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0103:尾行された


うどん粉も無事に購入出来たのでサーシャも満足していた。


ふと見ると雑貨屋の近くに水茶屋があった。

テレビの時代劇ものでよく見る休憩所だ。


「ちょっと、あそこに行ってみるか」


そう言って水茶屋に向かった。

店の前には長椅子があり当然長椅子に座った。


すると着物を着た女性がお茶を持ってきた。


『何にしますか?』


お品書きと書かれたメニューを手渡された。

そこには団子、饅頭等が書かれていた。


「へぇ、団子や饅頭もあるのか」


『ねぇ、レックス。団子とか饅頭って何なの? 食べ物なの?』


「団子や饅頭はお菓子だな」


さすがに肉うどんを食べたばかりなのでもう腹には入らないと思っていたが、アイラ達が団子と饅頭を食べてみたいと言い出した。


どうやらアイラ達にとってはお菓子も別腹のようだった。


本来ならお腹を壊すからと言って止めるべきなんだろうが、よく考えてみたら普通に食べられそうだよな。


そして案の定、団子と饅頭を平らげた。


『この団子と饅頭も美味しかったね、旦那様』


とりあえず、腹も満足したのでギルドに寄ってみることにした。

和の国ならではの依頼があったりするかもしれない。


「ここが和の国のギルドかぁ・・・」


さすがは和の国だ。

ギルドの建物も外見は和風の木造建築物だった。


しかし、中に入ってみると普通のギルドの中と同じだった。

出来れば内装も外見と合わせて和風にして欲しかったな。


ギルドに来たついでに来る途中で討伐したモンスターの魔石やドロップアイテムを買い取りしてもらうことにした。


受付カウンターに並ぶと着物を着ていた受付嬢がいた。


「すみません、買い取りをお願いします」


カウンターに魔石やドロップアイテムを置いた。

受付嬢が確認している間に依頼ボードに貼られている依頼書をチェックしてみた。


低ランクの依頼はゴブリン退治等であった。


「この辺りはどこのギルドでも同じなんだな」


『まぁ、ゴブリンはどこにでもいますよ、ご主人様』


さすがはゴブリンだな。

どんな場所でも生息出来るみたいだ。

他の依頼書も見てみたが特に目を引く依頼は無さそうだった。


『レックス殿、温泉に行ってみませんか?』


ナギサからの提案だ。

温泉か、いいな。

是非とも温泉に行ってみたいな。


「そうだな。査定が終わったら温泉に行ってみるか」


『マスター、温泉ってなんじゃ?』


アイラ達に温泉とは何かを簡単に説明した。

要するに自然のお風呂だ、という説明で納得してくれた。


『レックスさ~ん、査定が終わりましたよ』


ちょうど査定が完了したようだ。

カウンターに行き、報酬を受け取り受付嬢に温泉の場所に聞いてギルドをあとにした。


温泉に向かう途中でナギサから、和の国にある全ての町は温泉が出るところに作られているとのことだ。


そう聞くと一つ疑問が出てきたので聞いてみた。


「それって温泉が枯渇したらどうするんだ?」


『もちろん、新しい町に移動しますよ』


とのことだった。

ナギサは、そんなの当たり前じゃないですか、という顔をしていた。


和の国の人達って凄いな・・・


それはさておき、温泉に到着した。

温泉の入口は銭湯のようだった。

入口はどうでも良いのだが、入口から先が問題だった。


「・・・なぁ、なんで混浴と貸し切りしか無いんだ?」


『和の国の初代ショーグンが決めたと聞いていますよ、レックス殿。それに混浴が普通なのでは?』


「いや、普通じゃないだろ? 全員裸で入るんだろ?」


『え? 裸じゃないですよ?』


え? 裸じゃないのか? 風呂に入るのに?

そう考えていると驚きの答えが返ってきた。


『お風呂には布を巻いて入るんですよ。さすがに裸では入りませんよ? どうしても裸がいいという人は貸し切り風呂に入りますけど』


「そ、そうだよね・・・そりゃあね・・・」


『・・・旦那様、何かスケベなことを考えていましたよね?』


「い、いや、そんなことは考えていないよ」


どうやら温泉の入り方が俺の知っている入り方とは少し違ったようだ。

よく考えてみれば俺の知っている知識が全てであるというのは間違っているよな。


しかし、布を巻いているとしてもアイラ達を他の男達の目に入れたく無いな。


「それじゃあ、貸し切りにするか」


『裸のほうを選ぶなんて、レックスはやっぱりスケベよね』


「いやいや、そうじゃないんだよ・・・」


これ以上説明しても多分聞き入れてくれないだろうな。

まぁ、アイラ達の裸を見たいのも事実だしな。


とりあえず、貸し切り温泉のほうに向かった。

そして驚いた・・・


「狭いねぇ・・・」


『そりゃあ、貸し切りだからじゃないですか? 旦那様・・・』


何とか6人入ることは出来そうではあるがかなり窮屈になりそうだ。

アイラ達と密着出来ると思えば良いことなんだが。


「まずは温泉に入ろうか?」


全員、服を脱いだ。

まずは俺がアイラ達を隅々まで丁寧に洗った。

次はアイラ達が俺を洗う。


そして全員で温泉の中に入った。

6人全員が何とか入れたが全員で体育座りだ。

温泉自体は癒される感じがして気持ちいいのだが身体が伸ばせないのが難点だった。


「やっぱり狭いな・・・」


『それは仕方がないですよ、ご主人様』

『でも気持ちが良いよね』

『癒されるのじゃ』

『肌がスベスベになっていく感じがするわね』

『やっぱり温泉が一番ですよね』


しばらく温泉を満喫して銭湯の入口に戻ると、あることに気が付いた。

銭湯の入口に店があり、そこに【氷】の文字が書かれていた。


「あれはひょっとしたら、かき氷なのか?」


『レックス殿、よく知っていますね』


温泉でかなり汗をかいたのでちょうど冷たいものが欲しかった。


そう思っていたところに目の前でかき氷が売られていた。

これはかき氷を買うしかないよな。


「おっちゃん、かき氷を6つくれ」


『あいよ、6つで銅貨2枚になるぞ』


特にぼったくり価格じゃなかった。

しかもかき氷の量がかなり多い。


おっちゃんから受け取ったかき氷には何か甘酸っぱい香りがする果汁のような物がかかっていた。


そのかき氷を一口食べてみると甘味が口一杯に広がった。


「これは美味しいな!」

『『お、美味しいです!!』』


『はははは、だろう。とくに温泉の後には最高なはずだ。甘口蜜柑の果汁はかき氷によく合うからな』


おっちゃんが嬉しそうに説明してくれた。

確かに甘口蜜柑の果汁はかき氷にぴったりだった。


いつの間にかすっかり夜になっていた。

温泉もかき氷もアイラ達の裸も満喫したのでキャンプ場に戻ることにした。


キャンプ場への帰り道の途中でアイラが異変に気が付いた。


『ご主人様、何者かが後をつけてきています』


「・・・何人いるか分かるか?」


『・・・ざっと20人ほどかと』


20人は結構厳しいな。

しかし、このままキャンプ場まで行くのも難しそうだ。


まだ通りには人の往来があるので襲い掛かってくる気配は無いが、人がいなくなったらどうなるか分からない。


一番良いのはギルドに逃げ込むことだがギルドは逆方向になる。

そうなると狭い路地に入って迎え撃つのも1つの手かもしれない。


「どうする? いっそのこと迎え撃つか?」


『その方が良いかもしれないですね、ご主人様。おそらくはそれほど強くないと思われますので』


アイラ曰く、気配が駄々漏れするような連中は大した実力が無いとのことだ。


という事で、狭い路地の中に入った。

普通に考えれば俺達が誘っていることが分かるはずだ。

なので引き返してくれるならそれでも構わない。


ある程度、狭い路地を進んだところで武器を取り出して戦闘準備をした。

もちろん支援も発動済みだ。


「あちゃー、やって来ちゃったか・・・」


俺達を尾行していた連中がやって来た。


『な? く、くそっ、こちらの尾行に気が付いていやがったのか!』


既にこちらが戦闘準備をしていることに若干驚いているようだ。


「っていうことは、やはり俺達を尾行していたのか。何のために俺達を尾行してたんだ?」


『この糞ガキが! そんなことを言うはずが無いだろ!』


確かにそうだよな。

言われてみればその通りだよな。


「じゃあ、俺達と戦うんだよな?」


『ちっ、引け! ここは一旦引くぞ!』


俺達の後を付けて来た連中が一斉に逃げ始めた。


「くそっ、逃がすか! 追うぞ!」


俺達は逃げ出した連中を追いかけた。

もちろん全員捕まえるのは無理だが数人は捕まえられるはずだ。


路地から抜け出した連中がバラバラに散り始めた。

全員が捕まらないようにするためだろうな。


「仕方がない、二人一組になって追うぞ!」

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