挑め人生初ダンジョン
俺は、ついさっきあらわれたばかりのダンジョンの前に来た。
ちなみにこのダンジョン、もともとは音楽ホールだったため、入り口になっている建物の図体がデカい。
ガイドブックいわく、生成時から入り口には難易度や一発型か無限型かといったことが書かれているそうなので、さっそく確認することにしてみた。
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トリキンシダンジョン
難易度:C
一発型
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冒険者適正はその人が入るのに適切な難易度のダンジョンのランクと同じランクになるらしい。
つまり、このダンジョンは俺にとってはめちゃくちゃ易しいということだ。
しかし、初めてのダンジョンなので気を抜かないようにしていこう。
俺はさっき作った甲冑を装備した後、入り口の穴に入り、暗い階段をひたすらに下っていった。
すると、地下一階に相当するであろうところに出た。
ガイドブックではダンジョン攻略にはLEDライトが必要と書かれていたが、吸血鬼は夜目が効くため必要なかった。
まあ、必要になった時は異空間で作ればよい話だが。
一本道をしばらく歩いていくと、ゼリーみたいな生命体に出くわした。
いわゆるスライムっていうやつだろう。
体当たりを何度もされたが、甲冑と吸血鬼特有の丈夫さのおかげでほとんどダメージはなかった。
俺は特に苦労もせずにスライムを倒した。
その後も分岐点のない道を進んでいくとスライムやらややデカいコウモリやらがあらわれたが、だいたい一撃で倒した。
冒険者の姿は見えなかった。
おそらくまだ攻略のための下準備をしているのであろう。
そうしていくうちに、何やら文章が書かれた部屋にたどり着いた。
俺は周りに敵がいないことを確認したうえで文章を読んでみることにした。
そこにはこう書いてあった。
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鳥を語るな
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俺はその言葉の意味を理解することができなかった。
ガイドブックによればダンジョンに書かれている文章はそこのボスの性質を表しているらしいが、その記述を見てもよく理解できなかった。
結局俺は謎を抱えたままその部屋を出た。
そして、引き続き剣で現れるモンスターを倒していった。
倒されたモンスターの中には草が入った小袋を落とす個体もいた。
ガイドブックいわく、それは薬草というものらしく、飲んだらだいたいの傷は回復するらしい。
まあ、吸血鬼の俺には要らないものなので、異空間に放り込んでおいたが。
そして、再び俺は文章が書かれた部屋に入った。
そこにはこう書かれていた。
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七色の光は陽の光
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陽の光。
その言葉を見て俺は一瞬こわばった。
吸血鬼がこの世で唯一恐れなくてはいけないもの。
薬を飲んでも完全には克服できないもの。
我々吸血鬼にとって陽とはマイナスイメージしかない言葉であった。
しばらくしてから俺はその部屋を出た。
にしてもこのダンジョンは何階あるのだろうか。
俺はダンジョンの階層数について調べるべくガイドブックを開く。
ところで、先ほどから何度も頼っているガイドブックだが、これ実はめちゃくちゃ重い。
なんせ高校の英和辞典くらい分厚い。
ページに至っては千を超える。
そのため、普段は異空間にしまっている。
こんなもの抱えて戦闘なんぞ出来ないからだ。
ガイドブックにはこう書かれていた。
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ダンジョンの階層数はそのダンジョンの難易度でだいたいわかります。
C級の場合はおおよそ3層
B級の場合はおおよそ5層
A級の場合はおおよそ7層
S級の場合はそれ以上
となっております。
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ガイドブックはわりと簡潔な文体で書かれているのである。
「なるほど…」
そう言って俺はガイドブックを異空間に閉まった。
その後、俺は一本調子の道をずんずんと進んでいき、ついに地下二階に繋がる階段を見つけた。
ダンジョンに入ってから一時間が経っていた。
俺はなんの迷いもなく階段を下って行った。
本日の投稿はこれで最後です!
でも、明日も3本投稿するから安心してください!
明日の16:00過ぎに一本目投稿します!