賞賛された。そして両親が土下座した
「あなたはダンジョンができてからそれを攻略するまでの過程をわずか十二時間でこなしました!これは大変名誉なことです!よって実際に使える盾を送呈いたします!」
そう言われて俺は精霊から盾を受け取った。
「あの…あなたは何者なのでしょうか…」
「私はダンジョン神直属の精霊です!ダンジョンに関する何らかの記録が更新されたときにそれを賞賛するためにあらわれます!」
そう言って精霊は誰かを招くようなしぐさをした。
すると、どこかの茂みに隠れていたであろういろんな局のアナウンサーやカメラマンがあらわれた。
「さて、人間の皆さん、いまからこの素晴らしき少年を取材しちゃってください!」
そう言って精霊は消えていった。
「ダンジョン初挑戦って本当ですか?!」
「スキルの詳細について教えてください!」
「六賢者についてどう思いますか?!」
俺に質問を浴びせまくるアナウンサーたち。
俺がなるべく多くの質問に答えようと頑張った。
俺が全ての質問に答えたころにはすでに朝が終わろうとしていた。
俺はひとまず幼馴染の家に帰りたかったが、それを我慢して例の妖しい鉱石を換金するべくギルドセンターへ向かった。
ガイドブックいわく、ダンジョンから出た鉱石はギルドセンターではないと換金できないらしい。
「ようこそ、ギルドセンターへ!あ、おめでとうございます!」
ギルドセンターに入るなり、俺は祝福された。
どうやらここの精霊たちも何らかの方法で俺が記録を更新したことを知っていたようだ。
「すみません、これらの鉱石を換金してください」
そう言って俺は異空間から3っつの鉱石が入った箱を取り出した。
そして、センターの鑑定専門の精霊に見てもらった。
「こ、これはいわゆるオリハルコンってやつですね…3つ合わせて300万円となります」
精霊の口から言い放たれた額はこの間まで学生だった俺からは想像もつかないようなものであった。
「こちら、換金額の300万円となります」
そう言われて俺は万札の束を渡された。
俺はとられないようにと異空間に早速しまった。
こうして、俺はようやく家に着いた。
「すごいじゃないかコウ!」
「今日はごちそうね!」
そう言ってベニの両親は喜んでくれた。
それから、俺は上に上がってベニに会った。
「…おめでとう」
そう言ってベニは行く前のように頭を撫でてくれた。
それから俺はベニと共に下に降り、どんな冒険したのか語ることになった。
話が巨大ニワトリを怒らせてしまったところに来た頃、誰かが家を訪ねてきた。
俺が玄関に出てみると、そこには俺を追い出したはずの両親がいた。
両親は俺を見るなり土下座をした。
「すまない!あんなことを言ってしまって!お前は立派だ!今すぐ家に帰ってくれ!」
「ごめんなさい!あの時はあんなことを言ってしまって!」
俺はそれを見て寒気がした。
人間はちょっとしたきっかけですぐに態度を変えるのだと。
「もっと早く言ってほしかった…」
俺はそう言った。
「父さんや母さんは俺が退学になった時、俺を捨てた。なのに、俺に価値があるとわかった途端に急に態度を変えた。父さんと母さんは本当に俺を愛しているの?」
両親はそれを聞いて何も言わなくなった。
そして、ただ一言こう言った。
「ごめんな、こんな器の小さい親で…それでも、もう一度父さんたちを愛してくれるかい」
俺はしばらく何も言わなかった。
そして、ただ一言こう言った。
「もう一度も何も、俺はずっと父さんや母さんのことが好きだよ」
両親はそれを聞いて土下座したまますすり泣いていた。
こうして、俺はダンジョン攻略をきっかけに親との確執を解決することができた。
俺は幼馴染の家から、両親が待つ家に帰った。
***
「…クソッ!!なんで吸血鬼風情があんなにもてはやされて!!!」
テレビをでコウの姿を見ていた中年の男が思いっきりリモコンを地面にたたきつける。
リモコンがその衝撃で壊れた。
男の名は悪田魔蔵。
A高校の理事長であると同時にタクアコーポーレーションの社長である。
その上、吸血鬼差別主義者である。
「なんでだ!なんでだ!吸血鬼なんて劣等種だ!人間は24時間もフルスペック働けるのにあいつらは夜しか全力で働けない!なのに給料は人間と同じくらい貰っている!この国の財政は吸血鬼によって破綻した!間違いない!それこそが真実だ!」
悪田はウソ同然の情報であっても、自分の都合のいい情報は信じていた。
そのため、この世の悪いことはすべて吸血鬼が原因だと思っている。
「耐日光薬のために1万人近くが犠牲になった!耐日光薬を作っている工場から日本の二酸化炭素の20パーセントが出ている!耐日光薬を作っている工場員は不治の病にかかってしまった!全部吸血鬼が社会参加なんてしようとしたせいだ!」
無論、これらもすべてネットで出回ったデマである。
「チクショウ!!!人間こそがこの世の支配者だ!!」
そう言ってから悪田はリモコンが壊れていることに気付き、吸血鬼への怒りを新たにするのであった。
本日の投稿はこれでおしまい!
そして第一章終了!
明日は16:00過ぎに投稿します!
もちろん三連!