15〜 楽しい帰りの時間・ご飯を求めて ~
主人公の刀夜視点に戻ります。
洋太と佐藤さんが密会をしている事など俺は知る由もなく、みゆ姉と一緒に帰っていた。
「それにしても、高校入ってからは一緒に帰るの初めてだね」
「そうだねー? お姉ちゃんと一緒に帰れなくて寂しかった?」
俺が何か言うとすぐにからかおうとしてくる。まぁ、寂しかったけど言ったらまた面倒くさい事になる奴だな!
「そーいえば、俺たちの赤団勝てて良かったね!」
「そうだねーって! なにスルーしとんじゃい!」
俺がみゆ姉のからかいをスルーすると、すかさずツッコミを入れてきて、頭を軽く叩いてきた。
流石みゆ姉。ノリツッコミもしてくるなんて……。将来芸能人にでもなるつもりなのかな?
みゆ姉は、かなり美人で身長もまぁまぁ高くスタイルが良いと思う……。それに、幼い顔つきなのに、からかってくるという少し小悪魔属性付きだ。
そんなみゆ姉でも、やるべき事は責任を持ってやる所はいい所だと思う。
たまに、おっちょこちょいな所とか総合して美人5位なんだろうなーと納得する。
今思えば、何故こんなにもルックスが良いみゆ姉と姉弟みたいな関係になれたのか不思議で仕方がない。
まさに、奇跡と言っても過言ではないと思う! ありがとう神様!
俺がみゆ姉の事を脳内で褒めまくって、みゆ姉と巡り会えた事を神様に感謝していると、みゆ姉が「そーいえばさ」と話しかけてきた。
妙に真剣な声で話しかけてきたので、何だろうと身構えていると拍子抜けな事を言ってきた。
「刀夜、この2日で何回コケたの? 最後もゴールした直後にコケてたけど……」
俺がコケた所を思い出したのか、みゆ姉はプルプルと震えて笑いを堪えていた。
うん……。脳内で褒めまくってた事、取り消しで。
うぁー! てか、物凄く恥ずかしい……。やっぱり皆コケた所、見てたんだよねぇ……。
てか、ホントに2日の間に何回コケたんだろう……。
「少なくとも、5回以上だと思う。あぁもう! 恥ずかしい事思い出させないでよ!」
俺が恥ずかしくてみゆ姉から顔を背けると、みゆ姉はアハハハと笑ってきた。
うーん。今この笑い方されると、無性にイラッとくるなぁー……。
俺が胸中でそんな事を考えているとも知らずにみゆ姉は笑いながら
「そんなに転んだの?! それは、災難だったねぇー!」
と言った後に再び笑いだした。
うん。さっきのみゆ姉を褒めまくって、会えたことに感謝した俺どうかしてるね!
そんな感じで他愛もない話をしながら帰る時間にも、遂に終わりが来た。
「そんじゃ、刀夜。お姉ちゃんこっちだからばいばーい! 久しぶりに一緒に帰れて楽しかった!」
「うん。俺も楽しかった。また一緒に帰ろう!」
別れの挨拶をお互いにする。
みゆ姉が手を上げて、大袈裟に手を振ってきた。
俺もそれに応えて手を頭の上まで持って行って振る。
みゆ姉が見えなくなるまで俺は手を振り続けた。
みゆ姉は曲がり角を曲がる瞬間振り返ってきて手を振ってきた。
そのままみゆ姉の姿は見えなくなった。
久しぶりにみゆ姉と帰れて楽しかったなぁー。からかってくるところは嫌だけど、そこも含めて本物のお姉ちゃんみたいで好きだなー。
1人になって余韻に浸りながら、自転車を漕ぎ出した。
少しジメジメしたぬるい風が心地良いなと思いながら家に帰った。
家に帰ると、勿論母さんは仕事で居ないわけでご飯もない。
さて、どーしたものかなぁー。何か作ろうにも、体育祭で疲れて作る気にはなれないや。
冷凍食品があるかなと思い、冷凍庫を開く――が何も無い。
あぁー……。いつも母さんや俺が作ってるから、冷凍食品要らないって言って買ってないんだったなぁ。なら、カップ麺もないか……。
確認のために棚を見るも、案の定カップ麺も無かった。
買いに行くしかないのかぁー! はぁ……めんどくせぇ。
近くのスーパーは自転車で40分ほどかかるのでパス。
最寄りのコンビニも自転車では25分ほどかかるが、しょうがない。出掛けるよりも、ご飯作る方が疲れるからな!
俺は、制服から私服に着替え財布を持ちコンビニに行く準備を始めた。
ちなみに半袖の青色のパーカーに、黒のメンズの半ズボンとラフな格好。
オシャレとかよく分からないので、持っている服はほとんどこんな感じだ。
準備が終わったので、家を出てコンビニ向かう。
「ご飯を買いにレッツゴー!」
変な掛け声と共に自転車を漕ぎ出す。
夕陽で雲や空がオレンジ色に染まっている。
夕日を浴びて、建物が輝く。
もう、日も落ち始めた為か、近くの草むらや木からは様々な虫の声が聴こえる。
あー。もう虫が鳴く季節かぁ。はやいなぁ。
1人で暗い夜道を走って虫の声などを聴くと色々と考えてしまい、感慨深い気持ちになって胸が苦しくなるのは俺だけでは無いはずだ!!
1人で季節の変わり目をしみじみと感じながら――ご飯を求めて自転車を走らせること約25分。
やっとコンビニに着いた。
家を出る時には、まだ沈んでいなかった夕日が今はもう山陰に隠れてしまい真っ暗だ。
明かりの灯っている蛍光灯に虫達が寄ってきている。
うぇ……。虫だ気持ちわりぃー!
俺は虫が滅茶苦茶嫌いだ。虫の声を聴いたりするのは好きだけど、見たりするのはマジ勘弁!
この事を洋太や勇心に知られたら、絶対からかわれるに決まってる! もしかしたら、虫を捕まえてきて悪戯してくるかもしれないし……。
俺が虫嫌いなのは絶対に知られてはならないな!
知られて、いじられるならまだ頭悪い事ぐらいの方が良い!
はぁ〜。まじで――
「……――虫、いなくなんないかなぁ」
そう呟きながら、コンビニに入った。
「……へぇー。貴方って虫が嫌いなの?」
突然、背後からそんな事を言われた。
え? これ、俺に話しかけたのかな? 虫って言ってるし、完全に俺にだよね?!
俺はどこかで聞いた事のある透き通るような綺麗で、優しい声。だけれど、すこし不気味な声。
そんな事を思いながら後ろに振り返ると、そこには――女王様が立っていた。
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