら、そろそろゴブリンやコボルト狩りは卒業にするぞ』


ゴブリンやコボルトはレベル1~4の冒険者が標的にするモンスターだ。

その次となるとワーウルフや草原狼などになってくる。


正直、レベル2の俺には厳しいモンスターだ。

ちょっと悩んでいるとグレンが俺の肩を叩きながら言った。


『おいおい大丈夫だって。ちゃんと俺達が守ってやるからな。安心しろって』

『そうだぞ。お前の支援があれば俺達はもっと強くなれるんだからな』


グレンとマッカスの言葉にちょっと安心した。

きっと上手くやっていけるはずだ。


結果として討伐対象のモンスターのレベルを上げることになった。

正直に言うと付いていくのに不安は残るがグレン達を信頼することにした。


今までも上手くやってこれたんだしな。

大丈夫だよな。


◇◆◇◆


そして、さらに半年が経過した。

ついに俺はレベル3になった。

グレンは既にレベル6になっていたが。

冒険者ランクのほうは変わらずだ。



名前:レックス

種族:ヒューマン

年齢:16

レベル:3

ランク:F

ジョブ:支援術士

ジョブスキル:

【攻撃支援】【防御支援】【回復支援】

加護:

【神の恩恵】【無詠唱】

【???】【???】



これでジョブスキルが3つになりジョブスキルの数だけは一人前になった。

回復支援も使えるようになったのでパーティーの回復役も出来るようになった。


一般的に選択出来るジョブスキルの数はもっとレベルを上げない表示され無いらしいが何故か俺は洗礼の儀式を受けた時に3つもあった。


これで選択出来るジョブスキルのストックは無くなったわけだが・・・

あとは地道にレベルを上げていくしかない。


『レックス、お前はジョブスキルの数だけは一人前だよな』


『そうよねぇ、私達はレベルが6なのにジョブスキルは2つだもんねぇ』


この頃からだろうか。

俺に対するメンバーから扱いが変わってきたのは・・・


それでも俺はグレン達を信頼して頑張ることにした。

きっと俺でもパーティーの役に立っていると信じていた。


◇◆◇◆


さらに半年が経過して【紅蓮の刃】に加入して2年が経過した。


ある日、グレン達が拠点にしている宿屋に2人の女性冒険者を連れてきた。

ちなみに俺は別の安い宿屋で寝泊まりしておりパーティーの相談事があるときに来るようにしていた。


グレンが連れてきた2人の女性は1人は赤髪の戦士系の女性で、もう1人は金髪の魔法使いっぽい女性だった。


『こいつらが新しい【紅蓮の刃】のメンバーになる2人だ』


え? あれ? 冒険者パーティーって人数の上限があって最大で6人までじゃなかったか?

2人足すと7人になるよな。


いくらグレンが脳筋でもこんな簡単な足し算くらいは出来るはず・・・だよな

ということは誰か1人が抜ける必要があるよな・・・


グレンの突然の言葉に俺は心臓をバクバクさせながらグレンの話の続きを聞いていた。


『俺達は冒険者としてもっと高みを目指しているよな。そのためにはパーティーメンバーの強化は必要な対応だろ?』


マッカス、シェリー、ダンは黙ってうんうんと頷いていた。

そこまでは俺も同じ意見だが・・・


『そして、この2人は俺達と同じレベル6の冒険者で強さは信頼出来るわけだ』


レベル6ということは中級冒険者の域に達してきているということだ。


一般的にレベルと冒険者の格付けは次のようになる。

あくまでも目安だが。


レベル1~3は初心者

レベル4~5は初級

レベル6~9は中級

レベル10~20は上級

レベル20~は超一流


レベルの上限は99と言われているがレベル99に達した人物は歴史上存在しないと言われている。


ここで場が無言になってしまった。

その間、ずっと俺の心臓はバクバクしたままだった・・・


『ここまで言えば、俺の言いたいことは分かるよな? レックス?』


グレンの言葉にマッカス、シェリー、ダンも続けた。


『レックス、やっぱりあんたじゃ無理だったのよ。諦めなさい』

『レックスよ、ここは大人しく引きべきだろう?』

『レックス。ここは素直にうんっと言っておけ、なぁ?』


突然、メンバーから俺に向けられた言葉だった。

クビ宣告だ。


「で、でも俺の支援スキルは役に立っていたはずだろう? 違うのか?」


『確かに当初は役に立っていたな。当初だけだがな・・・』


当初だけ・・・?


「それって今は役に立っていないということなのか?」


もう、きっと結論は変わらないのだろうが一応食い下がってみた。


『そりゃあそうだろ。攻撃支援は新しい強力な武器を買えばいいしな』

『防御支援も頑丈な防具を買えば済むしね』

『回復支援もポーションで事足りるわな』


確かにそう言われると俺には返す言葉が見つからない。

正直、攻撃支援も防御支援もどこまで効果があるのか分からない。

この点はずっと俺も不安に思っていたことだ。


『それにお前ってレベルが上がるのが遅いしなぁ。お前を守りながら冒険するのが正直辛くなってきたんだよ』


グレン達はニヤニヤしながら話していた。

そしてグレンが連れてきた女性冒険者2人も笑い始めた。


『なんか必死になって恥ずかしいよね?』

『そうよねぇ、私だったら素直に諦めるけどねぇ』


悔しさと悲しさと自分自身への不甲斐なさのため恥ずかしい気持ちで一杯だ。


ついにグレンから最後の一言があった。


『この際はっきりと言ってやるよ、レックス。お前をこのパーティーから解雇する!』

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― 新着の感想 ―
[一言] 今後どうなるのか分からんが主人公転生者だよな?思考能力足りなさ過ぎと違うかな。
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