あんたの背中
本田に告白してから少し経ったある日
私、日野蛍はひとりで帰っていた
本田が隣に居ないのが
当たり前のようになっていた
心にぽっかりと穴が開いたみたいに
何も感じなくて・・・
何も考えず歩いていると
曲がり角から本田が出てきた
本田は1年と笑いながら歩いていった――――
本田が笑っている
たったそれだけなのに
すごくうれしくて
すごく懐かしくて
気がつくと泣いていた――――
涙をぬぐい、再び歩いた
本田と私の距離は
短いようで長くて
長いようで短くて
悲しくなってきた―――――
本田の背中を見たのを久しぶりだなぁ
でもあの頃はこんなにも差がなかったっけ―――――――
――――次の日――――
私は久しぶりに
本田と初めて会った道から帰った
すごくすごく懐かしかった
まだあの日のことは鮮明に覚えている・・・
この道には思い出がありすぎて
胸がとても苦しくなった・・・
告白した時から
この道は通っていない―――――
あぁつらい・・
つらいよぉ・・・・
もう涙が止まらない―――――
ずっとずっと
ためてきたものが
一気にあふれ出たように
後から後から涙が出た――――――
本田に会いたいよぉ・・・・
―――――好きだよ。本田―――――
もう今度からは
自分に正直になろう――――
私はずっとずっと
本田を好きでいる―――――
これからも
ずっと先の未来も――――――
私はまた歩き出した
前を見ると本田が居た
なんで?
何でそこに居るの?
最初は夢かと思った―――――
でも居る
確かに本田は私の目の前に居た
「・・・本田・・・」
声にならない声で本田の名前を呼んだ
すると
本田は私のほうを振り返って
――――――笑った――――――
本田、本田・・・・・
「今日は告白の返事を言いに来た」
本田の顔が真剣になった
「ごめん、好きな人が居る。
だから日野の気持ちに答えられない」
本田の答えは『NO』だった
でも意外とスッキリした
「ねぇ本田。私あきらめ悪いから
本田の事想っててもいい?」
「あぁ・・・・」
私は本田に振られた
でも私はあきらめない―――
振り向かないと思っていても
本田のことを想い続ける―――――――