表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/18

千里、帰還の真実。■2014/01/08 13:02

「千里、将棋見に行こう」

 智之が藪から棒に言った。この時間になったら一旦休憩をとると、予め決めていた時間だ。

「……将棋?」

 当然、脈絡のない提案に困惑した千里にはそう返す他にない。

「そう。今、覚さんが将棋を指してるんだってさ、先生と」

 千里は狭間に来てからの四日間、初日を除けば智之としか顔を合わせていなかったため、人物名を――案内をしてくれた彰太と、将棋盤を持ち先生と呼ばれる人物の所へ向かった覚のことを――思い出す行程を必要とした。幸いすぐに済んだが。

 そうしてから疑問をぶつける。

「構わないけど、何で?」

 丁度勉強の方は内容的にも一区切りがついたところだ。朝っぱらから休む間もなく机に向かい、家庭教師の声に耳を傾けていたために倦怠感、というか言ってしまえば飽きもある。気分転換は千里にとってもやぶさかではないのだが、智之の意図は気になる。

 しかし「何ででもだよ」などと答えをはぐらかされてしまう。ちょっとしたもやもやと共に、千里は歩き出した智之の後を追った。目的地を知らないため、着いていくしかない。

 道中、智之が振り返って尋ねてきた。

「今更だけど千里は将棋、分かる? 全然知らなかったなら、すまねぇんだけど」

「大丈夫。ルールは知ってるよ」

 新聞などに対局の棋譜が掲載されていると、父はいつも将棋盤を引っ張り出しては展開を再現するのだ。ただ、好きな棋士がいるらしいが教えてくれないのが少し不満だったりする。そんな父を持った娘故に、小さい頃から千里は父から手ほどきを受けていた。だから将棋はできるし好きなのだが、どうにも強くなれない。千里にとって唯一の対局者であり最大の壁でもある父を、負かせたことは一度もないのだった。

「なら良かった。そしたらさ、今度オレと勝負しない?」

「望むところ! お父さん以外の人ともやってみたいし」

「ふ、オレの腕見て後悔するんじゃねぇぞ?」

「へー。そんなに自信あるんだ?」

「――ボコボコにされる自信がな」

 そんな他愛ない会話を続けながら登った二つ目の丘から、三つの人影を認めることができた。うち二人は向かい合って座っている。

「あそこだね」

 千里と智之は坂を駆け下りないよう自制し、目的地へと近づいて行った。

 二人の足音を、観戦中の彰太だけは気付くことができたらしい。

「来たんだな、智之くん。それに……千里さんも」

 彰太が小声なのは真剣勝負を邪魔しないようにするためだろう。二人もそれに倣う。

 覚はやって来た二人に一瞥もくれずに右桂馬を前進させ、先生守備陣内の銀将を睨む。

「もう始まってるんすね」

「丁度いいときに来たよ。これからがいいところだ」

 促され、盤面上の戦いの状況を観察する。

 今しがたの一手は開戦の嚆矢だ。序盤は王を守る陣を敷き来るべき合戦の準備をする。中盤戦では互いの駒がぶつかり合う、激しい攻防の応酬となる。

 覚の攻めは、一見無茶なようだった。観衆も先生も、桂馬から攻めを繋げて有利に持ち込むには下準備が足りないのでは、と感じた。いわゆる疑問手だ。悪手と断定するにはまだ早いが、その手に意味を見出すことができない。

 しかし、覚の表情に迷いはない。つまり覚は桂馬の先に勝機があると確信しているということになる。未来の局面を読むことは、当然ながら将棋で最も重要な能力である。相手よりも深く深く読むことができれば、絶対的に有利となる。

 先生は見るからに焦っていた。この桂馬の狙いは何か、そして次の一手はどう指すべきか。悩みに悩んで十分強、狙われた銀を後方に引くことに決めた。

 千里は思考した結果、やはり同じく銀引が最良だと推測していた。そうしたとき、覚ならどう対応してくるのだろう。期待を込めて見守った覚の一手は、持ち駒からの角打ちであった。逃げた銀に対して歩の間を縫って追い討ちを掛け、同時に自陣の防御をこなし敵陣逆サイドをも牽制する、まさに目を瞠るような一撃……のはずなのだが、

「おいおい、歩の真ん前じゃねぇか」

 いくら良い位置であろうとも、次の手で取り返されてしまう角行を打つのは愚行に等しい。角は最も高い機動力を持つ駒の一つ。それを牽制の為だけに最弱の駒に食わせてしまうのは、素人目に見てもあまりに勿体無い。千里もここに角を打てたなら覚の有利が決まるのに、と分かっていたが、歩の睨みが利いているために実現不可能だと断定していた、そんな一手だ。

 どうして角を捨てたのか。観客も対局者も、覚の考えと表情を読み解くことはできない。先生は訝しみながらも数秒後には歩を進めて大駒を手中に収めた。将棋では敵の駒を取ると、自分の戦力にできる。先生の優勢は間違いないかと思われた。

 しかしどうしたことか、覚は角一枚差をものともせずに先生の攻撃を捌いていく。時に攻め込み、敵陣を荒らし回る。流れはやや覚よりであった。その理由をよくよく考えてみると、角を取ったときに陣に空けてしまった穴に原因がありそうだった。そこの守備が弱いために覚の駒が侵入して暴れることができ、時々王手を掛けさえもする。先生は兵力で勝る軍の将ではあるが、その首元には今、覚の小刀がぴたりと添えられている状態なのだ。

 あの時点で大胆にも角を捨て駒にしたからこそ切り開かれた道。それを不可能と切り捨ててしまった自分の実力のなさに千里は落胆するも、予想だにしない手を見られたことに対する嬉しさと、更に覚への尊敬の念をも抱いた。

 ここまで来てようやくく、おお、と智之と彰太も唸る。先生はと言えば、腕を組んで盤上の敵玉を親の敵とばかりに凝視している。果たしてそこに辿り着くことができるのか、先生自身にも未来は見えない。

 それからも息詰まる攻防が目の前で繰り広げられていく。千里も共に次の手を考えながら観戦を続ける。読みが当たるもあり、外れるもあり、一喜一憂と感心の繰り返しで退屈など微塵も感じず、時間を忘れてすっかり興奮していった。

 九八手目。先生が投了を宣言した。

「ありがとうございました」

「……ありがとうございました。やはりどうしても負かせなんだな、お主のことは」

 観衆は思わず何度も手を打ち鳴らした。あまりの熱戦に、言葉が見つからなかった。先生は苦しい展開ながらも一時は連続王手を掛けるなど粘りを見せたが、遂にはあと数手で詰まされることを予見して敗北を認めたのだった。

 深呼吸をしてから覚は、千里たちの方に向き直った。額に浮かべた大粒の汗を着物の袖で拭う。

「挨拶が遅れて悪かった。見に来てくれたんだね、そちらの二人も」

「あ、オレたちはその、興味本位って言うか……」

 居心地が悪そうに返されても何ら気にする様子はなく、それどころか少し笑顔を見せさえした。

「――丁度良かった。ついでに、おれの話を聞いてくれないか?」

 その笑顔を修飾する言葉には『晴れ晴れとした』が相応しい。千里は思った。

 恐る恐る、彰太は問う。

「……何の話をする気だ?」

「そうは言っても、予想はついているだろうに」

 続けて、

「おれは、現実に還ることにした」

 還る。その言葉が発せられた時、千里と智之は驚き、先生は俯く角度を深くし、彰太は覚の顔をまじまじと見つめた。

「突然、だな」

「突然じゃない、三年前からずっと考えてきたんだ」

 覚は止めてくれるなとばかりに首を振る。心の準備もなしに告げられた帰還宣言は、少なからず彰太の胸を揺さぶった。

「もっと覚さんの将棋、見てみたいです」

 先の対局で覚の手筋に魅せられた千里が、惜別の念を隠すことなく率直に述べる。

「ありがとう。それなら新聞でもテレビでもいい。いつか剣持覚という名前を見つけたら、応援してほしい。……そう願ってる」

「もちろんです! お願いなんかされなくたって、必ず!」

 智之も頷いた。しかし当の覚は、何故かひどく困惑したようだった。視線をぐらつかせながら彰太の方に向ける。その不自然さが気に掛かり同じく彰太を見た千里は、彼までもが動揺しているのを感じ取った。

 何だ、この違和感は。まるで重要な隠し事でもされているかのような、落ち着かない雰囲気。

 それは、気のせいではなかった。

「彰太くん、まさか教えてなかったのか?」

 観念したかのように、彰太は口を開く。

「……教えたところで何になる。知らないままでいた方が、躊躇わずに済む。俺や、あなたのように」

 間違いない。自分にも智之にも話していない何かを、この二人は――あるいは目を背け続けている先生も――隠している。

「今なら言える。事実に打ち克ち、現実に還る決断をすることこそが重要なんだと」

「覚さんの気持ちは理解できる。が、誰もがそれに耐えられるわけじゃない。そんなリスクをわざわざ負う必要はない」

「いいや。おれは狭間の人間は皆、事実を知っているべきだと考える。だからおれは言う」

「やめるんだ」

 物凄い剣幕での押し問答の応酬にたじろいでしまう千里と智之。殊に彰太の憔悴の理由など、皆目見当もつかない。どうしてそこまで必死になって何かを教えまいとしているのだろうか。

 千里が生来持ち合わせている好奇心が疼く。隠しごとをしていますよと明かされてなお、隠されたままにされるというのは精神衛生上よろしくない。しかもそれが自分たちに密接に関わっているというのならば尚更だ。

 千里の口は、自分の欲望に素直に従っていた。

「――教えて、ください」

 その言葉を聞いて頷く智之とは対照的に、彰太の頬はみるみるうちに引き攣っていく。

「断る……」

「彰太さんはオレたちを」智之は半目になって睨みつける。「騙そうとしてる、ってことか?」

「違う! 全ては君たちのことを思って――」

「だったらよ。知りたいっていうオレたちの気持ち、尊重してくれてもいいじゃねぇか」

 数秒の沈黙の後、覚が諭すように言った。

「もういいだろう。お前が反対する理由はなくなった」

「……勝手にしろ」

 それきり彰太は口を閉ざし、押し黙ってしまった。

 本当にこれで良かったのだろうか、と千里は今更ながらに思う。もっと彰太の言葉に耳を貸すべきではなかったのでは、と。だが自分も秘密の公開を望んでしまった以上は、やっぱりやめてと手の平を返すことはできなかった。

 果たして覚は語り始める。

「さて。今の君たちは、『何』だと思う?」

 質問が理解できない。答え方も分からず、半ば当てずっぽうに智之は答える。

「何って……オレは『オレ』のはず、だろ」

「その通り。君という人間は『君』の意識を持って存在している。狭間でも現実でもそうだ。だけど、狭間に今いるおれたちは、実は肉体を持っていない。『精神体』のみの存在なんだ」

「精神、体?」

 いくら異常な世界とは言えども、そんなのはマンガかオカルトの類か、でなければ宗教関連の話だ。

「『心』と言い換えてもいい。現実に肉体を置いてきたまま、心だけが狭間にいる」

 まだ事態が呑み込めない。ただ、薄ら寒い嫌な予感をそこはかとなく抱き始めた。

「ところで、知識や技術というものは普通は脳に蓄積されていくものだね。しかし、おれたちの脳は何処にある? 少なくともここにはない」自分の頭を指で小突く。「そして現実に還り肉体に戻り、元の生活が始まるとごく当たり前のように脳で物事を考えるようになる。――そこに狭間で得た情報は何一つ存在しない」

 千里と智之は絶句する他なかった。

「何も持っては還れない。狭間で過ごした記憶も、出会った人のことも、狭間の存在さえも全部」

 ……じゃあ、この四日間の勉強には一体何の意味があったんだろう。折角、あの数学の問題も智之さんに教えてもらって、解けるようになったのに。

 やるせない気持ちが千里の胸で渦を巻くも、その隣ではこれ以上に呆然としている者がいた。

「……オレの書いたレポートは、持って還れるんだよな? じゃないと、オレは……」

 智之は覚に告げられた事実を理解していないのではない。理解した上でそれでも肯定されることを期待して訊ねたのだった。

 しかし首は縦には振られない。

「いいや。ここで何を書こうと創ろうと喚び出そうと、どれも心が生み出した幻だ」頽れる智之を目の当たりにしても覚は動じることはなく、「狭間では心に思い描いた物を全て具現化できる。脳がなくても記憶という行為ができるのもそのお蔭だ。心に留めておいたエピソードを逐一再生しているような感じに」

 千里の脳裏に、ある一つの懸念が生まれた。もしこれさえもそうだと言われてしまったならば、狭間での勉強のし甲斐というものも全て無にされてしまう。

「……もしかして、数学の公式をすぐ思い出せたり、暗記がすらすらできたのも」

 狭間に来た初日。いくら智之の教え方が上手いからといって、半日で難問をいとも容易く解けるようになるものだろうか。あのときはまるで頭の中に解説書があって、それを参考にして問題を『読み進めた』ような感覚だったとはっきり思い出せる。当時は智之に感謝こそすれ他に何の疑問も抱かなかったが、今は違う。

 ややあって、覚は最悪の返答をした。

「記憶を具現化しているだけに過ぎない」

 知識を多く吸収し、早く取り出し確実に扱えるようにする。勉強の根幹はそれだ。なのに狭間では知識とは、いくらでも記憶できて瞬時に思い出すことができるものだという。更に現実に還れば何一つ身についていやしない。

 いくら時間があろうとも、そんなの無意味だ。

「わたし、何のために……」

 すると覚は、千里を慰めるというよりは自分に言い聞かせるようにして呟く。

「おれだって読んだ本から学んだ膨大な量の定跡を、どれも思い出すことができる。した対局の棋譜も完璧に。……おれの強さも所詮は狭間だけでの話。まやかしなんだよ」

 狭間は夢のようなもの、という彰太の説明が蘇る。実は暗にこのことを示唆していたのだ。どんなに心地の良い夢も、いつかは醒める。

「なのに、どうして還ろうと思えたんですか……?」

「ここにいてもおれの夢は叶えられない。それに」力強く、「おれだってやればできると、身を以て実感できたから。元々僅かながら可能性のある賭けだ。それに賭けてみようと、今なら思えるから」

 覚悟を決めた者特有の清々しい表情で、覚は断言した。次いで千里は羨望によく似た思いが湧き上がってくるのを感じた。

「覚さん、強いんですね」

 聞くなり覚は否定する。

「本当に強い人間なら、決断一つに何年も掛けないさ。長い間躊躇って、それでも還ろうと思えたのは――先生、あなたのお蔭です」

 話を振られた先生はゆっくり顔を上げると、覚の姿を目に焼きつけるが如くじっと見つめた。

「最後に決めたのはお主だろう。……お主の選んだ道を信じて進め」

「何度も聞きましたよ。先生はいつもそう仰る。まあ、まさかおれが言われる日が来ようとは」

「去り行く者を送るのに、これ以上の文句が浮かばんでな」

「しっかりと心に刻みつけておきます」

「……お主と出会えて、良かった」

「おれもです。お世話になりました」

 一礼し、長年共に過ごした者との別れのやり取りを終えると、俄かに一筋の光が差し込んだ。千里は驚き、眩しさを堪えつつ天を仰ぐ。光は太陽とは別方向の中空から降りてきており、しかし的確に覚を中心に捉えていた。まるで光の柱に囚われているかのようだ。

 突如、凛とした女性の声が、狭間中に響き渡る。

『――貴方は、現実の世界へと還ることを望みますか?』

 聞き覚えがある。彰太が女神と呼んだ、千里を狭間へと招いた張本人だ。

 問に対し、覚は迷いなく返答した。

「ああ」

『では還しましょう。あるべき世界へ――』

 みるみるうちに柱は白く塗りつぶされていく。あまりの明るさに思わず瞼を閉じたが、それでもなお眩しくて腕で顔を覆う。

 そのとき、この場の全員が覚の声を耳にした。

「先生、彰太くん、本当にありがとう。そして千里さん、智之くん、どうかこの事実を乗り越えていってくれ――」

 言葉がだんだん消えていくのと同時に、強烈な光も引いていく。再び目を開いたとき、柱も覚の姿形も、終局図を留めていた将棋盤も嘘のようになくなっていた。

 そうしてようやく、千里は覚が還っていったのだということを実感する。彼はもうここにいない。会うこともない。例え現実で再会しても、テレビで名を目にしても、知り合いだということを思い出すことはないのだろう。千里にとってはほんの二回の邂逅であったが、寂寥感を味わわせるには十分だった。

 ふと気付くと、嗚咽の音がした。主は、先程から地面にうずくまっている智之だ。

 ふざけやがって。このままだとオレは。ここにいる意味なんて。そんな怨嗟が止めどなく溢れ出している。

「智之さん……」

 居た堪れなくなって千里が声を掛けると、智之は弾かれたように立ち上がり、震える声で、

「追っかけて、来んなよ」

 と言って何処へか駆け出していってしまった。待って、と止める暇さえもなかった。

 智之の心情は痛いほど分かる。彼の目的はレポートの完成。締切に間に合わなければ留年の瀬戸際。レポートを持って還れないのなら、狭間ですることは何もない。それは千里にとっても同じことだ。

 智之の背中が見えなくなる頃。

「……だから忠告したんだ。とんだ置き土産をしてくれた」

 彰太は不貞腐れたように吐き捨て、そして雑草を踏み潰して去っていく。しかし単純な怒りや失望のみではなく、智之を心配している声色が含まれているような気がしてならなかった。

 結局この場に残ったのは、神妙に腕組みをしている先生と途方に暮れる千里だけとなった。

「千里よ」

「は、はいっ!」

 まさか名を呼ばれるとは思ってもおらず、千里は声を裏返す。千里が頬を染めていることなど全く気に留めていない様子で、

「戸惑うのも無理はない。だが案ずるな。平時通りにお主の目的のために時間を使うのだ」

「……でも」

「憂うなかれ。費やした時間は糧となる。心は努力を忘れない」

 先生の意図したところを汲み取れたか自信はない。それでも、

「はい!」

 千里は勉強机に戻ろうと気合を入れ直す。

 智之ほどではないにしろ、実際は千里の心中もぐちゃぐちゃにかき乱されていた。そんな自分や事実から目を逸らすのにぴったりな逃避の方法は、一つのことに集中すれば他のことは考えられなくなる千里にとっては勉強そのものだった。成果を持ち還れないという恐ろしい事実は、無視しておく。

 この空っぽな心意気がいつまで続くかはまだ分からない。だけど少なくとも、一月十九日までは頑張ってみようと思う。その日までに自分はどれだけ頑張れるのかを、試してみたいのだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ