俺だけの異次元
今から数年前のことだ。
東京湾にダンジョン神と名乗る神様が降臨した。
そして、こう言ったのだ。
「最近、この地上の者たちはつまらなそうな顔をして毎日を過ごしている。そこで、我は君たちにダンジョンやステータス等の心が躍るような物をプレゼントしようと思う」
その直後、各地方ダンジョンが一つずつ出現した。
「ダンジョンはあらかじめ各県ごとに一人づつ任命したダンジョンクリエイターによって、毎月増やされることになっている。ダンジョンクリエイターたちよ、試しに今ダンジョンを一つ作ってみろ」
その直後、各県にダンジョンが一瞬のうちに出現した。
それからダンジョン神は人々がとあることに気付くまで黙っていた。
人々がダンジョンはダンジョンはもともと何らかの施設があったところに出きていることに気が付くと、ようやく彼は再び口を開けた。
「ダンジョンには、一回最下層のボスを倒すと無くなる『一発型』と何回ボスを倒しても無くならない『無限型』の二タイプある。もし、ダンジョンを元の施設に戻したいのであれば、ボスに挑んでみるといいぞ。ただし、無限型になっていたらもう戻らないがな」
そう言われてさっさくダンジョンに入ろうとする人が全国各地にあらわれた。
しかし、いずれも透明な壁に阻まれた。
「そうそう、ダンジョンに入るには今から君たちに贈る『ギルドセンター』という施設で『冒険者カード』を発行しないといけないぞ」
そう神が言った後、全国各地にギルドセンターが出現した。
「さて、スキルとかの説明はギルドセンターにいる精霊職員に聞いてみるといい。では、さらばだ」
そう言ってダンジョン神は天界へと帰っていったのであった。
さて、そんなこんなで俺はそのギルドセンターに足を運んだ。
現在時刻は九時だが、未成年吸血鬼の深夜徘徊は法律で許されている(あるいは吸血鬼を法律で守る気がないだけなのかもしれない)ので問題ない。
ギルドセンターは市役所のような作りになっており、24時間営業である。
働いてる職員たちは人の形をしているものの、人とは全く違う気配を感じた。
俺は受付の精霊に「冒険者カード」の発行を申請した。
「それでは、10分でお作りいたしますね」
そう言った後、精霊は注射器を取り出した。
「今から採血してステータスを解析します」
そう言って精霊は何の下準備も無しに注射器を腕にぶっ刺そうとした。
しかし、俺の皮膚の再生能力が高くて注射器が弾き返されてしまった。
「困りましたね…では、今度はこの最新式の注射器で採血しますね」
そう言って今度は針先が妖しく光る謎の素材でできた注射器が俺の腕に刺さった。
今度は皮膚の再生能力に阻害されることもなく、無事に採血できた。
しばらくすると、診断結果が書かれた紙を渡された。
そこには、こう書かれていた。
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冒険者適正ランク S
スキル 我次元
スキル説明:自分だけの異次元を所有でき、その中ではなんでも作ることができる。
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「あの…いろいろ聞きたいことがあるのですが、いきなりSってどういうことですか」
「吸血鬼は基本的にもともとの能力が高いということもあって、初めから高ランクだったりするのですが、いきなりSはかなり稀なんですよね…というか前例が人間で一件あっただけで…」
職員さん曰く、俺は吸血鬼の中でもかなりダンジョン攻略向きということらしい。
そして、吸血鬼は人間に比べてダンジョン攻略者としての素質があるらしい。
「それで、このスキルというのは…」
「さあ…これまた前例のないスキルですので、使ってみないとわかりませんね…まあ、だいたい感覚でいけますよ」
そう言われたので、俺は早速「自分だけの異次元に繋がる入り口」をイメージして実際に出現させてみようとした。
見事に光る入り口が現れた。
俺は恐る恐る中に入ってみた。
ほのかに明るい大地が広がっていたが日光とは別種の光であった。
俺はそのことにひとまず安心し、なんでも作れるかどうか試すべく今日追い出されたばかりの自宅を生成するイメージをし、実際に試してみようとした。
俺が心の中で作りたいものを思い浮かべると、両手からレーザーが出始める。
それらは3Dプリンターのごとく資材を重ねていき、次第に家の形が出来上がってく。
こうして、等身大そのままの自宅が出来上がった。
俺はそのことに楽しさを覚え、次々にいろいろな物を生成した。
昔なくしたオモチャ。
旅先で落とした財布。
持っていてとくに意味はないがもう一台のスマホ。
楽しすぎて二時間その空間で遊んでいた。
ようやく異空間から出ると、職員さんから「手続きの途中なのに長時間遊ぶな」と諫められた。
そして、ついに冒険者カードを貰った。
ついでに、「お役立ちブック」と書かれた本と剣を貰った。
俺はギルドセンターを出た後、早速異空間に入り、センターで貰えなかった鎧を自分で作ることにした。
本当は西洋の鎧を作りたかったのだが、日本の鎧の方が圧倒的に実物を見た回数が多すぎたせいで、そっちにイメージが偏ってしまい結果的に武士が着るようなえんじ色の甲冑が出来上がってしまった。
鎧制作後、俺は剣と鎧を異空間にしまってからダンジョンへと行くことにした。
歯医者帰りに放つ第二話!
本日最後の第三話は20:00過ぎに投稿予定です!
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