自作物が大活躍した
さて、第二層に来たが、第一層と雰囲気が全く変わっていない。
石でできた床と壁が続くだけの一本道である。
ガイドブックいわく、C級ダンジョンは半数の構造が一直線らしいので、この先もずっとこんな感じなのだろう。
「これをまたひたすら歩くのか…」
そう思ってうんざりした俺は、異空間に入ってとある物を作ることにした。
俺はあの乗り物を出現させるイメージをして、それを実際にやってみる。
すると、それは見事に本物同様にあらわれた。
俺は自転車を作った。
「さて、乗るか」
そう言って俺は自転車にひょいと乗り、一直線のダンジョンを進んでいった。
道中のモンスターを轢き殺しつつ、俺はひたすらにこぎ続けた。
そして、五分足らずで例の文章が書いてある部屋まで行った。
俺は自転車を異空間にしまってから、文章を見ることにした。
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鳥を語れば七色に光る。
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これまた意味不明である。
しかし、前層の二文となんとなくつながっている気がした。
~鳥を語るな~
~七色の光は陽の光~
俺はもしやと思い、3文をとある順番で復唱してみた。
「鳥を語るな。鳥を語れば七色に光る。七色の光は陽の光…」
間違いない。この三文は繋がっている。
しかし、この怪文書がどうボスと関わっているのかはわからずじまいであった。
俺はまた自転車でダンジョンを駆けるのも芸がないと思い、別のものを異空間で作ることにした。
それも、見たことのないものを作るという初の試みであった。
俺は、ダウジング棒をイメージした。
宝物に近づくと震える二本の棒をイメージした。
そして、それを実際に具現化させようとした。
二本のダウジング棒が地面にあらわれた。
俺はツルハシも作ってから異次元を出ると、自分の制作物を信じてダウジング棒を持ったまま進んでいくことにした。
というかこれ、人に見られていたらめちゃくちゃ恥ずかしかっただろうな…
道中、スライムがあらわれたが、ダウジング棒で思いっきり叩くと倒すことができた。
吸血鬼の身体能力の高さには助かってばっかりである。
しばらく歩いていると、ダウジング棒が心なしか震え始めた。
どうやら震えるという点では作るのに成功したようだ。
さらに進むと、さらに震てくる。
俺は慎重に進んで、震えが最大級になる地点を探った。
そして、その地点の下をツルハシでひたすら掘り進めていく。
スライムに体当たりされようとお構いなしだ。
そうして掘っていくうちに、ギルドセンターで見た最新注射器の針先と同じ妖しい輝きを放つ手のひらサイズの鉱石が出てきた。
「いや、間違いなくあの注射器この鉱石から作られただろ…」
俺は、高く売れそうなそれを収納用の箱をわざわざ作った上で異空間に置いた。
どうやらダウジング棒は本当に思った通りの効果を発揮したようである。
そうこうしているうちに俺はまた例の文章がある部屋についた。
今度の文章はこれまでに比べてやや分かりやすかった。
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迷宮の主、鳥という言葉を嫌い七色に光る
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迷宮の主とはこのダンジョンのボスのことであろう。
つまり、このダンジョンのボスは「鳥」という言葉を嫌い、万が一言うと七色に光るのだろう。
まったくもって意味が分からん。
俺は謎ときを放棄して先へ進んだ。
その後もダウジング棒は何階か反応し、そのたびに妖しく光る鉱石を手に入れた。
武器精製に重宝されていることは何となく予想がつくため、帰ってから換金するのが楽しみである。
俺は宝堀りを楽しんだのち、ついに三層への階段についた。
「次で終わるんだな…」
俺は覚悟を決めて階段を降りていった。
三層目はこれまでに比べどことなく厳粛な雰囲気が漂っていた。
俺はそれを感じつつ、一本道を進んでいった。
すると、5分もしないうちに3メートルほどある扉の前についた。
よく見たら近くに「この先ボス」と書かれている。
いちいち親切なダンジョンである。
俺はボス戦に向けて準備をするべく、異空間に入った。
俺は早速ギルドでもらった洋風の剣よりいい剣を作ることにした。
博物館でさんざん見てきた日本刀よりもギルドの剣を強くイメージしながら両手からビームを放ち、剣を構成していくと、俺の願い通りRPGの中盤とかで手に入りそうな見た目の剣が出来上がった。
次に、おとり用のドローンを20機ほど作った。
ちなみにエアガン搭載でカラーリングはえんじ色である。
そして、俺の思った通りに動くようになっている。
最後に、紙を生成して、万が一ボス戦で亡くなった時のために遺書を書いておいた。
これで準備は完璧である。
俺は異空間から20機のドローンと共に出た後、遺書を近くに置いてから巨大な扉を開けた。
本日も3回連続更新だ!
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そしてひとつお願いだ。
今、私が住んでいる街では「青い星」が不足している。
なので私に青い星を分け与えてください!(遠回しにお願いするスタイル)