17〜 女王様と仲良くなったが弱みを3個も握られた ~
カゴに野菜ジュースを入れて、俺と女王様は別々のレジに向かい会計をする。
先に会計が終わったので、俺は外に出て自転車の近くで女王様が出てくるのを待っていた。
なんで待っているかって? そりゃ、なんか挨拶もせずに帰るのは変かなと思ったからだよ!
それに、そのまま帰ってもし女王様の機嫌を損ねたらと思うとたまったもんじゃない。
外で待つこと約30秒。女王様が、コンビニから出てきた。
俺が待っているとは思わなかったのか、一瞬目を見開いていた。
「別に待たなくてもよかったのに……」
「いやー……流石に挨拶もせずに帰るのはなんか変かなと思って……。それに、女の子1人でこんな暗い中帰るのは危ないと思うし」
俺が待っていた理由を正直に話すと、返ってきたのは「そう……」という素っ気ない一言だった。
まぁ、その理由以外にも善ポイント貯めたり女王様の好感度を上げたいからだけど……。
それから、俺は自転車を押しながら女王様と一緒に帰り始めた。
どうやら、女王様の家はコンビニから歩いて5分ぐらいの場所だと言う。
どんな家に住んでるんだろーなぁー。やっぱり大きな豪邸とかだったりして……。まぁ、そんな事は無いだろうけど。
「貴方、ここから家遠いんじゃなかった? それも方向も違ったりしたら時間かかっちゃうんじゃない?」
「まぁ、遠いけど自転車だし大丈夫だよ! それに偶然にも方向は一緒だったしね! だから心配いらない!」
俺は嘘をついた。女王様の家の方向と俺の家の方向は若干違った。
じゃあ、何故嘘をついたのかって?
それは、5分くらいこの際あんまり変わらないだろうと思ったからだ!
自転車の漕ぐスピード次第で時間は変わるものだし、少し早く漕げば5分なんてちっぽけな数字だ。
それから、俺達は街灯の光に照らされながら薄暗い道を歩いた。
女王様に体育祭で何回も転んで、保健室の先生に驚かれた事を話すと少しだが「クスッ」と笑ってくれた。
それ以外は特に何もなく、遂に女王様の家に着いた。
女王様の家を見て、俺は思わず立ち尽くした。
えぇー?! フラグ回収してしまった……。まさか、本当に女王様が豪邸に住んでいるなんて思わなかった。
よくよく考えれば、なんか九條って偉そうな人に多い気がする。多分気の所為だけど。
それにしても、こんな所にこんな大きな家があったんて知らなかった……。
俺はあまりの驚きで、開いた口が塞がらなかった。
すると突然隣からカシャっとシャッター音が聴こえてきた。
何事かと思い、隣を向くと女王様がスマホを構えて立っていた。
「えっ?! ちょ! 写真撮ったの?! 消して消して!」
俺が慌てて言うと、そのタイミングでまたシャッター音がする。
「えっ?! 2回目?!」
「貴方のアホ面2枚も撮れたわ……。これで、貴方は私に3個も弱みを握られてしまったわね」
口調はいつものまま。だけれど、凄く愉しそうな声音で……脅された。
「ちょっ! 消して消して! そんなに何個も弱みいらないでしょ!」
慌てて抗議の声を上げて、女王様のスマホを奪おうとジャンプするも、ひょいひょいっと避けられてしまう。
くそぉ……身長高ければ奪えて写真消せたのにぃー!
そんな今すぐには叶いもしない願いを抱いた時には、もう女王様は門を通って逃げて行った。
「送ってくれてありがとう。では、また学校でお会いしましょう。気を付けて帰ってくださいね?」
俺は、弱みを3個も握られた事に不貞腐れながらも、渋々と自転車を漕いで家に帰り始めた。
少し経つと、女王様と仲良くなれた事の方が嬉しくて3個も弱みを握られた事などすぐに忘れてしまった。
薄暗い夜道とは対照的に、俺の気分は仲良くなれた嬉しさで明るかった。




