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0014:新しい武器を購入


屋台で色々と買い食いをしながらアイラと2人で町をぶらぶらしている。

昨日の今日なのでなんとなく恥ずかしいので手は繋いでいないが。


アイラは前回購入した薄緑色のワンピースを着ている。

凄く良く似合っているな。


思えば昼間にこうして何も考えずに町中を歩き回るのは初めてのような気がするな。

とりあえず、まずは服屋に向かうことにした。


前回と同じ服屋に到着した。

この服屋は服を選んでいる最中に店員が寄ってこなかったので好印象であった。


『いらっしゃいませ。ご自由に服を見ていって下さいね』


前回はワンピースを選んだので今度はズボンとかのほうが良いのかな?


「アイラ、好きなのを選んでいいからね」


アイラ本人に好きなものを選んでもらおうかと思っていたがアイラはスカート、ズボンの2種類を持ってきた。


『ご主人様、どちらが良いですかね?』


定番のイベントが発生した。

この手のイベントではどちらを選んでも相手をガッカリさせてしまうのが定番のはずだ。


しかし、今の俺には昨日換金した金がある。

この店の商品なら2つ購入しても懐はそれほど痛まないはずだ。


ならば選択肢は簡単だ。

2つとも購入してしまえば良いのだ。


「どっちもアイラに似合うと思うよ。だから2つとも購入しようか」


俺は自信満々に答えた。


・・・


あれ? アイラが黙ってしまったぞ・・・

よく見ると女性店員さんも俺のことを哀れんだ目で見ている。


まるで店内の時間が止まったような感じだ。


「えっと・・・駄目だった?」


今の俺に言える言葉はこれだけだ。


『私としてはご主人様が好きな方を選んで欲しかったんですが・・・』


どうやら俺はどっちを選んでも正解のところで唯一の不正解を選択してしまったようだ・・・

これはしまった。

ここから何とか巻き返さないといけない。


考えろ俺・・・考えるんだ俺・・・

俺の脳みそよ、ここで力を発揮しないでいつ力を発揮するんだ?


よし! 俺が今言う言葉はこれしか無いはずだ!


「俺としてはスカート姿のアイラも、ズボン姿のアイラも見たいんだ!」


陳腐な俺の脳みそではこれしか言葉が出てこない。

そして、この言葉は決して嘘偽りでは無い。


このタイミングで絶妙な橋渡しをしてくれたのは女性店員さんだった。


『ま、まぁ、彼氏さんもあのように言っていることだし、彼女さんのほうも許してあげたらどうかしら?』


「か、彼女?」

『か、彼氏ですか?』


俺とアイラは同時に裏返った声を出してしまった。


『あれ? 違うんですか? 主人と奴隷がカップルになること自体はそう珍しくはありませんから。てっきり御二人もそうかと・・・』


俺とアイラは顔を真っ赤にしてしまった。


『わ、分かりました、ご主人様。で、では2つ購入しても宜しいでしょうか?』


「も、もちろんだよ。さ、最初からそのつもりだったしね」


俺の服はアイラが選んでくれたものにした。

俺とアイラの服を購入して店を出た。


「結局、店員さんに上手く乗せられて沢山買ってしまったな」


服の代金は銀貨3枚となってしまった。

あの後も女性店員から、『これもお似合いですよ』とか『あら~、これも似合いますね』と言われて色々と購入してしまったからだ。


俺はかなりチョロかった・・・


『ふふふ、そうですね。ご主人様。でも明日からまた頑張れば良いだけですよ』


アイラはそう言うと俺の腕に抱き着いてきた。

アイラの胸の感触が直に感じられた。

幸せな気分のまま町の中を歩いた。


「そ、そろそろ昼だね。昼食は何を食べようか?」


『屋台で買って食べ歩きしましょうか』


ということで、屋台で串肉を買ったり、果物を買ったり、ジュースを買って飲み食いした。

お腹膨れたところで服屋の店員さんから教えてもらったデートスポットに向かうことにした。


このサーランドの町の城壁は分厚く高い。

なので城壁の一部分は民間人でも登ることが出来る。

その城壁の上から外の景色を見ることが人気らしい。


俺とアイラも城壁の上に登ってみた。

実際、城壁の高さは4~5mくらいではあるが素晴らしい景色が広がっている。

森や草原が広がっており、その奥には山が見える。


「確かに見張らしは最高だね」


『はい、ご主人様』


おそらく1時間くらいはこの素晴らしい景色に思わず見入っていた。

いつかはこの町を出て色んな町に行ってみたいと思わせる景色だった。


ただし、いつまでも景色を眺めていても仕方が無い。

次の場所に向かうことにする。


「アイラ、次は何処に行きたい?」


『そうですね、武器屋に行きましょうか?』


え? 武器屋? 武器屋ってデートコースに入るものなのか?


『こういった休暇の時に武器を見直ししたほうが良いと思いますよ、ご主人様』


まぁ確かに普段はゴブリンの森に行っているから武器のチェックをするなら休暇の時が最適かも知れないけど・・・


『ふふふ、今日はご主人様と多くの時間を楽しめましたし』


アイラが楽しめたのなら何も言うことは無いな。

ならば本日のデートの締めは武器屋だな。


武器屋に到着した。

店の中に入ってみると相変わらず色んな武器が陳列されていた。

以前なら値段が高すぎて手が出なかった武器が多かったが今回は違った。


とはいっても俺は支援術士だしな。

アイラみたいに特定の武器を装備して能力の底上げが出来る訳じゃない。


ちなみにアイラは【双剣】というジョブスキルを持っているが、これは二刀流スキルだ。

アイラ曰く、剣を2本装備することで攻撃力が5%アップするとのことだ。


ただしステータスウィンドウには攻撃力等は数値として表示されないので、実際に5%アップにどれくらいの効果があるのかは不明らしい。


『まぁ、気休め程度ですよ』


と、アイラは言うが何を装備してもアップ効果が無い俺からすれば羨ましい限りなんだが。


歩きながら陳列されている武器を眺めていたアイラがある武器の前で止まった。

アイラが凝視している武器を見てみた。


【雷炎の双剣】


と名札が付いていた。

すると筋肉マッチョの禿げた店長がやってきた。

禿げマッチョ店長と呼ぼう。


『その【雷炎の双剣】が気になるのか?』


禿げマッチョ店長が言うには、陳列されているのは【雷炎の双剣】のレプリカとのことだ。

本物は王家の宝物庫の中にあるらしい。


『ただし、レプリカといっても武器の質としてはかなりのもんだけどな。試してみるか?』


武器屋の裏庭は武器の試し斬りが出来るスペースになっていた。

やはり試しに使ってみてしっくりくるか確認したいという要望が多かったらしい。

まぁ試し切りをしたいという要望は当然だよな。


そして裏庭にはかなり太い竹が数多く地面に突き刺さっていた。

真剣の試し斬りで使うゴザみたいなものかな。


アイラが【雷炎の双剣】を握って軽く素振りをしている。

雷を纏う剣と炎を纏う剣。

どうやら剣を振るったときの速さで雷や炎の強さが変わるようだ。

原理はさっぱりと分からないらしいが。


雷を纏う剣で切った竹はいくつにも裂け、炎を纏う剣で切った竹は燃え焦げた。


『ほう・・・中々やるじゃねぇか』


どうやらアイラの剣の腕前は禿げマッチョ店長のお眼鏡にかなったようだ。

アイラも【雷炎の双剣】が気に入った様子だが何故か躊躇している。

アイラの視線の先は値札のようだ。


【金貨2枚、大銀貨2枚】


と書かれていた。

中々の高額商品だった。

う~ん、と悩んでいると店長が一言。


『お前達なら金貨2枚で売ってやるぞ』


と値下げしてくれた。


「よし、買った!」


『え、え? ご、ご主人様? 本当に宜しいのですか?』


アイラが驚いているが、俺とアイラの2人パーティーにおいてアイラの戦闘力強化は必須だからね。

なので二つ返事で即答した。


「もちろんだよ。アイラが強くなるのは大事なことだしね」


後は大銀貨2~3枚で俺の武器が買えれば良いかな。

陳列されている武器を順番に眺めていると黒い刀があった。

刀はその1本だけだ。


『お、その武器が気になるのか? それは刀という武器でな。この辺りでは非常に珍しいんだが使い勝手が特殊で売れねぇんだよ。銀貨5枚でいいんだけどな・・・』


店長が言うには、この黒い刀は【村正】と言い、使っているとどんどん魔力が吸い取られるらしい。

まさしくゲームに出てくるような妖刀だ。


普通の人には厳しいかも知れないが俺には問題無いな。

何故なら【無限魔力】があるからだ。


しかも黒い刀かぁ。

格好いいよなぁ。

俺の中二病心が疼くなぁ。


これは買うべしと言っている。

銀貨5枚なら安いよな。


「よし、買ったぁ!」

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