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0104:暗殺されかけた


俺達を尾行してきた連中のうち3人だけ捕まえることが出来た。

その3人は両手は後ろに縛られている。

捕まえた3人は仏頂面していた。


というか仏頂面したいのは俺達のほうなんだけどな。


「さてと、何で俺達の後をつけていたんだ?」


もちろん普通に答えるとは思っていないが、やはり黙ったままだ。


「なぁ、黙ったままだと痛い目に合わせないといけなくなるけど?」


とは言っても拷問は出来る限りないしたくないんだよな。


『ねぇ、あんた達。早く喋ったほうが良いよ。旦那様は虐めるのが大好きだからね』


ちょっと待ってくれ。

何て人聞きの悪いことを言うのかな?

そんなに虐めるのは好きじゃないぞ。


『くそっ、どんなに痛め付けられても何も喋らんぞ!』


なるほど、拷問では口を割らないようだ。

なら、ちょうど良いな。

ちょっと試してみたいスキルがあった。


そのスキルとは【呪縛支援Ⅱ】だ。


【呪縛支援Ⅱ】

被術者に命令することが出来る。

被術者はその命令を拒否すると体内が焼かれたような痛みを受けるが死ぬ寸前で回復する。


「もう一度だけ聞くぞ。なんで俺達に後を付けて来たんだ?」


『くどいぞ! 何度聞かれても答えるつもりは無い!』


捕まえた1人に向かって支援を発動した。


「分かった。では呪縛支援発動、俺の質問に答えよ」


すると支援を受けた男の身体が一瞬赤く光り、同時に俺は大量の魔力が吸い取られた。

かなりの魔力を一気に吸い取られたため頭がクラクラする。


このスキルの魔力消費量は半端無いな。

いくら無限魔力を持っていても洒落にならないな。


『な、お、俺に何をしたんだ?』


「さぁ? それよりも続きだ。なんで俺達の後を付けて来たんだ?」


『さっきから何度も言ってるだろ! 何度も聞かれ・・・ぐっ、なんだ? か、身体の中が熱くなって・・・ぐぁ、あ、あ、熱い・・・た、助けてくれ・・・』


両手を後ろに縛られていた男はもがき苦しんでいる。

どうやら気を失ったようだがちゃんと生きていた。

残りの2人は何が起きたのか分からず、ただ驚いているだけだった。


とりあえず、気絶した男を叩き起こした。


『ぐっ、はぁはぁ、い、一体何が起こったのだ? 俺は身体を焼かれて死んだので無かったのか?』


「俺の質問にちゃんと答えないと今のがずっと続くことになるぞ。とりあえず死ぬことはないから安心してくれ」


すると俺の後ろでアイラ達はヒソヒソと話をしていた。


『ねぇ、どこに安心材料があるの?』

『いや、私に聞かないでよ』

『不安材料しか無いように聞こえたわね』


いや、身体が焼かれても死ぬことは無いんだから安心じゃないのかな?

今はアイラ達の話は無視することにした。


「さてと、続けるとしようか」


『ま、待て! 待ってくれ! 話すから・・・』


「何で俺達の後を付けて来たんだ?」


『ノ、ノブヤス様のご命令だ・・・お前達全員を暗殺しろ・・・とのな』


「それってナギサも含めてか?」


『誰かを対象外とは言われていない。お前達全員とだけ言われている』


何となく分かっていたがやはりノブヤスが背後にいた。


「一度決闘に負けたから表立って行動出来ないから暗殺を仕掛けたということか」


何とも情けない話だ。

しかもナギサまで暗殺しようとしている。


『くっ、武士の風上にもおけぬ。レックス殿、私は今からノブヤスを斬り倒してくる!』


ナギサはかなり怒っているようだ。


「ナギサ、ちょっと待って。俺達も一緒に行くよ」


『レックス殿、良いのですか? 下手したら犯罪者になりますよ?』


「そうは言ってもナギサだけ犯罪者にするわけにはいかないだろ?」


アイラ達も頷いている。


『し、しかし・・・』


ナギサは少し渋っているがナギサ1人で行かせるわけにはいかない。

それに俺に少し考えがある。


「とりあえず、ノブヤスのところには全員で行くぞ」


そして呪縛支援をかけた男に話しかけた。


「俺達をノブヤスがいる場所まで案内しろ。そこでお前を解放してやる」


『ほ、本当に解放してくれるんだろうな?』


「もちろんだ。心配するな」


他の2人は動けないように縛り上げて、ノブヤスのところに向かった。

向かった先は古ぼけた神社だった。


「ここにノブヤスがいるんだな?」


呪縛支援が効いているので嘘はつけないはずであるが念のため確認してみた。


『あぁ、ノブヤス様はここにいる』


「分かった。約束通りお前はここで解放してやる」


『た、助かった・・・俺は逃げるぜ』


そう言うと男は走って逃げ出した。

男の姿が見えなくなったのを確認して神社の中に入っていくと社務所と思われる建物から灯りが見えた。


建物の周辺には見張りと思われる人影も見えた。


「あの男の言った通りだな」


『そりゃあ、あんな目に遭ったらさすがに嘘は言わないと思うよ、旦那様』


「そんなに酷いことはしてないだろ? 絶対に死なないし・・・」


『いやいや、おかしいでしょ? 生きたまま焼かれちゃうんだよ?』


そう言われるとちょっと酷いかも知れないと思えてくるな。


「まぁ、それはいいとして・・・まずはあの見張りをどうするかだな」


『えぇ、それでいいの?』


『ご主人様、隠密スキルで近付いて一気に倒すしか無いですよ』


他に良い方法は無さそうだ。

なのでアイラの提案を実行することに決まった。


全員に隠密スキルを発動してゆっくりと進んだ。

幸いにも夜であったため見張りに気付かれずに社務所のすぐそばにたどり着いた。


「まだ気付かれていないよな?」


『はい、ご主人様』


見張りは二人だ。

あとは建物の中に何人いるかだな。


「建物の中にいる人数は分かるか?」


『おそらくは12~3人かと』


建物の中にいる人間に気付かれず見張りを倒せば不意討ちが出来る。

そうなれば倒せない人数じゃないな。


『ご主人様、まずは私が行きます。もし撃ち漏らしがあったらお願いします』


「分かった、頼むぞ」


アイラはコクンと頷くと駆け出して、あっという間に見張りの二人を倒した。

さすがに殺さずに気絶させただけだった。


気絶させた二人を縛り上げて建物の中の様子を伺ったが人が起きているのは確実だ。

人の声はするのだが聞き取れない。


「ここは一気に突入するしかないな」


作戦をざっくりと決めて実行に移った。

まずはボロくなっていた扉を俺が蹴り壊した。


『なんだ? 敵襲か?』

『全員、敵襲に備えろ!』


突然の襲撃にノブヤス軍団は慌てていた。

そこにシェリーがファイアボールを放った。


『う、うわぁ、火だ、火を消せ!』

『駄目だ、外に逃げろー!』


火魔法に我を忘れた連中が出入口に殺到してきた。

そこにサーシャが魔弓を放った。

もちろん足元を狙ってだ。


『ぐぁ? く、糞っ! 弓矢か!』

『い、いってぇー! 糞がぁ!』


何とか社務所から出てきた連中は入口の左右で待ち構えていたアイラとナギサが叩き潰していった。


『貴様らー! 卑怯だぞ! 正々堂々と勝負しないのか!』


ノブヤスが出てきた。

しかし、何故か俺達のことを卑怯者扱いだ。


「自分達は暗殺しようとしてきたのにか? ひょっとしてお前は馬鹿なのか?」


ノブヤスは顔を真っ赤にして怒鳴り散らしてきた。


『う、うるさい! 黙れ! 黙れ!!』


このノブヤスという男は本当に馬鹿なのかも知れないな。

ナギサはこんな男と結婚させられる予定だったのか。


とりあえずノブヤスの取り巻きは全員ダウンしている。

もはやノブヤスを守る人間はいない。


「さてと、お前はどうするんだ? ノブヤス」


『黙れ平民が! 俺はハタモトだぞ! 偉そうな口を聞くな!』


ノブヤスは開き直ったようであり、今度は身分の差で何とかしようとしている。


「・・・お前は馬鹿なのか? 俺達はこの国の人間じゃないぞ? お前が仕掛けてきたのをやり返しただけだしな」


俺達は冒険者ギルドに属している。


そして冒険者ギルドは国から独立した機関であり、もしある国が冒険者ギルドに対して不当に介入した場合、ギルドはその国から撤退することがありえる。


そうなった場合、その国は自分達だけでモンスターに対応しないといけなくなる。


「この件はギルドに報告させてもらうからな。特にお前は身分を盾にして俺達を暗殺しようとしたんだしな」


『ぐっ、くっそおぉぉぉ!』


ノブヤスが叫び声をあげて、刀を持って俺に向かって来た。

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