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ランキング9995位の勇者  作者: ペレット・カンニバル12世
2/5

其の弐 奴隷で妥協するかっていうか最初から奴隷1択でした

この物語はファンタジーです。

細かい設定の矛盾、理不尽、不可解は全て魔法で解決していると判断してください。

ピンポンパンポーン♪


 本編に先立ちまして女神様から通知です。


 作中で出てくる単位は全て円やメートルなど現代日本と同じになっていますが、これはキミオ君が毎回【異世界常識】で翻訳していると思ってください。

実際には別な単位が使われています。


 以上女神様からの通知でした。

 それでは本編をお楽しみください。


ピンポンパンポーン♪




以下本編




 キミオは激怒していた。

 必ずあの女神様と王族に一つ文句を言ってやらねば気が済まない。

 主に支度金について。




 僕が旅に必要な物を揃えるため街に出ると、冒険者ギルドというものがあった。

 冒険者ギルドというのは詰まる所日雇いの仕事斡旋所である。

 ペット探しからドラゴン退治まであらゆる依頼が受けられる施設だ。

 ちなみに勇者は最初から冒険者登録されている。


 僕はワクワクした気持ちを抑えながら冒険者ギルドに入った。

 依頼を受ける為ではない。

 仲間を集めるためである。


 【異世界常識】を用いて色々調べてみると、どうやらそれなりに強くて、フリーの人というのはここに集まるらしい。

 そもそも冒険者ギルドというのは異世界転生したら必ず行ってみたい場所トップ10に殿堂入りしている存在。行くのがマナーというものである。


「あの、冒険者ギルドに何の用でしょうか?」


 受付のお姉さんが聞いてくる。

 いけないいけない。

 僕としたことがつい興奮して入り口付近でぼーっと突っ立ってしまった。

 僕は精一杯クールを装いながら応える。


「そうですね、仲間を集めに来ました。」


「仲間、ですか。もしかしてあなた…」


 受付のお姉さんがはっとした顔をする。


「はい、勇者です。世界を救う仲間を募集しています。」


 うわ、凄く気持ちいいな、これ。憧れだったセリフを言える日が来るとは。


 ところが興奮している僕にお姉さんが放ったのは意外な言葉だった。


「失礼ですが、所持金はいくらですか?」


「えーっと、一万円です。」


 予想外の質問に、つい正直に答えてしまった。


 するとお姉さんはため息をついて続けた。


「すみません。一万円ですと雇える冒険者はいませんね。」


 嘘だろ。世界を救うのに金いるのかよ。


「え、こう、世界のためなら金なんかいらないぜ的な志の高い人とかいないのですか?」


「そういう方々は既に全員旅立たれました。」


 な、なんだってー。


 どうやら聞いたところによると、勇者はランキング1位から順に召喚されたらしく、めぼしい人材は既に旅立ってしまったらしい。

 僕は9995番目に召喚されたというわけか。

 どうりで扱いが適当だったわけだ。

 つーかそこらへん説明しといてくれよ召喚師のおっさん。


「それで、他に用はありませんか?」


 受付のお姉さんが食い気味に聞いてくる。

 貧乏人に用はないっていうことかチクショウ。


 僕は涙がこぼれないように上を向きながら冒険者ギルドを出た。




 しかし、どうしよう。

 この街で正規の手段で仲間を得られそうなところというのは他にない。

となるとアレしかないか。

 いやーしょうがないなー。

 ほんとはいきたくなかったんだけどなー。


 顔がにやけるのを抑えきれないまま、僕は次の目的地へ向かった。


「ということで、新生児を一人売ってください。お願いします。」


 僕はそう言うと目の前の奴隷商人に頭を秒速30メートルの速さで下げた。


「ちなみに予算はいくらですか?」


「一万円です」


 僕には金はない。地位もない。コネもない。

 しかし誰にも負けない自信があるものが一つだけある。


 それは愛


 新生児を愛する気持ちだけは日本中のだれにも負けない。

 いや、それどころかこの世界のだれにも負けないだろう。


 さあ、奴隷商人。

 僕のこの熱い思いを受け取ってくれ。


「いや、売れるわけないでしょ。舐めてんのお客さん。」


 ですよねー。


「奴隷は相場100万円くらいですから。いくら新生児が安いとはいえ、最低でも10万円はしますよ。」


 うーん。

 新生児なら成人より安いし、僕の性欲を満たせるし一石二鳥だと思ったんだけどな。

 やっぱり一万円じゃ奴隷買えないか。


「まあ、当店に一人だけ予算一万円で買える奴隷がいますけどね。」


 マジで⁉

 僕は奴隷商人の言葉に驚きを隠せなかった。

 新生児ですら10万円はするんだ。

 売値一万円とかいったいどれだけの地雷なのだろう。


「ちなみにいくらですか。」


「5千円です。」


 安っ!

 日本で言ったらゲームカセット1本分の値段だぞ。

 そんな値段で人が売り買いされているなんてその人は大丈夫なのだろうか。


 しかし僕には選択肢がなかった。

 さすがに知らない土地で一人旅は危険すぎる。まして魔物が存在する世界だ。なりふり構ってる余裕はない。

 それにこういうのってヒロインか強キャラフラグだろ。


 奴隷商人に連れられて僕はその奴隷に会いに行った。

 店の奥へと進んでいく通路の両脇には無数の檻があり、中には人間が入れられていた。

 予想はしていたが、やはりこの光景は精神衛生的に辛い。

 僕は奴隷商人の背中だけを見るようにして進んで行ったが、両脇から私を買ってくれと声がかけられる。

 その声は何とも悲痛で耳を塞ぎたくなる。

 異世界転移系の小説では奴隷を買うのがテンプレになっているが、彼らはよくこういうのを耐えられるなと僕は感心していた。

 というかそういうことでも考えて気を紛らわせないとこの状況に耐えられない。


 5分ほど奴隷商人に連れられて進むと目的の檻にたどり着いた。

 ここは人気な奴隷の売り場からは遠く外れた場所。

 端的に言えば不良在庫置き場である。


「こちらがその奴隷です。」


 そう言われて見た檻の中にいたのは



 おっさんだった。やっぱりね。


 とりあえず色々質問してみるとしよう。

 強キャラだけど事情があって奴隷落ちしたタイプかもしれない。


「あなたは何故奴隷になったのですか?」


「風俗にお金を使いすぎました。」


 ただのクズだったよ。


 まあ、結局おっさんを購入した。

 そもそも俺に他の選択肢ないし。


〔所持金〕1万円→5千円


 奴隷商人がおっさんに奴隷の首輪と呪いをかける。

 これでおっさんは俺に絶対服従。

 守らないと痛みが来るそうだ。

 これで裏切ることはないし、なんでもしてくれるらしい。

 おっさんの何でもとか誰得だよ。




 手続きが終わったので店を出て、近くのベンチに座った。

 まずは色々確認しなければならない。


 とりあえずステータス見ておくか。

 ステータスを閲覧出来るのは自分自身と許可した人だけらしい。

 まあ、おっさんは俺の所有物なので許可とかいらないけど。


情報開示(ステータスオープン)


checkingcheckingcheckingchecking


【名前】 O・ヤツレイ


【年齢】35歳


【祝福】 演算魔法


checkingcheckingcheckingchecking


 へー、ヤツレイって名前なんだおっさん。

 これからはヤツレイって呼ぶか。


「つーかヤツレイってレベルいくつなの?」


「レベルって何ですか」


 僕は聞くとヤツレイは首を傾げていった。

 全然可愛くないというか気持ち悪い。


 僕が【異世界常識】を使ってレベルを説明すると、ヤツレイには鼻で笑われた。


「レベルなんてありませんよ。ファンタジーやメルヘンではないんですから。だいたい魔物を倒しただけで強くなるわけないでしょう。」


 言われている内容は当たり前だし、何も間違ってないんだけど、異様にむかつくなこいつ。


 しかしレベルがないとすると、戦闘力を図る基準がわからないな。

 というか祝福とかってのはなんなんだ?


「祝福というのは得意な魔法の属性です。この世界の人々は皆一つは持っていて、この属性以外はまともに使えません。まあ、中には2つも3つも祝福を持っている人がいますが。」


 つまり現地人にとっての固有スキルみたいなものか。

 というか異世界人は皆祝福持ってないから魔法使えないのか。「闇の眷属たる我が命ずる。彼のものを燃やしつくせ。」とか言ってみたかったんだけどな。残念。


「じゃあ演算魔法ってのはどんな魔法なんだ?」


「演算魔法は計算をする魔法ですね。計算が速く正確になります。」


 うーん。このハズレ感。

 今のセリフでこの魔法の戦闘力がわかってしまった。悪い意味で。

魔法以外の戦闘力を調べてみる。

 ヤツレイって別に筋肉ムキムキとか、殺気がでてるわけじゃないんだよな。

 果たして戦闘はできるのだろうか?


「無理ですね。私は元商人ですし。経験がありません。」


 ばっさり。


「じゃあ生活魔法は?祝福がなくても【着火】とか【清潔】とか最下級の魔法は使えるよな?」


「無理ですね。私の才能は演算魔法特化なので。他の魔法は1ミリも使えません。」


 Oh…


「料理とかは?」


「私、外食派なので出来ません。」


「解体とか、火付けとかのサバイバルスキルは?」


「私、シティーボーイなので出来ません」


 コイツ何もできねーじゃん。

 いや、僕だって料理も解体も火付けもできないんだけどさ。人のこと言えないけどさ。

 でも戦闘力はあるぞ。多分。

 よし、ヤツレイよりマシだ。


「ちなみにヤツレイは特技とかあるの?」


「そうですねー。強いて言うなら…」


 そう言ってヤツレイは姿勢を整えるとドヤ顔で言った。


「この街にいる風俗嬢全員のスリーサイズから性感帯、好きな体位まで全て網羅してます。」


 奴隷商人さん。

 売値5千円ってただの在庫処分かよ。


To Be continued…




★☆次回予告☆★


 売値5千円の奴隷ヤツレイを手に入れたキミオ。

 彼は計算が得意な筈なのになぜ借金を作ったのか。そもそも売値5千円なのに借金は返せたのだろうか。

 謎が謎を呼ぶ中、ヤツレイがキミオにとある提案をする。

 一体彼の提案とは?

 そしてヤツレイの下した決断は?


次回「そうだ、ダンジョンに行こう」


皆もパソコンの前でレッツ全裸待機!




<キャラクター設定集>


・主人公


【名前】 オモヒト・キミオ


【年齢】 17歳


【固有スキル】血脈の支配者(ブラッディーソウル) 自身の血液を操る


【好きなタイプ】 生後1ヶ月から10ヶ月


【好きな子】ユウカちゃん(生後5ヶ月)


【好きな漫画】 ブラッディームーン


・奴隷


【名前】O・ヤツレイ


【年齢】35歳


【祝福】演算魔法


【好きなタイプ】女であれば何でも


【好きな女の子】最近はピンクハーレムに勤めているミーシャさん(1回10万円)























とりあえず2話投稿。

一週間かけて作る予定だったのに思いの外、今日暇な時間が多かった。

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