006
予約投稿忘れていました。できる限り気をつけます。
エインリッヒの案内の下、僕たちはアテルマが現れたという場所に向かった。
だが、いくら光が届く上の方に行っても、そこには奇妙な顔をした大きな化け物はおらず、バラバラに引きちぎられた人の死体があちこちに転がっているだけだった。
「連れてきたところ悪いが、これなら、別にアテルマ除けを使う必要はないんじゃないか。結局、みんな死んじまった」
項垂れるエインリッヒに、スグリはピシャリとこう言った。
「奴らはわしらの考える通りに動くような生き物じゃないわ。もっと、上の方へ行くぞ。そうでなければ、アテルマにアテルマ除けが効かぬ」
「あぁ、そうかい。死んじまっても文句は言わせねぇぞ」
「どうせ。あともう少しで死ぬ命じゃ。惜しくもなんともないわ」
「お前はついてくるか? まぁ、そんなにゼェゼェ息切らしていたら、たとえついてこれてもあいつらのお菓子になるだけだろうけどな」
「──いや、ついていく」
「そうかい。まぁ、お前が死んでも俺には関係のねぇことだ。いつの間にか消えていても俺は探してやらねぇよ」
「さっさとせい! 早くしないとあやつらに逃げられてしまうぞい」
「へいへい」
しばらく上の方に登ると、天井に大きな穴が等間隔に並んでいる場所に出てきた。スグリは鞄の中からたくさんの葉っぱを取り出して、その葉に火をつけた。
「さぁ、燃やすぞい」
「あれ? よく見たら、この葉っぱって……」
「あぁ、お馴染みのあの苦い茶葉さ。いくら、お前が記憶喪失でも喉渇いたらこのお茶を必ず飲むだろ? 俺たちからすれば、ただの茶葉に過ぎねぇが、アテルマにとっては毒なんだよ。だから、こうして燻してやるのさ」
「ただの茶葉なら、持っているんじゃ……」
「アテルマに効く葉っぱっていうのはそんなにねぇんだよ。こんな痩せた土地じゃほとんどハズレになることが多いんだよ。第一、そんな葉っぱを作れるのはそこにいるスグリのじいさんくらいしかいねぇんだよ」
「喋っている暇があるのなら、燃やせ。──おい! リョー! せっかく、ここまで来たんだから働いてもらうぞい」
「「はいはい」」
僕たちは話を切り上げて、スグリから葉っぱをもらうと、その葉を辺り一面にばらまいて、火をつけた。
その火の煙はモクモクと大きな穴の方に飛んでいった。
すると、突然、上から大きな呻き声が聞こえてきた。
「これがアテルマの声、なのか?」
「そうじゃ。どうやら、効いているようじゃな。良かった。良かった」
「ちんたらしていないでさっさとここから離れるぞ! いくら俺たちにアテルマ除けが効かないとはいえ、火に炙られた死んじまうよ」
「そうじゃのう。さっさとここから逃げなければならんわい」
「えっ、まさか、この急な下り坂を駆け降りるんですか?」
「そうじゃなければ、いったいどうやって帰るのか?」
「まぁ、俺からすればどちらでもいいけどな。アテルマのお菓子にでもなんでもなればいいじゃねぇか」
既にかなり下まで降りていた二人にそう言われてしまった僕は深呼吸してから、慎重に降りることにした。
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「あぁ、死ぬかと思った」
無事に下ることができてほっとしていると、エインリッヒに笑われた。
「これで死んでいたら、アテルマに捕まるよりも滑稽なことだわ」
「そんなこと言わないでくれませんか!? あんな急な下り坂を駆け降りたことないんですよ! ほんと、駆け降りるんじゃなくて、駆け落ちるみたいな感じでしたよ」
「駆け落ちるってなんだよ。つまんねぇこと言うんじゃねぇよ」
「じゃあ、どうして笑っているんだよ!」
僕とエインリッヒが言い争っていると、スグリが口を開いた。
「そんなことよりもこれからどうするんじゃ? たぶん、アテルマのやつらもあの穴から餌を落とさんと思うのじゃが」
スグリの指摘にエインリッヒは頷いた。
「──まぁ、そうなるだろうな。これからもっとしんどくなるな。何しろ、穴から探さなくちゃいけないからな」
「これじゃ、わしも働かねばならんかのう」
すると、エインリッヒは大きな声で笑い出した。
「スグリのじいさんが働くのは想像できねぇわ!」
「軽口叩くでない!」
スグリは大笑いするエインリッヒの腰を杖で叩いた。
「いてぇ!」
次回は18時更新予定です。
まだ、8話が完成していないので、8話以降は明日に回します。




